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第一章・覚醒 編
第5話:捨てられた「誇り」と、捨ててきた「クズ」
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静寂が、「冒険者の墓場」を支配していた。
先ほどまで、ランクパーティーをも退けたBランクダンジョンの主、オークジェネラルが荒れ狂っていたのが、嘘のようだ。
残されたのは、全身からアドレナリンが抜け、立っているのもやっとの俺、エディと、俺に肩を預け、荒い息を繰り返す狼族の少女、フェン。
そして、主を失い、静かに床に転がる、巨大な「遺物」。
オークジェネラルが逃走時に落としていった、血塗れの戦斧だ。
「……ハァ……ハァ……。行った、か」
俺は、あまりの疲労感に、その場にへたり込みそうになるのを、必死でこらえた。
背後で、フェンが俺のボロボロの服の裾を、ギュッと掴んでいる。
「……エディ、さん。わたくしたち……本当に、勝った、んですね?」
「ああ。いや……」
俺は、ダンジョンの奥深く、奴が逃げていった暗闇を睨みつけた。
「追い払っただけだ。だが、あいつはもう、俺たちを『獲物』だとは思わねえだろうな」
二度と、関わり合いたくない、と。
そう思わせるだけの「恐怖」は、あの「ゴミの矢」と共に、奴の脳天に突き刺してやったはずだ。
「それより、フェン。腕、大丈夫か」
「あ……はい! 【不屈の盾】のスキルのおかげで、痛みは……でも、やっぱり、力は……」
フェンは、左腕を庇うように、自分の相棒に寄りかかる。
俺の万物拾得による【真名解放】は、彼女のスキルを進化させ、負傷状態でも盾を構えられるようにしたが、怪我そのものを治したわけではない。
あの白狼の城壁は、まさに満身創痍の彼女が、最後の誇りを振り絞って発動させた、奇跡の一撃だった。
(このままじゃ、まずいな)
俺の【高速思考】が、現状のリスクを弾き出す。
オークジェネラルは去ったが、ここはダンジョンの下層だ。
ホブゴブリンや、それ以下の雑魚モンスターが、血の匂いを嗅ぎつけて集まってくる可能性は高い。
俺の【空間収納】には、応急処置セット(元・聖女セシリアの備品)はあるが、ポーションのような即効性のある回復薬は、レオンたちに「ゴミ」扱いされて以来、持たされたことすらなかった。
「……少し、待ってろ」
「え?」
「ここで、最後の『ゴミ拾い』だ」
俺は、フェンを安全な壁際に座らせると、よろめきながら立ち上がった。
狙いは、言うまでもない。
オークジェネラルが残していった、「最強のゴミ」。
血塗れの戦斧。
長さは、俺の身長(チビだ)よりも遥かにデカい。
こんなもの、まともに振り回せるのは、あの化け物くらいだろう。
だが、俺のスキルは、そんな常識をブチ壊す。
(こいつは、オークジェネラルが「捨てて」いったモノだ)
あいつは、生き延びるために、この「武器」という名の誇りの一部を、自ら切り捨てて逃げた。
ならば、それは「所有権を喪失したアイテム」だ。
俺の、万物拾得の、最高の獲物だ!
俺は、その巨大な戦斧に、右手をかざした。
「―――万物拾得、発動」
『スキル【万物拾得】が発動します』
『対象:オークジェネラルの戦斧(呪怨)』
(呪怨!?)
ゾクリ、と背筋が凍った。
ただのアイテムじゃない。
無数の冒険者の血を吸い、怨念がこびりついている。
『このアイテムは、前所有者(オークジェネラル)の強烈な「喪失」の怨念に汚染されています』
『通常の「拾得」は、使用者の精神を汚染する危険性があります』
『「喪失」の怨念を、「無」に浄化しますか?』
『それとも、怨念ごと、力として「拾得」しますか?』
(浄化……だと?)
俺のスキル、万能すぎだろ。
だが、俺は、ニヤリと笑った。
(レオンたちへの復讐を誓った俺が、今更、こんな化け物の「怨念」なんかにビビるかよ)
「―――決まってる。力は、微塵も残さず、すべて拾う!」
俺は、あえて「怨念ごと拾得」を選んだ。
『……了解。怨念の「核」となっている「喪失物」を拾得します』
次の瞬間、戦斧から、おびただしい量の「黒い霧」が、俺の右腕に流れ込んできた!
「ぐ……っ……があああああっ!」
脳が、焼ける!
オークジェネラルの、敗北の記憶! 怒り! 憎しみ!
俺の高速思考が、その膨大な負の情報(ゴミ)を、無理やり解析し、分解し、俺の「力」へと再構築していく!
『【万物拾得】が、対象の「怨念の核」を解析しました』
『スキル【大斧術 LV1】の欠片(1/10)を拾得しました』
『スキル【筋力 LV7】の欠片(1/10)を拾得しました』
『スキル【憤怒(バーサーク) LV1】の欠片(1/10)を拾得しました』
「……ハァ……ハァ……!」
キタ! キタキタキタ!
