メティス・ラヴァルの冒険書

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学生編

46話 野営訓練13

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46話 野営訓練13

拠点から王都までは歩いて五時間
全部走って移動だ!!!

って言うのは無理だから、森を抜けるまでは、急いで移動。森を抜けて街道まで出ると、流石に追ってこないだろうっていう予想らしい。

陣形は菱形、
先頭は豹の原種人のクラスメイト。鼻が効くし、森に詳しいから、安全なルート選びを任せられている。
それ以外の頂点は騎士団の方と先生が受け持っていて、菱形の中心は第一職業が非戦闘職で、その中でも特に戦闘が苦手な生徒がいる。
外に行けば行く程戦闘が得意な人が配置されるようになっていて、
今回私は卵を守っているから、中心側に配置され、魔法での攻撃をメインにする事になっている。


何度かフォレストウルフの襲撃があったけど、出てくるのは多くて二匹だったから、引率の方々を中心に対応して、すぐ移動を繰り返していた。
なんか嫌な予感がするよ。

「先生」

「ラヴァルさんどうしましたか?」

「フォレストウルフの変異種、多分後で数を集めて襲ってきますよ。」

「そうだな。集まってきてる気配がするな。多分他の騎士団の人も気がついてると思うぞ。ラヴァルさんも気配に気がついたのか?」

「いえ、気配ではなく、フォレストウルフがいきなり襲ってくるのに違和感があったので、、、獲物の様子を確認しているみたいな、、、」

「なるほど、いい考察力です。ラヴァルさんは悟られないように戦闘準備をしておいて下さいください。今あまり目立った動きをすると、急に襲いかかってくるので、静かにな。」

「あえて向こうのタイミングで襲われるんですか?」

「そうだ。相手にとって一番いいタイミングを考えると、逆に行動が読み易くなるからな。さ、列にもどりなさい。」




列に戻った後も移動は続き、森の出口まであと少し、少し気が緩んだ時にそのタイミングは来た。
丁度窪地に差し掛かった所で、正面に二十匹近いフォレストウルフが現れた!横にも後ろにも数は正面程はないけど、取り囲むように現れた。
例の大柄のフォレストウルフの変異種は、後ろから現れた。

「全員武器を持て!一人でつっぱしるな!必ず近くの者と連携して戦え!
左右を撃破したら正面突破だ!
変異種は倒す事を第一に考えずに、足止めでもいい!持てる力をだせ!死者は出すな!いいな!」
担任の先生の指示が飛び、左右は騎士団の方を中心に纏まり対応する。
前方は横並びになり睨み合い。
後方の変異種に対しては、先生が一歩前に出て牽制をする。

私は方には、騎士団のサモナーの人がいた。
普通のフォレストウルフになら、テッポウウリで充分だから、それを多数用意していく。
「すみません。」

「なんだ?」
こっちを向かずにサモナーの方が返事をしてきた。

「フォレストウルフを空中に飛ばすか、一瞬動きを止める事はできますか?私の魔法で一斉射撃できるので。」

「ほぅ。どれぐらいの攻撃力だ?」

「当たりどころがよければ一撃で仕留めれますが、攻撃範囲が狭いので、外せばダメージは受けるけど、動けます。」

「、、、よし。皆聞け!私が合図をしたら耳を塞げ!モンスターが倒れだしたら、攻撃の合図だ!いいな!
君は耳を塞ぎながら攻撃のタイミングを測って攻撃しなさい。」

そう言うと空中に紫色の魔法陣が浮かび、そこから、少しくすんだ色のワンピースを着て、髪は綺麗に整えられて、目を閉じた女性が現れた。
バンシーかな?
バンシーの嘆きの声は、対象に恐怖を与える効果がある。
あれ?でも、バンシーってもっと汚れている格好じゃなかったっけ?
サモナーの方が指示を出すと、ワンピースを少し持ち上げ頭を少し下げ、スカートを少し持ち上げてカーテンシーをして、クルリとモンスターの方を向いた。
「耳を塞げ!!!」
サモナーの方が叫ぶと、
バンシーの魔力が高まり、空気が振動する様な金切声が発せられた。
自分に向けて発せられてるわけじゃないけど、周りにも影響を与えるレベルって、、、

バンシーの叫び声によってフォレストウルフが恐怖で動きが止まっている。
今だね!
用意していたテッポウウリを全弾発射して目の前にいるフォレストウルフ達を撃ち抜く!
発射音で我に返った数匹が避けたけど、半数以上が倒れた。
すぐにまたテッポウウリを用意する。

残った数匹に対してバンシーを含めて、全員で対応。私は前線には出ないようにして、別の方からモンスターが来ないように牽制。
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