【ゴミ拾い】と呼ばれ勇者パーティーを追放された俺…だがこのスキル、実はSSSランクの【万物拾得】だったらしい。

うはっきゅう

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第一章・覚醒 編

第5話:捨てられた「誇り」と、捨ててきた「クズ」

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 静寂が、「冒険者の墓場」を支配していた。
 先ほどまで、ランクパーティーをも退けたBランクダンジョンの主、オークジェネラルが荒れ狂っていたのが、嘘のようだ。
 残されたのは、全身からアドレナリンが抜け、立っているのもやっとの俺、エディと、俺に肩を預け、荒い息を繰り返す狼族の少女、フェン。
 そして、主を失い、静かに床に転がる、巨大な「遺物」。
 オークジェネラルが逃走時に落としていった、血塗れの戦斧バトルアックスだ。

「……ハァ……ハァ……。行った、か」
 俺は、あまりの疲労感に、その場にへたり込みそうになるのを、必死でこらえた。
 背後で、フェンが俺のボロボロの服の裾を、ギュッと掴んでいる。
「……エディ、さん。わたくしたち……本当に、勝った、んですね?」
「ああ。いや……」
 俺は、ダンジョンの奥深く、奴が逃げていった暗闇を睨みつけた。
「追い払っただけだ。だが、あいつはもう、俺たちを『獲物』だとは思わねえだろうな」
 二度と、関わり合いたくない、と。
 そう思わせるだけの「恐怖」は、あの「ゴミの矢」と共に、奴の脳天に突き刺してやったはずだ。

「それより、フェン。腕、大丈夫か」
「あ……はい! 【不屈の盾】のスキルのおかげで、痛みは……でも、やっぱり、力は……」
 フェンは、左腕を庇うように、自分の相棒に寄りかかる。
 俺の万物拾得オールゲッターによる【真名解放】は、彼女のスキルを進化させ、負傷状態でも盾を構えられるようにしたが、怪我そのものを治したわけではない。
 あの白狼の城壁フェンリル・ウォールは、まさに満身創痍の彼女が、最後の誇りを振り絞って発動させた、奇跡の一撃だった。

(このままじゃ、まずいな)
 俺の【高速思考】が、現状のリスクを弾き出す。
 オークジェネラルは去ったが、ここはダンジョンの下層だ。
 ホブゴブリンや、それ以下の雑魚モンスターが、血の匂いを嗅ぎつけて集まってくる可能性は高い。
 俺の【空間収納】には、応急処置セット(元・聖女セシリアの備品)はあるが、ポーションのような即効性のある回復薬は、レオンたちに「ゴミ」扱いされて以来、持たされたことすらなかった。

「……少し、待ってろ」
「え?」
「ここで、最後の『ゴミ拾い』だ」
 俺は、フェンを安全な壁際に座らせると、よろめきながら立ち上がった。
 狙いは、言うまでもない。
 オークジェネラルが残していった、「最強のゴミ」。

 血塗れの戦斧バトルアックス
 長さは、俺の身長(チビだ)よりも遥かにデカい。
 こんなもの、まともに振り回せるのは、あの化け物くらいだろう。
 だが、俺のスキルは、そんな常識をブチ壊す。

(こいつは、オークジェネラルが「捨てて」いったモノだ)
 あいつは、生き延びるために、この「武器」という名の誇りの一部を、自ら切り捨てて逃げた。
 ならば、それは「所有権を喪失したアイテム」だ。
 俺の、万物拾得オールゲッターの、最高の獲物だ!

 俺は、その巨大な戦斧に、右手をかざした。

「―――万物拾得オールゲッター、発動」

 『スキル【万物拾得】が発動します』
 『対象:オークジェネラルの戦斧(呪怨)』

(呪怨!?)
 ゾクリ、と背筋が凍った。
 ただのアイテムじゃない。
 無数の冒険者の血を吸い、怨念がこびりついている。

 『このアイテムは、前所有者(オークジェネラル)の強烈な「喪失」の怨念に汚染されています』
 『通常の「拾得」は、使用者の精神を汚染する危険性があります』
 『「喪失」の怨念を、「無」に浄化クレンジングしますか?』
 『それとも、怨念ごと、力として「拾得」しますか?』