【筋力LV7】だと!?
俺がこの墓場で合成した【筋力LV5】を、遥かに上回る、化け物の「力」の欠片!
【大斧術】! これで、俺も巨大な武器を振り回せる!
そして……【憤怒(バーサーク)】。
さっき、奴が理性を失って暴走したスキルか。
ヤバそうなスキルだが、使いようによっちゃ、最強の切り札になる!
「エディさん!? だ、大丈夫ですか!?」
フェンが、心配そうに叫んでいる。
「ああ……問題ない。むしろ、最高だ」
俺は、立ち上がった。
まだだ。俺の「ゴミ拾い」は、まだ終わっちゃいない。
俺は、さっき俺がオークジェネラルの目を突き刺した、あの「羽が取れた矢(ゴミ)」を拾い上げた。
あれは、俺が【筋力LV5】と【剛力】の欠片のパワーを込めて、突き刺した「俺のモノ」だ。
だが、オークジェネラルの目に突き刺さったことで、とんでもない「オマケ」がついてきた。
『対象:オークジェネラルの眼球(の欠片)が付着した矢』
『【万物拾得】が発動します』
『スキル【魔眼(邪視) LV1】の欠片(1/10)を拾得しました』
『スキル【恐怖耐性 LV2】の欠片(3/10)を拾得しました』
(魔眼、だと……!?)
相手を威圧したり、動きを鈍らせたりする、高位の威圧スキル!
あのオークジェネラルの、赤い瞳の力か!
とんでもない「掘り出し物(ゴミ)」だ!
「よし、フェン! 行くぞ!」
俺は、巨大な戦斧を【空間収納】に放り込み、(持ち運べるわけがねえ)、フェンの元へ駆け寄った。
【筋力LV7】の欠片を拾ったせいか、さっきまでの疲労が、少しマシになっている気がする。
俺は、フェンが落としたままになっていた、彼女の私物(ボロボロの背嚢)を拾い上げ、代わりに俺が背負う。
「あ……あの、エディさん」
「なんだ?」
「わたくしの荷物まで……ありがとうございます」
「いいってことよ。俺は『荷物持ち』だったからな。これくらい、慣れてる」
俺がそう言って笑うと、フェンは、一瞬、泣きそうな顔をして、
「……あなたは、『荷物持ち』なんかじゃ、ありません」
そう、力強く言った。
「あなたは……わたくしの『誇り』を拾ってくれた……わたくしの、恩人、です」
「……買い被りすぎだ。俺は、俺がやりたいようにやっただけだ」
俺は、フェンの怪我をしていない方の腕を、自分の肩に回させ、体重を預けさせた。
「しっかり掴まってろよ。ここから、地上まで、一気に駆け上がる」
「……はい!」
狼族の少女の、柔らかさと、温かさが、背中に伝わってくる。
だが、今の俺には、それを意識する余裕も、邪(よこしま)な考えも、一切なかった。
あるのは、俺たちを「ゴミ」として捨てた、クズどもへの、燃え上がるような復讐心だけだ。
……俺とフェンは、ダンジョンの上層へと、慎重に、だが、確実に戻っていった。
オークジェネラルとの戦いで、俺たちのレベル(存在)は、このダンジョンの雑魚モンスターが手を出せる領域を、遥かに超えていた。
ゴブリンや、オークの数匹の群れが、俺たちの姿を見つけて襲い掛かってきても、
フェンが、俺の前に立ち、
「―――白狼の城壁!」
詠唱破棄で、小型の「光の盾」を展開し、
ガギン! と、敵の攻撃をすべて弾き返す。
「すげえな、それ」
「はい! エディさんのおかげで、わたくしのスキルは、こんな風に、自在に『形』を変えられるようになりました! これなら、魔力の消費も抑えられます!」
フェンは、嬉しそうだ。
ランクスキルホルダーとしての「誇り」を取り戻した彼女は、もう、ただ守られるだけの少女ではなかった。
俺が、ホブゴブリンの一匹に、さっき拾った【筋力LV5】(欠片が揃って合成済み)を込めた拳を叩き込む。
「グゲッ」と、蛙が潰れたような声を上げて、魔物が壁の染みになる。
俺も、もう、ただの「荷物持ち」じゃない。
俺たちは、最強の「盾」と、最強の「剣」(今は素手だが)として、完璧に機能していた。
「冒険者の墓場」で拾った、数々のスキルの欠片が、俺の基礎ステータスを、ランク冒険者の領域へと、急速に押し上げていた。
そして、ダンジョンに潜ってから、丸一日以上が経っただろうか。
ついに、俺たちの目の前に、あの忌まわしい記憶の場所――
俺が、レオンたちに追放された、ダンジョンの中層と上層を繋ぐ、広間へと、たどり着いた。
「……ここだ」
俺は、足を止めた。
