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19/1/1
18/9/14
なんてことのない朝だった。
いつもと変わりのない朝だった。
僕はいつも通りの時間に起床し、いつも通り朝ご飯を食べて、いつも通り支度をして、8時に出社した。車の運転にもすっかり慣れたな、などと余裕をかましながら、お気に入りの音楽を流しながら出社した。
事務所に入ると、いつもと変わりのない顔ぶれ。「おはようございます」と言えば「おはよう」と返してくれるのは配車の上司たち。片方は僕のお気に入りの上司だ。
お気に入り上司におはようの挨拶をしてもらったことで上機嫌になる、僕は簡単な人間だった。
事務所と控え室のゴミを回収し、シュレッダーのゴミ袋を取り替え、ポットの水を入れ替え、ドリンクサーバーの容器を洗い、ヤカンでお湯を沸かしてルイボスティーのティーパックを落し入れる。空いた時間で事務所内を軽く掃除する。それが日課だ。これが出社してからの僕の日課だ。
ルイボスティーは1年ほど前から女性間で始まったらしい。僕は薬の副作用の関係で飲めなくなってしまったが、作るお手伝いを辞めることはなかった。新人としての役目だと思っていたからだった。
雑巾でカウンターを拭いていると、不意に僕の部署の部長が声を掛けてきた。
「おはよう」
「おはようございます」
「XXさん、急で申し訳ないんだけど、今日の午後4時に少し時間いいかな?」
「4時ですか?わかりました」
最初から呼び出されるときまで、僕は何の話なのか全くわからなかった。別段悪いことをした記憶も無く、説教ではないだろうと思っていたが、本当に何の話なのか全くわからなかった。
日中もいつも通り仕事をこなし、約束の時間までになるべく多くの仕事を終わらせておいた。
16時ちょっと前。総務課長から内線が掛かり、僕はメモ帳と愛用の4色ボールペンを胸ポケットに入れて2階の会議室へと足を運ぶ。
何故かワクワクしていたのを覚えている。何故かはわからない。ワクワクする意味がわからない、だけど確かに少し話を楽しみにしている自分がいた。何を言われるかわかっていないからだった。
3回ノックして会議室に入る。
「失礼します」
中に入ると、総務部長、部長、総務課長の3人が神妙な面持ちで座っていて、僕のことを凝視した。
気味が悪かった。
どうしてそんな顔で僕を見るのか理解出来なかった。
3人の表情から、少なからず楽しい話ではないのだと悟った。
僕も真面目な顔をし、3人の話を聞く体勢をとった。
「その……急で申し訳ないんだけど、ね」
「はい」
「大変申し訳ないんだけど……」
「はい」
「XXさんのことはやっぱり正社員に出来ない」
何を言っているのかわからなかった。
18/9/14
なんてことのない朝だった。
いつもと変わりのない朝だった。
僕はいつも通りの時間に起床し、いつも通り朝ご飯を食べて、いつも通り支度をして、8時に出社した。車の運転にもすっかり慣れたな、などと余裕をかましながら、お気に入りの音楽を流しながら出社した。
事務所に入ると、いつもと変わりのない顔ぶれ。「おはようございます」と言えば「おはよう」と返してくれるのは配車の上司たち。片方は僕のお気に入りの上司だ。
お気に入り上司におはようの挨拶をしてもらったことで上機嫌になる、僕は簡単な人間だった。
事務所と控え室のゴミを回収し、シュレッダーのゴミ袋を取り替え、ポットの水を入れ替え、ドリンクサーバーの容器を洗い、ヤカンでお湯を沸かしてルイボスティーのティーパックを落し入れる。空いた時間で事務所内を軽く掃除する。それが日課だ。これが出社してからの僕の日課だ。
ルイボスティーは1年ほど前から女性間で始まったらしい。僕は薬の副作用の関係で飲めなくなってしまったが、作るお手伝いを辞めることはなかった。新人としての役目だと思っていたからだった。
雑巾でカウンターを拭いていると、不意に僕の部署の部長が声を掛けてきた。
「おはよう」
「おはようございます」
「XXさん、急で申し訳ないんだけど、今日の午後4時に少し時間いいかな?」
「4時ですか?わかりました」
最初から呼び出されるときまで、僕は何の話なのか全くわからなかった。別段悪いことをした記憶も無く、説教ではないだろうと思っていたが、本当に何の話なのか全くわからなかった。
日中もいつも通り仕事をこなし、約束の時間までになるべく多くの仕事を終わらせておいた。
16時ちょっと前。総務課長から内線が掛かり、僕はメモ帳と愛用の4色ボールペンを胸ポケットに入れて2階の会議室へと足を運ぶ。
何故かワクワクしていたのを覚えている。何故かはわからない。ワクワクする意味がわからない、だけど確かに少し話を楽しみにしている自分がいた。何を言われるかわかっていないからだった。
3回ノックして会議室に入る。
「失礼します」
中に入ると、総務部長、部長、総務課長の3人が神妙な面持ちで座っていて、僕のことを凝視した。
気味が悪かった。
どうしてそんな顔で僕を見るのか理解出来なかった。
3人の表情から、少なからず楽しい話ではないのだと悟った。
僕も真面目な顔をし、3人の話を聞く体勢をとった。
「その……急で申し訳ないんだけど、ね」
「はい」
「大変申し訳ないんだけど……」
「はい」
「XXさんのことはやっぱり正社員に出来ない」
何を言っているのかわからなかった。
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