(浄化……だと?)
 俺のスキル、万能すぎだろ。
 だが、俺は、ニヤリと笑った。
(レオンたちへの復讐を誓った俺が、今更、こんな化け物の「怨念」なんかにビビるかよ)

「―――決まってる。力は、微塵も残さず、すべて拾う!」
 俺は、あえて「怨念ごと拾得」を選んだ。

 『……了解。怨念の「核」となっている「喪失物」を拾得します』
 次の瞬間、戦斧から、おびただしい量の「黒い霧」が、俺の右腕に流れ込んできた!

「ぐ……っ……があああああっ!」
 脳が、焼ける!
 オークジェネラルの、敗北の記憶! 怒り! 憎しみ!
 俺の高速思考スキルが、その膨大な負の情報(ゴミ)を、無理やり解析し、分解し、俺の「力」へと再構築していく!

 『【万物拾得】が、対象の「怨念の核」を解析しました』
 『スキル【大斧術 LV1】の欠片(1/10)を拾得しました』
 『スキル【筋力 LV7】の欠片(1/10)を拾得しました』
 『スキル【憤怒(バーサーク) LV1】の欠片(1/10)を拾得しました』

「……ハァ……ハァ……!」
 キタ! キタキタキタ!
 【筋力LV7】だと!?
 俺がこの墓場で合成した【筋力LV5】を、遥かに上回る、化け物の「力」の欠片!
 【大斧術】! これで、俺も巨大な武器を振り回せる!
 そして……【憤怒(バーサーク)】。
 さっき、奴が理性を失って暴走したスキルか。
 ヤバそうなスキルだが、使いようによっちゃ、最強の切り札になる!

「エディさん!? だ、大丈夫ですか!?」
 フェンが、心配そうに叫んでいる。
「ああ……問題ない。むしろ、最高だ」
 俺は、立ち上がった。
 まだだ。俺の「ゴミ拾い」は、まだ終わっちゃいない。

 俺は、さっき俺がオークジェネラルの目を突き刺した、あの「羽が取れた矢(ゴミ)」を拾い上げた。
 あれは、俺が【筋力LV5】と【剛力】の欠片のパワーを込めて、突き刺した「俺のモノ」だ。
 だが、オークジェネラルの目に突き刺さったことで、とんでもない「オマケ」がついてきた。

 『対象:オークジェネラルの眼球ゴミ(の欠片)が付着した矢』
 『【万物拾得】が発動します』
 『スキル【魔眼(邪視) LV1】の欠片(1/10)を拾得しました』
 『スキル【恐怖耐性 LV2】の欠片(3/10)を拾得しました』

(魔眼、だと……!?)
 相手を威圧したり、動きを鈍らせたりする、高位の威圧スキル!
 あのオークジェネラルの、赤い瞳の力か!
 とんでもない「掘り出し物(ゴミ)」だ!

「よし、フェン! 行くぞ!」
 俺は、巨大な戦斧を【空間収納】に放り込み、(持ち運べるわけがねえ)、フェンの元へ駆け寄った。
 【筋力LV7】の欠片を拾ったせいか、さっきまでの疲労が、少しマシになっている気がする。
 俺は、フェンが落としたままになっていた、彼女の私物(ボロボロの背嚢)を拾い上げ、代わりに俺が背負う。

「あ……あの、エディさん」
「なんだ?」
「わたくしの荷物まで……ありがとうございます」
「いいってことよ。俺は『荷物持ち』だったからな。これくらい、慣れてる」
 俺がそう言って笑うと、フェンは、一瞬、泣きそうな顔をして、
「……あなたは、『荷物持ち』なんかじゃ、ありません」
 そう、力強く言った。
「あなたは……わたくしの『誇り』を拾ってくれた……わたくしの、恩人、です」
「……買い被りすぎだ。俺は、俺がやりたいようにやっただけだ」