ここで、俺はレオンに「ゴミ」と罵られ、リリアに「生理的に無理」と蔑まれ、ガイルに「役立たず」と蹴り飛ばされた。
俺の、人生のどん底。
だが、俺の「伝説」が始まった場所でもある。
「エディさん……?」
フェンが、俺の顔に宿った暗い炎に気づき、不安そうに俺を見上げる。
俺は、首を振った。
「……なんでもない。行こう。地上は、もうすぐだ」
そう言って、一歩、踏み出そうとした、その時だった。
「―――チッ。結局、いねえじゃねえか」
「だから言ったろ。オークジェネラルに食われて、骨も残ってねえって」
「ああ、クソ! あの狼紋のタワーシールド、ランクのくせに防御力だけは高かったから、高く売れると思ったのによ!」
―――声が、した。
地上の出口へと続く、唯一の通路。
その影から、三人の冒険者が、舌打ちをしながら姿を現した。
俺は、その声を聞いた瞬間、隣にいるフェンの体が、氷のように、硬直したのを感じた。
「……あ……」
フェンの喉から、絞り出すような、絶望と、憎しみの声が漏れた。
「……アルト……」
現れた三人の男。
先頭を歩く、いかにも「リーダー」然とした、銀髪の優男。
フェンが、オークジェネラルの囮にされた時、彼女を見捨てて逃げた、ランクパーティー「銀の風」のリーダー、アルト。
その張本人だった。
「ん?」
アルトたちは、俺たち二人の存在に、ようやく気づいた。
彼らの顔が、驚愕に、そして、信じられないものを見るかのように、歪んだ。
「……は? ……フェン? なんで、お前……生きて……」
アルトが、幽霊でも見たかのような顔で、固まった。
その後ろにいた、盗賊風の男と、魔術師風の男も、
「う、嘘だろ……!? あの状況で……!?」
「化け物かよ……!」
と、口々に、驚きを隠せないでいる。
なるほどな。
【高速思考】が、一瞬で状況を理解した。
こいつら、フェンを見捨てて逃げただけじゃねえ。
フェンが死んだと確信して、彼女が持っていた高価なランクアイテム(盾)を、「回収」するためだけに、この危険なダンジョンに戻ってきたんだ。
仲間の命よりも、アイテムが大事な、クズ中のクズ。
アルトは、数秒の硬直の後、
ハッ、と我に返り、次の瞬間、
今世紀最大とも言えるような、「心配しきった友」の顔を、貼り付けた。
「フェン! よかった……! 生きていたんだな!」
アルトが、両手を広げ、感動の再会を演じるかのように、駆け寄ってくる。
「信じていたよ! 君なら、ランクスキル【絶対守護】で、きっと耐えきってくれると!」
「……」
フェンは、震えていた。
だが、それは「恐怖」からではなかった。
抑えきれない「怒り」と、「侮蔑」からだ。
「……よく、そんな嘘が、つけますね」
フェンが、地を這うような低い声で、そう呟いた。
「……え? フェン、何を……」
アルトの、完璧な「笑顔」が、ピシリ、と音を立てて固まった。
こいつ、フェンが泣いて感謝して、許しを請うとでも、思っていたらしい。
「わたくしを『囮』にして、逃げたくせに!」
フェンが、叫んだ。
「オークジェネラルに食われて、死んだと思って! わたくしの盾を、盗むために戻ってきたんでしょう!」
「……っ!」
図星を突かれて、アルトの後ろにいた二人が、ビクリと肩を震わせた。
アルトの顔から、急速に、「笑顔」が消えていく。
「……ハハ。なんだ、気づいてたのか」
アルトは、銀髪をかき上げ、隠すこともなく、冷酷な目でフェンを睨みつけた。
「なら、話が早い。ランクスキルのくせに、オークジェネラルの一匹も足止めできない、役立たずが」
「な……!」
「お前は、今日、ここで死んだ。俺たちは、お前の死体と、お前が持っていた『パーティーの共有物)』である盾を、回収しに来た。……それだけだ」
俺は、その言葉を聞いて、確信した。
こいつは、俺を追放した勇者レオンと、同種のクズだ。
仲間を「道具」としか見ていない。
自分たちの都合で「価値」を決め、不要になれば「ゴミ」として捨てる。
アルトは、そこで初めて、フェンを庇(かば)うように立っている、俺の存在に、目を向けた。
「……なんだ、お前は。そのボロボロの格好……ゴミ拾いか?」
アルトの目が、俺の腰にぶら下がっている、空のポーション瓶(ゴミ)や、折れた矢(ゴミ)を、値踏みするように見た。
「ああ、そうか。こいつが、お前の新しい『ご主人様』か? 獣人は、飼い主がいねえと、生きていけねえもんな」
下卑た笑いを浮かべるアルトと、その仲間たち。
