メティス・ラヴァルの冒険書

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冒険者編

147話 ルリ7

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147話 ルリ7

馬車を隠して、戦闘があった場所付近で身を潜める。
隠れるんじゃなくて、現場を離れるっていう選択肢もあるけど、そうなると迎撃体制が整わないし、逃げてる途中で地上にいるモンスターと遭遇っていう危険性もあるから。
護衛対象は戦闘ができないから、なるべく安全策を選ぶ必要がある。


グワァーーーーー!!

さっきより近くでモンスターの叫び声が聞こえた。声のする方を見ていると黒い靄に追いかけられているグリフォンが暴れながら近づいて来た。
必死に逃げ回るグリフォンだけど、翼に黒い靄が絡みつくと飛ぶ力を失って墜落してきた。

地面に落ちた弾みで靄から逃れたグリフォンが距離を取り靄を威嚇する。
翼を痛めたのかタイミングを掴めないのか、飛び立つ気配がない。

通り過ぎてくれたらいいのにっていう願いは叶わなかったかー。

グリフォンは充分大人と言える程の個体で、、、、というか、相当大きいような、、、私達には気を向けずに黒い靄と対峙している。
黒い靄はレイス系みたいにフワフワ漂っているけど、レイス系のように形は定まっていなくて、見ているだけで不気味さがある。


「あきまへんわアレは。
物理攻撃効かへんやん。」

「魔法は効くの?
っというかアレはなに?」

「魔法なら多少いけるやろうけど、、、アレは多分レイスなんじゃないか?ユラユラしとるし。
オショウどないやあれ?」

「アレは、、、恐らく悪霊や精霊の類いかと。
魔法や法力で払うしかないかと。
ただ、あの規模となると大掛かりな陣が必要になるかと。」

「せやかてやるしかないやんな。」

「ラヴァルさんは光魔法はできますか?」

「私はできないけど、ヴィゾーちゃんならいけます。
ただ、どこまでできるかはわかんないですよ。」

「ならば拙僧が陣を完成させるまで時間を稼いで頂ければ嬉しいかと。」


「わかったよ。」
『ヴィゾーちゃん光魔法を使えばあいつをやっつけれるって!』

『あいつって、あのモヤモヤの方?』

『そうそう。守ってあげるから頑張れる?』

『なんか、あいつイヤな感じだからやりたく無いけど、、、頑張る!あの鳥さん助けたいし。』

『わかった!鳥さん助けようね!』
「グリフォンは攻撃せずにいきましょう!
あれだけの大きな個体なら知能もあるだろうから、空気読んでくれるかもなんで。」

「せやな、その方が良さげやな。
あとは、、、その魔力通せる武器があるなら通したら多少攻撃通じる思うで。」

んーーー鞭は闇だからきっとダメだよね。
あとは樹は物理攻撃みたいなもんだから、風かブレスレットの雷かな?あんまり強くないけど。

「風はダメですよ。
靄が散るだけだから、効果がないかと。
光・火・雷がいいかと。」

「うぐっ、、、わかりました、、、」
左手にマァリッシュを持ち、雷魔法をストックして、ケースに納める

「火か雷やな!おけ。
ほな、イチは馬車の護衛に回って、かわりにオショウは討伐班に来てくれ。」
そう指示した後ヒトテラさんが反りの入った剣を抜き、刀身に手を翳して何か呟くと、一呼吸おいて
パチッ
という音が鳴った後に刀身が赤く揺らめいた
「ほな、いってくるわ!みんなも準備できたらい、、、、いけるな。
いくぞ!」
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