 俺は、フェンの怪我をしていない方の腕を、自分の肩に回させ、体重を預けさせた。
「しっかり掴まってろよ。ここから、地上まで、一気に駆け上がる」
「……はい!」
 狼族の少女の、柔らかさと、温かさが、背中に伝わってくる。
 だが、今の俺には、それを意識する余裕も、邪(よこしま)な考えも、一切なかった。
 あるのは、俺たちを「ゴミ」として捨てた、クズどもへの、燃え上がるような復讐心だけだ。

 ……俺とフェンは、ダンジョンの上層へと、慎重に、だが、確実に戻っていった。
 オークジェネラルとの戦いで、俺たちのレベル(存在)は、このダンジョンの雑魚モンスターが手を出せる領域レベルを、遥かに超えていた。
 ゴブリンや、オークの数匹の群れが、俺たちの姿を見つけて襲い掛かってきても、
 フェンが、俺の前に立ち、
「―――白狼の城壁フェンリル・ウォール!」
 詠唱破棄で、小型の「光の盾」を展開し、
 ガギン! と、敵の攻撃をすべて弾き返す。

「すげえな、それ」
「はい! エディさんのおかげで、わたくしのスキルは、こんな風に、自在に『形』を変えられるようになりました! これなら、魔力の消費も抑えられます!」
 フェンは、嬉しそうだ。
 ランクスキルホルダーとしての「誇り」を取り戻した彼女は、もう、ただ守られるだけの少女ではなかった。
 俺が、ホブゴブリンの一匹に、さっき拾った【筋力LV5】(欠片が揃って合成済み)を込めた拳を叩き込む。
 「グゲッ」と、蛙が潰れたような声を上げて、魔物が壁の染みになる。
 俺も、もう、ただの「荷物持ち」じゃない。

 俺たちは、最強の「盾」と、最強の「剣」(今は素手だが)として、完璧に機能していた。
 「冒険者の墓場」で拾った、数々のスキルの欠片が、俺の基礎ステータスを、ランク冒険者の領域へと、急速に押し上げていた。

 そして、ダンジョンに潜ってから、丸一日以上が経っただろうか。
 ついに、俺たちの目の前に、あの忌まわしい記憶の場所――
 俺が、レオンたちに追放された、ダンジョンの中層と上層を繋ぐ、広間へと、たどり着いた。

「……ここだ」
 俺は、足を止めた。
 ここで、俺はレオンに「ゴミ」と罵られ、リリアに「生理的に無理」と蔑まれ、ガイルに「役立たず」と蹴り飛ばされた。
 俺の、人生のどん底。
 だが、俺の「伝説」が始まった場所でもある。

「エディさん……?」
 フェンが、俺の顔に宿った暗い炎に気づき、不安そうに俺を見上げる。
 俺は、首を振った。
「……なんでもない。行こう。地上は、もうすぐだ」

 そう言って、一歩、踏み出そうとした、その時だった。

「―――チッ。結局、いねえじゃねえか」
「だから言ったろ。オークジェネラルに食われて、骨も残ってねえって」
「ああ、クソ! あの狼紋のタワーシールドシールド、ランクのくせに防御力だけは高かったから、高く売れると思ったのによ!」

 ―――声が、した。
 地上の出口へと続く、唯一の通路。
 その影から、三人の冒険者が、舌打ちをしながら姿を現した。

 俺は、その声を聞いた瞬間、隣にいるフェンの体が、氷のように、硬直したのを感じた。

「……あ……」
 フェンの喉から、絞り出すような、絶望と、憎しみの声が漏れた。

「……アルト……」

 現れた三人の男。
 先頭を歩く、いかにも「リーダー」然とした、銀髪の優男。
 フェンが、オークジェネラルのおとりにされた時、彼女を見捨てて逃げた、ランクパーティー「銀の風」のリーダー、アルト。
 その張本人だった。

「ん?」
 アルトたちは、俺たち二人の存在に、ようやく気づいた。
 彼らの顔が、驚愕に、そして、信じられないものを見るかのように、歪んだ。

「……は? ……フェン? なんで、お前……生きて……」
 アルトが、幽霊でも見たかのような顔で、固まった。
 その後ろにいた、盗賊シーフ風の男と、魔術師メイジ風の男も、
「う、嘘だろ……!? あの状況で……!?」
「化け物かよ……!」
 と、口々に、驚きを隠せないでいる。