その瞬間、俺の中で、何かが、ブチリ、と、キレた。
俺は、ゆっくりと、フェンを背中にかばい、一歩、前に出た。
「……ああ、そうだ」
俺は、アルトたち三人を、真正面から睨みつけた。
「俺は、ゴミ拾いだ」
俺は、さっきまでフェンが持っていた、ボロボロの背嚢を、奴らの前に、ドサリ、と投げ捨てた。
「そして、あんたたちが『捨てた』ゴミを、拾いに来た」
「……ハ?」
アルトが、怪訝な顔をする。
俺は、続ける。
「あんたたちが、このダンジョンに『捨てた』モノ。
それは、この背嚢(ゴミ)でも、あの盾(ランクアイテム)でもねえ」
俺は、右手を、スッ、と、俺の背後で怒りに震える、フェンに向けた。
いや、フェンが持つ、「盾」に。
「あんたたちが捨てたのは、『仲間』の誇りだ。
ランクパーティーが、三人掛かりで束になっても敵わねえ、最強の『信頼』だ」
「……何、言ってんだ、こいつ?」
盗賊風の男が、気味悪そうに、アルトに尋ねる。
アルトも、完全に俺を「イカれた奴」と判断したようだ。
彼は、腰の剣に手をかけた。
「……もういい。フェン。最後のチャンスだ。そのゴミ拾いを殺して、俺たちの元に戻ってこい。そうすれば、今までの『裏切り』は、許してやる」
どこまでも、上から目線。
どこまでも、自分が「上」だと、信じて疑っていない。
フェンは、俺の背後から、静かに、一歩、前に出た。
左腕は、まだ、痛むはずだ。
だが、彼女は、その左腕で、堂々と、狼紋のタワーシールドを、構えた。
その瞳は、もう、迷っていなかった。
「……エディさん」
「なんだ?」
「わたくしに、こいつらを『ゴミ』にする許可を、いただけますか?」
フェンの、琥珀色の瞳が、狼のように、ギラリ、と光った。
俺は、最高に、愉快な気分になって、口の端を吊り上げた。
「―――ああ。好きにしろ」
俺は、腕を組んで、壁に寄りかかった。
「存分に、『お掃除』してやれ」
「……チッ。二人まとめて、イカれてやがる!」
アルトが、ついにキレた!
「やれ! あの女、殺しても構わん! 盾さえ無事ならな!」
三人が、一斉に、武器を構えて、フェンに襲い掛かる!
だが、遅い。
あまりにも、遅すぎた。
フェンは、もう、お前たちが知っている、ただの「盾役」じゃない。
俺という「相棒」を得て、進化した、最強の「城壁」だ。
フェンは、迫り来る三匹の「ゴミ」に向かって、
静かに、盾を、地面に突き立てた。
「―――白狼の城壁」
それは、オークジェネラルを弾き返した時のような、巨大な「壁」ではなかった。
フェンを中心に、
ゴウッ! と、
光の衝撃波が、全方位に、爆発した!
「なっ!?」
「ぐあああああああ!?」
「ぎゃあああっ!」
アルト、盗賊、魔術師。
三人の体は、光の津波に飲み込まれた「ゴミ」のように、
あっけなく、宙を舞い、
ダンジョンの、硬い岩盤の壁に、叩きつけられた!
ゴシャッ! と、嫌な音が、広間に響き渡る。
「……が……は……」
三人は、壁に叩きつけられたまま、ピクリとも動かない。
即死は、していない。
フェンが、手加減したからだ。
ランクパーティー「銀の風」、
たった、一撃。
フェン、一人の、スキル一発で、
全滅。
「……」
フェンは、静かに、盾を下ろした。
その顔に、仲間を傷つけた、感傷は、一切なかった。
「……行きますか、エディさん」
「……ああ」
俺は、壁に張り付いた「ゴミ」たちには、一瞥もくれず、
フェンに、再び、肩を貸した。
俺たちが、その広間を、通り過ぎようとした、その時。
壁際で、アルトが、血反吐を吐きながら、うめき声を上げた。
「……ま、待て……。な、なんだ……今の、スキルは……」
こいつ、まだ、意識があったのか。
「……お前の【絶対守護】は、そんな、攻撃的な……」
こいつは、まだ、自分たちが「何に」負けたのか、理解できていない。
俺は、足を止め、
振り返り、
このダンジョンの、一番深い「絶望)」を、こいつに、くれてやることにした。
「……ああ、そうだ」
俺は、アルトに向かって、最高の「笑顔」を、見せてやった。
「あんたたちが、ランクパーティー総出で、逃げ出した、
あの『オークジェネラル』。
俺たち、とっくの昔に、倒してきたぜ?」
「……え…………?」
アルトの顔が、
血の気を失い、
恐怖と、絶望と、
「信じられない」という、現実逃避で、
グチャグチャに、歪んでいく。
ハハッ!
