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メイガスに就職?

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エクレール曰く、

「メイガスは一般に魔術師と言われる者達とは大きく違います。
今でこそ黒魔術師、白魔術師、召喚術師、精霊使いなど魔術師は多種多様、様々な分野に広がっています。
そこで彼らは、それぞれ異なった魔術系統を構築して、それを学ぶことでその存在価値を高めようと競っています。
黒魔術は攻撃に、白魔術なら防御・回復に、といったように。」

「得意分野に特化したってこと?」

「特化したと言えば聞こえは良いですが、彼らは多岐にわたる魔術を使いこなすには力が足りずに、やむを得ず専門分野へと細分化していったのです。」

エクレールは続ける

「だけどメイガスは違います。
メイガスは、夜空の星々のように無数あるとされる魔術を、自由に研究してその深淵を探ること。
そして究極の魔術を追い求めることを目的としています。
そのために全ての分野の魔術に、分け隔てなく接してきました。

それに対して、現在の魔術師達はいわばメイガスの劣化版。
メイガスはあらゆる種類の魔術師の源流であり、基になった存在なのです。」

「へー、でもそんなに凄いんなら、なんでみんなメイガスにならないんだ?」

「そこです。ならないと言うよりも、なれないと言った方が正しいのです。
メイガスの呪文は他の魔術系職の呪文に比べて遥かに大きな魔力を消費します。
それゆえ、使用するには大きなMPが必要となり、必然的にMPに関わるINTが重要ということになるわけです。」

なるほど、つまり地頭を良くしようと無理やりINTにステータスを振った俺の失敗が、意図せずしてメイガスには適していたということで、禍を転じて何とやらというやつか。

「その意味ではタケル様は、メイガスにとって最適の人材、スーパールーキーといっても過言ではありません。」

俺が考え込んでいるのを見てエクレールはさらに畳みかけてくる。

スーパールーキー!
なんとも心地よい響きだ。
そう俺は褒められると弱いのだ。

「わかった俺、メイガスになるよ。」

褒められたことの少ない俺は、なんだかんだでお世辞には弱いのだ。
あっけなくメイガスになることを承諾してしまう。

「わかっていただけましたか。ありがとうございます。では早速」

エクレールは俺の右手を取ると、先ほどのなにやら不可思議な紋様を手の甲に描き始めた。

「ふう、終わりました。
ステータスを確認して見ましょう。」

タケル・オオミヤ

職業 メイガス

LEVEL 1

HP 8
MP 2650

STR 10 (最小値)
VIT 10 (最小値) 
INT 265
AGI 10 (最小値)
WIS 10 (最小値)
LUC 18 (調整不可)

なんと、なけなしのHPがさらに減って8になってしまった。
その一方でMPは一気に10倍3ケタを軽く超えて2650まで増えている。

「メイガスは魔術特化の職業ですから、HPは最小限に留めてあります。
そのかわり見てください。レベル1にしてMPが2650もありますよ。
やっぱりタケルさんはメイガスになる為に生まれてきたのですね。」

エクレールは嬉しそうにホクホク顔だが、やはり魔力にしか興味はないらしい。
HP8はかなりやばいのではないだろうか。

「さらにタケルさんには、特別に書庫から第一階梯の攻撃魔法フォトン・ブラストをプレゼントします。
他の魔法職にも同じような魔法が存在しますが、威力は段違いです。
まあ、その分魔力をたくさん消費しますけれどね。」

フォトン・ブラストは一発で120ものMPを消費、確かに普通に計算したら並の魔術師では2、3発でMPが無くなってしまうかもしれない。
まあ今の俺なら20発以上は打てるので問題ないだろう。

こうして俺はメイガスとして異世界で新たなスタートを始めることになったのだ。



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