追放された俺、【神農具】で最強農家に! ~聖女も令嬢も俺の野菜に夢中。今さら実家(雑草)に泣きつかれても遅いんだが?~

うはっきゅう

文字の大きさ
9 / 10

第九話:決戦! 神農具、最終形態(コンバイン)

しおりを挟む
「農業ナメんなァァァァァ!!!」

 俺、アルト・バルフォアの絶叫が、テルマ村の空に響き渡った。
 S級の厄災、炎竜(ファイヤードラゴン)。
 その巨体が、俺が丹精込めて育てた【ゴールデン・ロケット・コーン】畑を無残に踏みにじり、あまつさえ美味そうにムシャムシャと食っている。
 許さねえ。
 絶対に、だ。

「アルト様!  お逃げください!」
「アルト殿!  無謀だ!  相手はドラゴンぞ!」

 聖女セレナも、公爵の騎士たちも悲鳴を上げる。
 リリアに至っては、「アルトさーん!」と泣き叫びながら、こちらへ走ってこようとして、リック村長に羽交い締めにされていた。

「(グルルル……?)」

 ドラゴンが、鬱陶しそうに俺を見た。
 たかが人間(アリ)一匹が、自分に向かってくるのが理解できない、という顔だ。
 そして、その巨大な顎(あぎと)が開き、喉の奥が灼熱の赤色に輝き始めた。
 ――ブレスだ!

「フンッ!」

 俺は、突進の勢いのまま、地面に転がっていた【鋼鉄カボチャ】を蹴り上げた!

「(デカすぎて防具になんねえよ!  盾だ!)」

 【神聖農業】スキルで強化された俺の脚力が、数百キロはありそうなカボチャを宙に飛ばす!
 カボチャが俺の目の前に来た瞬間、ドラゴンから極太の炎の柱が放たれた!
 ゴオオオオオオオオッ!!
 灼熱のブレスが、【鋼鉄カボチャ】に直撃する!
 一瞬。
 オリハルコン並みの硬度を誇るカボチャが、真っ赤に灼け、そして――耐えきれずに爆散した!

「ぐっ!  熱(あつ)ッ!?」 

 爆散したカボチャの破片と、ブレスの余波が俺を襲う。
 俺は、咄嗟にガイア(クワ)で身を守りながら後方へ跳んだ。

「チッ……!  さすがにカボチャ一個じゃ、ブレスは防ぎきれねえか!」

 服の袖が少し焦げている。

「(グオオオオ!)」

 ドラゴンが、俺を完全に「敵」と認識した。
 再びブレスの予備動作に入る!

《主よ!  あのままではジリ貧だ!》

 ガイアが、俺の脳内に叫ぶ!

《あれ(ドラゴン)は、星の厄災!  通常の作物(ウェポン)では、皮膚(うろこ)一枚貫けぬぞ!》
「わかってるよ!  トマト(爆裂)じゃ、ゴブリンが関の山だ!」

 俺は、畑の隅に転がっている【爆裂トマト】を数個掴み、渾身の力で投げつける!

 ドゴン!  ドゴン!  ドゴン!

 トマトがドラゴンの顔面や巨体に次々着弾し、爆発する!
 だが!

「(グルル……?)」

 ドラゴンは、少し鬱陶しそうに頭を振っただけ。
 あのゴブリンを木っ端微塵にしたトマト爆弾が、まるで豆鉄砲だ。鱗に、焦げ跡一つつかない。

「クソッ!  硬え!」
「アルト様!  もうやめて!」

 セレナの悲痛な声が飛ぶ。
 だが、俺は諦めない。
 俺は農家だ。
 農家は、害獣がどれだけ強大でも、知恵と道具で駆除する。

「……そうか。知恵と、道具、か」

 俺の視線が、畑に突き刺さったままの【ゴールデン・ロケット・コーン】と、今まさに踏み潰されようとしている【鋼鉄カボチャ】、そして【爆裂トマト】に向けられた。

(一個一個がダメなら……全部、合わせりゃいいんじゃねえか?)