最高に、いい「ゴミ」の顔だ。
俺は、フェンと共に、地上へと続く、光の差す方へと、歩き出した。
先ほどまで、ランクパーティーをも退けたBランクダンジョンの主、オークジェネラルが荒れ狂っていたのが、嘘のようだ。
残されたのは、全身からアドレナリンが抜け、立っているのもやっとの俺、エディと、俺に肩を預け、荒い息を繰り返す狼族の少女、フェン。
そして、主を失い、静かに床に転がる、巨大な「遺物」。
オークジェネラルが逃走時に落としていった、血塗れの戦斧だ。
「……ハァ……ハァ……。行った、か」
俺は、あまりの疲労感に、その場にへたり込みそうになるのを、必死でこらえた。
背後で、フェンが俺のボロボロの服の裾を、ギュッと掴んでいる。
「……エディ、さん。わたくしたち……本当に、勝った、んですね?」
「ああ。いや……」
俺は、ダンジョンの奥深く、奴が逃げていった暗闇を睨みつけた。
「追い払っただけだ。だが、あいつはもう、俺たちを『獲物』だとは思わねえだろうな」
二度と、関わり合いたくない、と。
そう思わせるだけの「恐怖」は、あの「ゴミの矢」と共に、奴の脳天に突き刺してやったはずだ。
「それより、フェン。腕、大丈夫か」
「あ……はい! 【不屈の盾】のスキルのおかげで、痛みは……でも、やっぱり、力は……」
フェンは、左腕を庇うように、自分の相棒に寄りかかる。
俺の万物拾得による【真名解放】は、彼女のスキルを進化させ、負傷状態でも盾を構えられるようにしたが、怪我そのものを治したわけではない。
あの白狼の城壁は、まさに満身創痍の彼女が、最後の誇りを振り絞って発動させた、奇跡の一撃だった。
(このままじゃ、まずいな)
俺の【高速思考】が、現状のリスクを弾き出す。
オークジェネラルは去ったが、ここはダンジョンの下層だ。
ホブゴブリンや、それ以下の雑魚モンスターが、血の匂いを嗅ぎつけて集まってくる可能性は高い。
俺の【空間収納】には、応急処置セット(元・聖女セシリアの備品)はあるが、ポーションのような即効性のある回復薬は、レオンたちに「ゴミ」扱いされて以来、持たされたことすらなかった。
「……少し、待ってろ」
「え?」
「ここで、最後の『ゴミ拾い』だ」
俺は、フェンを安全な壁際に座らせると、よろめきながら立ち上がった。
狙いは、言うまでもない。
オークジェネラルが残していった、「最強のゴミ」。
血塗れの戦斧。
長さは、俺の身長(チビだ)よりも遥かにデカい。
こんなもの、まともに振り回せるのは、あの化け物くらいだろう。
だが、俺のスキルは、そんな常識をブチ壊す。
(こいつは、オークジェネラルが「捨てて」いったモノだ)
あいつは、生き延びるために、この「武器」という名の誇りの一部を、自ら切り捨てて逃げた。
ならば、それは「所有権を喪失したアイテム」だ。
俺の、万物拾得の、最高の獲物だ!
俺は、その巨大な戦斧に、右手をかざした。
「―――万物拾得、発動」
『スキル【万物拾得】が発動します』
『対象:オークジェネラルの戦斧(呪怨)』
(呪怨!?)
ゾクリ、と背筋が凍った。
ただのアイテムじゃない。
無数の冒険者の血を吸い、怨念がこびりついている。
『このアイテムは、前所有者(オークジェネラル)の強烈な「喪失」の怨念に汚染されています』
『通常の「拾得」は、使用者の精神を汚染する危険性があります』
『「喪失」の怨念を、「無」に浄化しますか?』
『それとも、怨念ごと、力として「拾得」しますか?』
(浄化……だと?)
俺のスキル、万能すぎだろ。
だが、俺は、ニヤリと笑った。
(レオンたちへの復讐を誓った俺が、今更、こんな化け物の「怨念」なんかにビビるかよ)
「―――決まってる。力は、微塵も残さず、すべて拾う!」
俺は、あえて「怨念ごと拾得」を選んだ。
『……了解。怨念の「核」となっている「喪失物」を拾得します』
次の瞬間、戦斧から、おびただしい量の「黒い霧」が、俺の右腕に流れ込んできた!
「ぐ……っ……があああああっ!」
脳が、焼ける!
オークジェネラルの、敗北の記憶! 怒り! 憎しみ!
俺の高速思考が、その膨大な負の情報(ゴミ)を、無理やり解析し、分解し、俺の「力」へと再構築していく!
『【万物拾得】が、対象の「怨念の核」を解析しました』
『スキル【大斧術 LV1】の欠片(1/10)を拾得しました』
『スキル【筋力 LV7】の欠片(1/10)を拾得しました』
『スキル【憤怒(バーサーク) LV1】の欠片(1/10)を拾得しました』
「……ハァ……ハァ……!」
キタ! キタキタキタ!