 なるほどな。
 【高速思考】が、一瞬で状況を理解した。
 こいつら、フェンを見捨てて逃げただけじゃねえ。
 フェンが死んだと確信して、彼女が持っていた高価なランクアイテム(盾)を、「回収」するためだけに、この危険なダンジョンに戻ってきたんだ。
 仲間の命よりも、アイテムが大事な、クズ中のクズ。

 アルトは、数秒の硬直の後、
 ハッ、と我に返り、次の瞬間、
 今世紀最大とも言えるような、「心配しきった友」の顔を、貼り付けた。

「フェン! よかった……! 生きていたんだな!」
 アルトが、両手を広げ、感動の再会を演じるかのように、駆け寄ってくる。
「信じていたよ! 君なら、ランクスキル【絶対守護】で、きっと耐えきってくれると!」
「……」
 フェンは、震えていた。
 だが、それは「恐怖」からではなかった。
 抑えきれない「怒り」と、「侮蔑」からだ。

「……よく、そんな嘘が、つけますね」
 フェンが、地を這うような低い声で、そう呟いた。
「……え? フェン、何を……」
 アルトの、完璧な「笑顔」が、ピシリ、と音を立てて固まった。
 こいつ、フェンが泣いて感謝して、許しを請うとでも、思っていたらしい。

「わたくしを『囮』にして、逃げたくせに!」
 フェンが、叫んだ。
「オークジェネラルに食われて、死んだと思って! わたくしの盾を、盗むために戻ってきたんでしょう!」
「……っ!」
 図星を突かれて、アルトの後ろにいた二人が、ビクリと肩を震わせた。
 アルトの顔から、急速に、「笑顔」が消えていく。

「……ハハ。なんだ、気づいてたのか」
 アルトは、銀髪をかき上げ、隠すこともなく、冷酷な目でフェンを睨みつけた。
「なら、話が早い。ランクスキルのくせに、オークジェネラルの一匹も足止めできない、役立たずが」
「な……!」
「お前は、今日、ここで死んだ。俺たちは、お前の死体と、お前が持っていた『パーティーの共有物)』である盾を、回収しに来た。……それだけだ」

 俺は、その言葉を聞いて、確信した。
 こいつは、俺を追放した勇者レオンと、同種のクズだ。
 仲間を「道具」としか見ていない。
 自分たちの都合で「価値」を決め、不要になれば「ゴミ」として捨てる。

 アルトは、そこで初めて、フェンを庇(かば)うように立っている、俺の存在に、目を向けた。
「……なんだ、お前は。そのボロボロの格好……ゴミ拾いスカベンジャーか?」
 アルトの目が、俺の腰にぶら下がっている、空のポーション瓶(ゴミ)や、折れた矢(ゴミ)を、値踏みするように見た。

「ああ、そうか。こいつが、お前の新しい『ご主人様』か? 獣人ケモノは、飼い主がいねえと、生きていけねえもんな」
 下卑た笑いを浮かべるアルトと、その仲間たち。

 その瞬間、俺の中で、何かが、ブチリ、と、キレた。

 俺は、ゆっくりと、フェンを背中にかばい、一歩、前に出た。

「……ああ、そうだ」
 俺は、アルトたち三人を、真正面から睨みつけた。
「俺は、ゴミ拾いガーベッジコレクターだ」

 俺は、さっきまでフェンが持っていた、ボロボロの背嚢を、奴らの前に、ドサリ、と投げ捨てた。
「そして、あんたたちが『捨てた』ゴミを、拾いに来た」

「……ハ?」
 アルトが、怪訝な顔をする。

 俺は、続ける。
「あんたたちが、このダンジョンに『捨てた』モノ。
 それは、この背嚢(ゴミ)でも、あの盾(ランクアイテム)でもねえ」

 俺は、右手を、スッ、と、俺の背後で怒りに震える、フェンに向けた。
 いや、フェンが持つ、「盾」に。

「あんたたちが捨てたのは、『仲間フェン』の誇りだ。
 ランクパーティーが、三人掛かりで束になっても敵わねえ、最強の『信頼ゴミ』だ」

「……何、言ってんだ、こいつ?」
 盗賊風の男が、気味悪そうに、アルトに尋ねる。
 アルトも、完全に俺を「イカれた奴」と判断したようだ。
 彼は、腰の剣に手をかけた。

