上 下
60 / 75

タケル、エルフ娘と出会う

しおりを挟む
「ねえねえ、アナタ、さっきの魔法はどこで覚えたものなの?」
魔法貴族のジーモン達から逃げ出して、路地裏で一息ついている俺に、突然金髪の少女が話しかけてきた。

「あんな魔法は初めて見たわ。なんていう魔法なの?」
さっきの俺達と魔法貴族のいさかいを見ていたようだ。

正体不明の金髪の少女はグングンと距離を詰めてくるが、近い、距離が近いのだ。
端正な顔立ちと美しい金髪が目の前に迫ってきて、ふんわりといい香りもしてくる。
これは、困るような嬉しいような。

「離れてください。タケルさんが困っています。」
俺が抵抗できないでいると、見かねたセフィアルが間に割って入る。

「フウン、タケルっていうの変わった名前ね。それにアナタは狼族、それも銀狼族ね。
タケルとはどういう関係なの?」
「私はタケルさんの眷属です」
「眷属ということは、この少年がアナタの主というわけ?」
「そのとおりです。何かおかしなところがありますか?」
「フウン、誇り高き狼族が、人族の眷属にねぇ。アナタ、ますます面白いわ。」
「さっきから突然現れて何を言っているんだ。そもそもオマエは誰なんだよ。」
「あら、自己紹介がまだだったわね、私はユーディット、見ての通りエルフよ。」

美しい外見に金髪から飛び出した長い耳、確かに彼女はエルフ、この世界でもエルフは容姿端麗のようだ。

「さっきアナタが屋台の前でトラブルに巻き込まれた時に使った魔法、あれは何なの?」
「あ、あれは黒魔法の一つだ。」
「ウソね。私達エルフは魔法には詳しいのよ。黒魔法の系統にあんなのはなかったはずだわ。」
アッサリとタケルの嘘を見抜いて、ユーディットは畳みかけてくる。

「うッ、それは・・・、そんなことオマエに話す必要はないだろ」
「オマエじゃなくて、ユーディットよ。まあ確かに初対面で自分の能力を話す人はいないわね。」
「ああ、そうだろ。」
「なら、決めたわ。私、アナタについていくわ。」
「ハァ?」
何故か、意味不明な結論を導き出す金髪少女に、俺は拍子抜けしてしまう。

「私、里を出てからずっと面白いことを探してきたの、狼族の少女を連れた人族の若者なんて初めて見たわ。それにさっきの魔法も。こんな面白そうなパーティーを放ってはおけないわよ。」
「何勝手なことを言ってるんだ。そもそも・・・」
「タケルさん、タケルさん。」
「ん、どうしたセフィアル。」
俺がきっぱり断ろうとすると、セフィアルが俺の袖を引いてくる。

「彼女の言う通り、エルフ族は魔術に長けた種族、連れて行けばタケルさんの魔力回復の役に立つかもしれません。」
「いや、そもそも本当の事を言っているかなんてわからないぞ、スパイかもしれないし。」

「レクイル、どうですか?」
「ううん、彼女から悪意は感じないよ。本当のことを言っているよ。お姉ちゃん」

「エルフは人族と違って、めったに嘘なんてつかないわよ。」
めったにということは、たまにはつくってことか。
確かに悪意があるようには見えないが、突然現れて勝手についてくる言い出すとか、どうも彼女は違う意味で危険人物の匂いがする。

どうしたものか決めかねるが、ここに長く留まっているのもマズい。
さっきのデブ貴族が追いかけてくるかもしれない。とりあえず俺達は宿屋に移動するした。
「逃がさないわよ」とか言って、ユーディットも俺達の後をついてくる。

部屋に入ると俺のローブの下で、一日中窮屈にしていたスノウが姿を見せる。

「え、うそ。その子・・・結晶獣なの?」
「ああスノウだ。」
「キャーー、可愛いーー。狼族に加えて結晶獣まで、やっぱり私の眼に狂いはなかったわ。」

勝手について来たエルフ娘は大興奮して、そのまま俺達の中に居着いてしまった。


ユーディット  エルフ族

職業 上位精霊使い(ハイ・エレメンタラー)
LEVEL 36

HP 104
MP 6513

STR 50
VIT 52 
INT 1357
AGI 105
WIS 50
LUC 58

魔法
第一階梯 エア・ニードル     (C2)
     エア・カッター     (C2)
     エア・ムーブ      (C2)
     
第二階梯 サモン・シルフ     (C3)
     ウインド・スクリーン  (C2)
     エア・トルネード    (C2)

第三階梯 テンペスト・ドライバー 
     カルム・イリュージョン 

第四階梯 ゲイル・スマッシャー
     エア・ミサイル

第六階梯 サモン・ジン


スキル
     風属性適正   (特大)  (Lv2)
     精霊召喚    (中)   (Lv4)
     魔法適正向上  (中)   (Lv6)
     魔法耐性向上  (中)   (Lv1)
     魔法詠唱速度上昇(中)   (Lv4)
     魔力操作    (中)   (Lv5)
     森林領域適正  (中)   (Lv1)

称号 風の愛し子
しおりを挟む

処理中です...