【筋力LV7】だと!?
俺がこの墓場で合成した【筋力LV5】を、遥かに上回る、化け物の「力」の欠片!
【大斧術】! これで、俺も巨大な武器を振り回せる!
そして……【憤怒(バーサーク)】。
さっき、奴が理性を失って暴走したスキルか。
ヤバそうなスキルだが、使いようによっちゃ、最強の切り札になる!
「エディさん!? だ、大丈夫ですか!?」
フェンが、心配そうに叫んでいる。
「ああ……問題ない。むしろ、最高だ」
俺は、立ち上がった。
まだだ。俺の「ゴミ拾い」は、まだ終わっちゃいない。
俺は、さっき俺がオークジェネラルの目を突き刺した、あの「羽が取れた矢(ゴミ)」を拾い上げた。
あれは、俺が【筋力LV5】と【剛力】の欠片のパワーを込めて、突き刺した「俺のモノ」だ。
だが、オークジェネラルの目に突き刺さったことで、とんでもない「オマケ」がついてきた。
『対象:オークジェネラルの眼球(の欠片)が付着した矢』
『【万物拾得】が発動します』
『スキル【魔眼(邪視) LV1】の欠片(1/10)を拾得しました』
『スキル【恐怖耐性 LV2】の欠片(3/10)を拾得しました』
(魔眼、だと……!?)
相手を威圧したり、動きを鈍らせたりする、高位の威圧スキル!
あのオークジェネラルの、赤い瞳の力か!
とんでもない「掘り出し物(ゴミ)」だ!
「よし、フェン! 行くぞ!」
俺は、巨大な戦斧を【空間収納】に放り込み、(持ち運べるわけがねえ)、フェンの元へ駆け寄った。
【筋力LV7】の欠片を拾ったせいか、さっきまでの疲労が、少しマシになっている気がする。
俺は、フェンが落としたままになっていた、彼女の私物(ボロボロの背嚢)を拾い上げ、代わりに俺が背負う。
「あ……あの、エディさん」
「なんだ?」
「わたくしの荷物まで……ありがとうございます」
「いいってことよ。俺は『荷物持ち』だったからな。これくらい、慣れてる」
俺がそう言って笑うと、フェンは、一瞬、泣きそうな顔をして、
「……あなたは、『荷物持ち』なんかじゃ、ありません」
そう、力強く言った。
「あなたは……わたくしの『誇り』を拾ってくれた……わたくしの、恩人、です」
「……買い被りすぎだ。俺は、俺がやりたいようにやっただけだ」
俺は、フェンの怪我をしていない方の腕を、自分の肩に回させ、体重を預けさせた。
「しっかり掴まってろよ。ここから、地上まで、一気に駆け上がる」
「……はい!」
狼族の少女の、柔らかさと、温かさが、背中に伝わってくる。
だが、今の俺には、それを意識する余裕も、邪(よこしま)な考えも、一切なかった。
あるのは、俺たちを「ゴミ」として捨てた、クズどもへの、燃え上がるような復讐心だけだ。
……俺とフェンは、ダンジョンの上層へと、慎重に、だが、確実に戻っていった。
オークジェネラルとの戦いで、俺たちのレベル(存在)は、このダンジョンの雑魚モンスターが手を出せる領域を、遥かに超えていた。
ゴブリンや、オークの数匹の群れが、俺たちの姿を見つけて襲い掛かってきても、
フェンが、俺の前に立ち、
「―――白狼の城壁!」
詠唱破棄で、小型の「光の盾」を展開し、
ガギン! と、敵の攻撃をすべて弾き返す。
「すげえな、それ」
「はい! エディさんのおかげで、わたくしのスキルは、こんな風に、自在に『形』を変えられるようになりました! これなら、魔力の消費も抑えられます!」
フェンは、嬉しそうだ。
ランクスキルホルダーとしての「誇り」を取り戻した彼女は、もう、ただ守られるだけの少女ではなかった。
俺が、ホブゴブリンの一匹に、さっき拾った【筋力LV5】(欠片が揃って合成済み)を込めた拳を叩き込む。
「グゲッ」と、蛙が潰れたような声を上げて、魔物が壁の染みになる。
俺も、もう、ただの「荷物持ち」じゃない。
俺たちは、最強の「盾」と、最強の「剣」(今は素手だが)として、完璧に機能していた。
「冒険者の墓場」で拾った、数々のスキルの欠片が、俺の基礎ステータスを、ランク冒険者の領域へと、急速に押し上げていた。
そして、ダンジョンに潜ってから、丸一日以上が経っただろうか。
ついに、俺たちの目の前に、あの忌まわしい記憶の場所――
俺が、レオンたちに追放された、ダンジョンの中層と上層を繋ぐ、広間へと、たどり着いた。
「……ここだ」
俺は、足を止めた。
ここで、俺はレオンに「ゴミ」と罵られ、リリアに「生理的に無理」と蔑まれ、ガイルに「役立たず」と蹴り飛ばされた。