 俺の脳内に、天啓が閃いた。 

「ガイア!」
《応!》
「お前の真の力、見せてみろ!  農業っつったら、収穫だ!  収穫っつったら、『アレ』だろうが!」
《フハハハハ!  待っていたぞ、その言葉を!  我が主よ!》

 ガイアが、俺の意志に応えて、凄まじい光を放ち始めた!

「いけェ!  【神農具・変形】!!」 

 俺が握るガイアが、機械音を立てながら、その姿を変えていく!
 クワの刃が分離し、柄が収縮し、金属部分が再構築されていく!

 それは、もはや農具ではなかった。
 それは、巨大な「砲身」だった。

 そう、これこそが農業の最終兵器!
 【神農具・最終形態(コンバイン・キャノン)】!!

「な、なんだ、あのクワは!?」
「変形したぞ!?」 

 騎士たちが叫ぶ。

「(グオオオオオ!!)」

 ドラゴンも、ガイアから放たれる尋常ならざる魔力に気づき、最大級のブレスを溜め込み始めた!

「(撃ち合い上等だ、トカゲ野郎!)」

 俺は、変形したガイア(砲身)をドラゴンに向ける!
 そして、畑からありったけの作物をブチ込む!

「まず、【鋼鉄カボチャ】をくり抜いて『砲弾ケース』に!」
(超スピードでカボチャをくり抜く俺!)
「中に、【爆裂トマト】を『炸薬』として限界まで詰め込む!」
(真っ赤なトマトを詰め込む俺!)
「そして!  推進力(エネルギー)はこれだ!  【ゴールデン・ロケット・コーン】!!」
(黄金のトウモモロコシを、カボチャ砲弾の後部に連結!)
「装填、完了!」

 俺は、即席で作った「規格外の砲弾」を、ガイア(コンバイン・キャノン)の砲身に叩き込んだ! 

《主よ!  エネルギー充填、120%!  いつでも撃てるぞ!》
「おうよ!」

 ドラゴンが、ブレスを放つ!
 世界を焼き尽くさんとする、極大の炎の奔流が俺に迫る!
 俺も、叫ぶ! 

「食らえ!  農業の……!  収穫(すべて)を!!」
「【豊作キャノン(ハーヴェスト・バスター)】ッッ!!」 

 ズドオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 ガイアの砲口から放たれたのは、もはや「砲弾」ではなかった。
 黄金のトウモロコシのエネルギーが、爆裂トマトの力で圧縮・解放され、鋼鉄カボチャの破片を巻き込みながら、極太の「黄金色の破壊光線」となって放たれたのだ!
 黄金の光線が、ドラゴンの灼熱ブレスと真正面から激突する! 

 ジュオオオオオオオ!! 

 空間が歪むほどのエネルギーの衝突!
 数秒間、二つの力は拮抗した。

「負けるかァァァァ!!」

 俺は、全身の生命力をガイアに注ぎ込む!

《主よ!  もっとだ!  もっと寄越せ! 》
「うおおおおおおお!!!」

 俺の生命力(雑草パワー)を得て、黄金の光線が、さらに輝きを増す!
 そして――
 ドラゴンのブレスを、押し返した!

「(グオオオオオ!?)」

 ドラゴンが、信じられないという顔で目を見開く。
 だが、もう遅い。
 黄金の【豊作キャノン】が、ドラゴンの巨体を、完全に飲み込んだ。

 閃光。
 轟音。
 そして、静寂。

 光が収まった時、そこに立っていたのは、ガイア(クワの姿に戻りかけている)を肩に担ぎ、荒い息をつく俺の姿だけ。
 あれほど巨大だったドラゴンは、跡形もなく消滅していた。
 空には、焦げたトウモロコシの、香ばしい匂いが立ち込めていた。

「…………」

 俺は、踏み荒らされた畑を見下ろし、ポツリと呟いた。

「……ああ。今年のトウモロコシ、収穫、ゼロかよ……」

 最強農家の戦いは、S級ドラゴンをワンパンで仕留め、こうして幕を閉じた。

※なお、ドラゴンの素材(レアアイテム)も、光線で全て消し飛んだため、収穫はゼロだった
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