「……もういい。フェン。最後のチャンスだ。そのゴミ拾いガーベッジコレクターを殺して、俺たちの元に戻ってこい。そうすれば、今までの『裏切り』は、許してやる」
 どこまでも、上から目線。
 どこまでも、自分が「上」だと、信じて疑っていない。

 フェンは、俺の背後から、静かに、一歩、前に出た。
 左腕は、まだ、痛むはずだ。
 だが、彼女は、その左腕で、堂々と、狼紋のタワーシールドを、構えた。
 その瞳は、もう、迷っていなかった。

「……エディさん」
「なんだ?」
「わたくしに、こいつらを『ゴミ』にする許可を、いただけますか?」
 フェンの、琥珀色の瞳が、狼のように、ギラリ、と光った。

 俺は、最高に、愉快な気分になって、口の端を吊り上げた。

「―――ああ。好きにしろ」
 俺は、腕を組んで、壁に寄りかかった。
「存分に、『お掃除』してやれ」

「……チッ。二人まとめて、イカれてやがる!」
 アルトが、ついにキレた!
「やれ! あの女、殺しても構わん! 盾さえ無事ならな!」
 三人が、一斉に、武器を構えて、フェンに襲い掛かる!

 だが、遅い。
 あまりにも、遅すぎた。

 フェンは、もう、お前たちが知っている、ただの「盾役タンク」じゃない。
 俺という「相棒」を得て、進化した、最強の「城壁」だ。

 フェンは、迫り来る三匹の「ゴミ」に向かって、
 静かに、盾を、地面に突き立てた。

「―――白狼の城壁フェンリル・ウォール

 それは、オークジェネラルを弾き返した時のような、巨大な「壁」ではなかった。
 フェンを中心に、
 ゴウッ! と、
 光の衝撃波が、全方位に、爆発した!

「なっ!?」
「ぐあああああああ!?」
「ぎゃあああっ!」

 アルト、盗賊、魔術師。
 三人の体は、光の津波に飲み込まれた「ゴミ」のように、
 あっけなく、宙を舞い、
 ダンジョンの、硬い岩盤の壁に、叩きつけられた!
 ゴシャッ! と、嫌な音が、広間に響き渡る。

「……が……は……」
 三人は、壁に叩きつけられたまま、ピクリとも動かない。
 即死は、していない。
 フェンが、手加減したからだ。
 ランクパーティー「銀の風」、
 たった、一撃。
 フェン、一人の、スキル一発で、
 全滅。

「……」
 フェンは、静かに、盾を下ろした。
 その顔に、仲間を傷つけた、感傷は、一切なかった。

「……行きますか、エディさん」
「……ああ」

 俺は、壁に張り付いた「ゴミ」たちには、一瞥いちべつもくれず、
 フェンに、再び、肩を貸した。

 俺たちが、その広間を、通り過ぎようとした、その時。
 壁際で、アルトが、血反吐を吐きながら、うめき声を上げた。

「……ま、待て……。な、なんだ……今の、スキルは……」
 こいつ、まだ、意識があったのか。
「……お前の【絶対守護】は、そんな、攻撃的な……」
 こいつは、まだ、自分たちが「何に」負けたのか、理解できていない。

 俺は、足を止め、
 振り返り、
 このダンジョンの、一番深い「絶望ゴミ)」を、こいつに、くれてやることにした。

「……ああ、そうだ」
 俺は、アルトに向かって、最高の「笑顔」を、見せてやった。

「あんたたちが、ランクパーティー総出で、逃げ出した、
 あの『オークジェネラル』。
 俺たち、とっくの昔に、倒してきたぜ?」

「……え…………?」

 アルトの顔が、
 血の気を失い、
 恐怖と、絶望と、
 「信じられない」という、現実逃避で、
 グチャグチャに、歪んでいく。
 ハハッ!
 最高に、いい「ゴミ」の顔だ。

 俺は、フェンと共に、地上へと続く、光の差す方へと、歩き出した。
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