俺の、人生のどん底。
だが、俺の「伝説」が始まった場所でもある。
「エディさん……?」
フェンが、俺の顔に宿った暗い炎に気づき、不安そうに俺を見上げる。
俺は、首を振った。
「……なんでもない。行こう。地上は、もうすぐだ」
そう言って、一歩、踏み出そうとした、その時だった。
「―――チッ。結局、いねえじゃねえか」
「だから言ったろ。オークジェネラルに食われて、骨も残ってねえって」
「ああ、クソ! あの狼紋のタワーシールド、ランクのくせに防御力だけは高かったから、高く売れると思ったのによ!」
―――声が、した。
地上の出口へと続く、唯一の通路。
その影から、三人の冒険者が、舌打ちをしながら姿を現した。
俺は、その声を聞いた瞬間、隣にいるフェンの体が、氷のように、硬直したのを感じた。
「……あ……」
フェンの喉から、絞り出すような、絶望と、憎しみの声が漏れた。
「……アルト……」
現れた三人の男。
先頭を歩く、いかにも「リーダー」然とした、銀髪の優男。
フェンが、オークジェネラルの囮にされた時、彼女を見捨てて逃げた、ランクパーティー「銀の風」のリーダー、アルト。
その張本人だった。
「ん?」
アルトたちは、俺たち二人の存在に、ようやく気づいた。
彼らの顔が、驚愕に、そして、信じられないものを見るかのように、歪んだ。
「……は? ……フェン? なんで、お前……生きて……」
アルトが、幽霊でも見たかのような顔で、固まった。
その後ろにいた、盗賊風の男と、魔術師風の男も、
「う、嘘だろ……!? あの状況で……!?」
「化け物かよ……!」
と、口々に、驚きを隠せないでいる。
なるほどな。
【高速思考】が、一瞬で状況を理解した。
こいつら、フェンを見捨てて逃げただけじゃねえ。
フェンが死んだと確信して、彼女が持っていた高価なランクアイテム(盾)を、「回収」するためだけに、この危険なダンジョンに戻ってきたんだ。
仲間の命よりも、アイテムが大事な、クズ中のクズ。
アルトは、数秒の硬直の後、
ハッ、と我に返り、次の瞬間、
今世紀最大とも言えるような、「心配しきった友」の顔を、貼り付けた。
「フェン! よかった……! 生きていたんだな!」
アルトが、両手を広げ、感動の再会を演じるかのように、駆け寄ってくる。
「信じていたよ! 君なら、ランクスキル【絶対守護】で、きっと耐えきってくれると!」
「……」
フェンは、震えていた。
だが、それは「恐怖」からではなかった。
抑えきれない「怒り」と、「侮蔑」からだ。
「……よく、そんな嘘が、つけますね」
フェンが、地を這うような低い声で、そう呟いた。
「……え? フェン、何を……」
アルトの、完璧な「笑顔」が、ピシリ、と音を立てて固まった。
こいつ、フェンが泣いて感謝して、許しを請うとでも、思っていたらしい。
「わたくしを『囮』にして、逃げたくせに!」
フェンが、叫んだ。
「オークジェネラルに食われて、死んだと思って! わたくしの盾を、盗むために戻ってきたんでしょう!」
「……っ!」
図星を突かれて、アルトの後ろにいた二人が、ビクリと肩を震わせた。
アルトの顔から、急速に、「笑顔」が消えていく。
「……ハハ。なんだ、気づいてたのか」
アルトは、銀髪をかき上げ、隠すこともなく、冷酷な目でフェンを睨みつけた。
「なら、話が早い。ランクスキルのくせに、オークジェネラルの一匹も足止めできない、役立たずが」
「な……!」
「お前は、今日、ここで死んだ。俺たちは、お前の死体と、お前が持っていた『パーティーの共有物)』である盾を、回収しに来た。……それだけだ」
俺は、その言葉を聞いて、確信した。
こいつは、俺を追放した勇者レオンと、同種のクズだ。
仲間を「道具」としか見ていない。
自分たちの都合で「価値」を決め、不要になれば「ゴミ」として捨てる。
アルトは、そこで初めて、フェンを庇(かば)うように立っている、俺の存在に、目を向けた。
「……なんだ、お前は。そのボロボロの格好……ゴミ拾いか?」
アルトの目が、俺の腰にぶら下がっている、空のポーション瓶(ゴミ)や、折れた矢(ゴミ)を、値踏みするように見た。
「ああ、そうか。こいつが、お前の新しい『ご主人様』か? 獣人は、飼い主がいねえと、生きていけねえもんな」
下卑た笑いを浮かべるアルトと、その仲間たち。
その瞬間、俺の中で、何かが、ブチリ、と、キレた。
俺は、ゆっくりと、フェンを背中にかばい、一歩、前に出た。
「……ああ、そうだ」