「お前は用済みだ」役立たずの【地図製作者】と追放されたので、覚醒したチートスキルで最高の仲間と伝説のパーティーを結成することにした

黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――役立たずの【地図製作者(マッパー)】として所属パーティーから無一文で追放された青年、レイン。死を覚悟した未開の地で、彼のスキルは【絶対領域把握(ワールド・マッピング)】へと覚醒する。 地形、魔物、隠された宝、そのすべてを瞬時に地図化し好きな場所へ転移する。それは世界そのものを掌に収めるに等しいチートスキルだった。 魔力制御が苦手な銀髪のエルフ美少女、誇りを失った獣人の凄腕鍛冶師。才能を活かせずにいた仲間たちと出会った時、レインの地図は彼らの未来を照らし出す最強のコンパスとなる。 これは、役立たずと罵られた一人の青年が最高の仲間と共に自らの居場所を見つけ、やがて伝説へと成り上がっていく冒険譚。 「さて、どこへ行こうか。俺たちの地図は、まだ真っ白だ」

追放された凡人魔導士ですが、実は世界最強の隠しステ持ちでした〜気づかないうちに英雄扱いされて、美少女たちに囲まれていました〜

にゃ-さん
ファンタジー
「お前は凡人だ。パーティから追放だ」 勇者パーティの役立たずと蔑まれ、辺境へと追放された下級魔導士エイル。 自分でも平凡だと信じて疑わなかった彼は、辺境でのんびり暮らそうと決意する。 だが、偶然鑑定を受けたことで判明する。 「……え?俺のステータス、バグってないか?」 魔力無限、全属性適性、成長率無限大。 常識外れどころか、世界の理そのものを揺るがす「世界最強の隠しステ」を抱えた、規格外のチートだった。 自覚がないまま災厄級の魔物をワンパンし、滅亡寸前の国を片手間で救い、さらには救われた美少女たちから慕われ、いつの間にかハーレム状態に。 一方、エイルを追放した勇者たちは、守ってもらっていた無自覚チートを失い、あっという間に泥沼へと転落していく。 「俺、本当に凡人なんだけどなあ……」 本人だけが自分を凡人だと思い込んでいる、無自覚最強魔導士の、追放から始まる自由気ままな英雄譚。 ざまぁ上等、主人公最強&ハーレム要素たっぷりでお届けします。

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

氷の精霊と忘れられた王国 〜追放された青年、消えた約束を探して〜

fuwamofu
ファンタジー
かつて「英雄」と讃えられた青年アレンは、仲間の裏切りによって王国を追放された。 雪原の果てで出会ったのは、心を閉ざした氷の精霊・リィナ。 絶望の底で交わした契約が、やがて滅びかけた王国の運命を変えていく――。 氷と炎、愛と憎しみ、真実と嘘が交錯する異世界再生ファンタジー。 彼はなぜ忘れられ、なぜ再び立ち上がるのか。 世界の記憶が凍りつく時、ひとつの約束だけが、彼らを導く。

異世界レストラン・フェルマータ ~追放料理人の俺、神の舌で世界を喰らう~

たまごころ
ファンタジー
王都の五つ星料理店を追放された若き料理人カイ。理不尽な仕打ちに絶望しかけたその瞬間、彼は異世界で目を覚ます。 そこは「味覚」が魔力と結びついた世界──。美味を極めれば魔力が高まり、料理は民を癒やし、王すら跪く力を持つ。 一介の料理人だったカイは、神の舌「フェルマータ」の力に目覚め、貧しい村に小さな食堂を開く。 だがその料理は瞬く間に世界を変え、王侯貴族、聖女、竜姫、女勇者、果ては神々までが彼の皿を求めるようになる。 追放された男の、料理と復讐と愛の異世界成り上がり劇、ここに開店!

【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました

東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。 王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。 だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。 行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。 冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。 無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――! 王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。 これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。

処理中です...