私は問題軍師のその先を知っている

チヨカ

文字の大きさ
3 / 19

3.希代の変人

しおりを挟む


ガヤガヤいつの間にかさっきおばさんと話していた通りとはちがって、賑わっている商店の通りの道を来た道も振り返らずただ歩いていた。
結花はズキズキと刺さる様な頭痛は若干和らいでいたがそれでも痛み続けるせいか頭がぼーっとしてきて身体も段々動きが鈍く重い感じがして思うように動けない。
少しづつ息が上がってきて苦しい。
けれどこんな所でまた倒れてしまっては、さっきは運が良かったけれど知らない場所でどうしたらいいかも分からないのだからちょっとでも静かに休める所に移動しなければ。
何処かで休めないかと通りの道を見つめていると頭痛のせいで目に力が入り睨みつけながら見ていると数十歩進んだ先に細道がある。
あそこの細道で少し休もう。
だけど思うようには体が動かない。
フラフラと覚束ない足取りで普段より大分ゆっくりと歩いて行く。視界と身体の感覚がやや鈍っている時に足元の石につまづいてしまい、丁度横を通り過ぎようとしていた男性にぶつかってしまった。

「うぉっっっ······」
─しまった!

結花は咄嗟やってしまったと思った。今は体調が悪いからと他の人との接触を極力避けていたのに。体調が良くなってから日が昇っている間に街の人に今は場所などの話を聞こうとしていたのだが、男性に不注意ぶつかった事によって動きを変ないといけない。
そんな事を倒れる数秒の間に結花は考えていたが転んだ衝撃は一向に来なかった。けれど態勢的には転びそうな姿勢でお腹の部分にさっきまではなかった暖かい感覚があり腕に支えられていると分かる。おかげで驚いて目を見開き少し視界がはっきりしてきた事で今、支えてくくれている人にお礼を言うべく少し反応が遅れたが身体を起こし顔を上げて相手を見た。

「すっっ、すいません。私からぶつかってしまったのにも関わらず助けてもらいありがとうございます。」
「んぉ・・・。あぁ、別にいい。
まぁ~俺で良かったな。変な輩に絡まれなくって」

助けてくれた男性は釣り上がり気味の目に掘りが深いすっした顔立ちと短く切り揃えたられた黒髪。体格は若干成人した男性としはやや細身ではあるが見た目に相まった濃い朱の着流しを少し肌蹴けさせ腰紐の辺りに刀を刺しているので武士だろうがその外見より優しいく声をかけてくる。助けてくれた男は若干屈み顔を覗き込んでくる。

「おい、あんた大丈夫か?
顔色が悪いし身体ふらふらじゃないか・・・」
「っっ、いえ少し休めば平気です。お気遣いありがとうございます。」
「ふぅん。そうか?」

結花は若干助けてもらった男に素っ気なく返事を返したが、男は返事に納得が行かなかったのかじっと結花を見ていた。
流石に男の視線に恥ずかしくなり頬を赤らめさせ顔を横に背けてしまった。
結花は普段から男の人と話すことが苦手で声が上擦ってしまい真面に話せるのは幼なじみぐらいだ。
男はさっきの探る様な眼差しとは売って変わり、ニヤリと何かを企みの顔になる。

「おや、顔が赤いな。
さてはあんた俺に惚れたか!」
「ちっちちち違います!·····」
「ぶぅっははは、それは冗談だ。あんた名前はなって言うんだ?
俺は···そうだな気軽に晋とでもよんでくれ。」
「はぁ·····それでは私はこの辺りで失礼します。
しっっしん、晋さん。」

何時までもここに居てまた体調が悪くなるかもしれない。結花は助けてくれた男の名前を恥ずかしげになりながら晋にお礼を言い。クルリと行こうとしていた細道の方へとあしを踏み出そうとしていた。だが、それを止めるように晋さんは右手首を掴んでくる。


「おぉぉい、待て待てまだ名前を名乗ってないだろ。それにそんなに急がなくってもいいだろうに!」

―いやいや、急いでるから!1人で静かに休ませて欲しいのですけど····―

掴まれた腕を離してもらおうと、結花は晋さんの方にクルリと振り向く。少し勢いを付けて振り返るものだからクラり、視界が掠れ揺れて脚がもつれ倒れた先は晋さんの中に飛び込むようにもたれてしまっていた。

「・・・あんたも案外大胆だな。
さては満更でもないのか?」

かぁぁぁぁあっっ
そんなつもりじゃない。
だけど今の状況では誤解しても仕方なかった。
結花はめまいで頭が半分麻痺したままここからひとりで移動しても道に迷うだけ。ぶつかって迷惑かけたのに優しいくしてっ・・・いや、でも何考えてるか分からない人に着いって行っても。結花は、顔を赤くしたり青くしたりとして自問自答を繰り返していた。

「じゃあ、行くか!」
「うぇ?」

考え事をしてていると、晋がそう声をかけてきて素っ頓狂な返事をしてしまった。
よいしょ、晋は結花を横抱き未来で言うお姫様抱っこをして来た。どうして抱えられているのか分からず反乱しつつまた顔を赤くして晋さんに話しかけた。

「あの晋さん。どうして私は抱えられているのでしょうか?」
「うん?
あぁ、あんたを今から誰もいない静かな場所に連れてこうと思ってな!」

さっきも見たニヤリとイタズラするみたいな笑い方をしながら言われて結花唖然としてしまい、晋は早歩きぐらいの速さぐらいの速度で歩き始めて行く。



    
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

幼馴染の許嫁

山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

貴方の側にずっと

麻実
恋愛
夫の不倫をきっかけに、妻は自分の気持ちと向き合うことになる。 本当に好きな人に逢えた時・・・

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...