俺は、アルトたち三人を、真正面から睨みつけた。
「俺は、ゴミ拾いだ」
俺は、さっきまでフェンが持っていた、ボロボロの背嚢を、奴らの前に、ドサリ、と投げ捨てた。
「そして、あんたたちが『捨てた』ゴミを、拾いに来た」
「……ハ?」
アルトが、怪訝な顔をする。
俺は、続ける。
「あんたたちが、このダンジョンに『捨てた』モノ。
それは、この背嚢(ゴミ)でも、あの盾(ランクアイテム)でもねえ」
俺は、右手を、スッ、と、俺の背後で怒りに震える、フェンに向けた。
いや、フェンが持つ、「盾」に。
「あんたたちが捨てたのは、『仲間』の誇りだ。
ランクパーティーが、三人掛かりで束になっても敵わねえ、最強の『信頼』だ」
「……何、言ってんだ、こいつ?」
盗賊風の男が、気味悪そうに、アルトに尋ねる。
アルトも、完全に俺を「イカれた奴」と判断したようだ。
彼は、腰の剣に手をかけた。
「……もういい。フェン。最後のチャンスだ。そのゴミ拾いを殺して、俺たちの元に戻ってこい。そうすれば、今までの『裏切り』は、許してやる」
どこまでも、上から目線。
どこまでも、自分が「上」だと、信じて疑っていない。
フェンは、俺の背後から、静かに、一歩、前に出た。
左腕は、まだ、痛むはずだ。
だが、彼女は、その左腕で、堂々と、狼紋のタワーシールドを、構えた。
その瞳は、もう、迷っていなかった。
「……エディさん」
「なんだ?」
「わたくしに、こいつらを『ゴミ』にする許可を、いただけますか?」
フェンの、琥珀色の瞳が、狼のように、ギラリ、と光った。
俺は、最高に、愉快な気分になって、口の端を吊り上げた。
「―――ああ。好きにしろ」
俺は、腕を組んで、壁に寄りかかった。
「存分に、『お掃除』してやれ」
「……チッ。二人まとめて、イカれてやがる!」
アルトが、ついにキレた!
「やれ! あの女、殺しても構わん! 盾さえ無事ならな!」
三人が、一斉に、武器を構えて、フェンに襲い掛かる!
だが、遅い。
あまりにも、遅すぎた。
フェンは、もう、お前たちが知っている、ただの「盾役」じゃない。
俺という「相棒」を得て、進化した、最強の「城壁」だ。
フェンは、迫り来る三匹の「ゴミ」に向かって、
静かに、盾を、地面に突き立てた。
「―――白狼の城壁」
それは、オークジェネラルを弾き返した時のような、巨大な「壁」ではなかった。
フェンを中心に、
ゴウッ! と、
光の衝撃波が、全方位に、爆発した!
「なっ!?」
「ぐあああああああ!?」
「ぎゃあああっ!」
アルト、盗賊、魔術師。
三人の体は、光の津波に飲み込まれた「ゴミ」のように、
あっけなく、宙を舞い、
ダンジョンの、硬い岩盤の壁に、叩きつけられた!
ゴシャッ! と、嫌な音が、広間に響き渡る。
「……が……は……」
三人は、壁に叩きつけられたまま、ピクリとも動かない。
即死は、していない。
フェンが、手加減したからだ。
ランクパーティー「銀の風」、
たった、一撃。
フェン、一人の、スキル一発で、
全滅。
「……」
フェンは、静かに、盾を下ろした。
その顔に、仲間を傷つけた、感傷は、一切なかった。
「……行きますか、エディさん」
「……ああ」
俺は、壁に張り付いた「ゴミ」たちには、一瞥もくれず、
フェンに、再び、肩を貸した。
俺たちが、その広間を、通り過ぎようとした、その時。
壁際で、アルトが、血反吐を吐きながら、うめき声を上げた。
「……ま、待て……。な、なんだ……今の、スキルは……」
こいつ、まだ、意識があったのか。
「……お前の【絶対守護】は、そんな、攻撃的な……」
こいつは、まだ、自分たちが「何に」負けたのか、理解できていない。
俺は、足を止め、
振り返り、
このダンジョンの、一番深い「絶望)」を、こいつに、くれてやることにした。
「……ああ、そうだ」
俺は、アルトに向かって、最高の「笑顔」を、見せてやった。
「あんたたちが、ランクパーティー総出で、逃げ出した、
あの『オークジェネラル』。
俺たち、とっくの昔に、倒してきたぜ?」
「……え…………?」
アルトの顔が、
血の気を失い、
恐怖と、絶望と、
「信じられない」という、現実逃避で、
グチャグチャに、歪んでいく。
ハハッ!
最高に、いい「ゴミ」の顔だ。
俺は、フェンと共に、地上へと続く、光の差す方へと、歩き出した。
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