【ゴミ拾い】と呼ばれ勇者パーティーを追放された俺…だがこのスキル、実はSSSランクの【万物拾得】だったらしい。

うはっきゅう

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第一章・覚醒 編

第7話:英雄(ゴミ)の価値、勇者の没落(おわり)

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 ――ギィィィィ……。
 重苦しい音を立てて、ギルドの奥にある、関係者以外立入禁止の扉が開かれた。

 そこから現れたのは、一人の巨漢だった。
 身長は二メートルを超え、丸太のような腕には無数の古傷が刻まれている。
 眼光は鋭く、まるで歴戦の猛獣のような威圧感を放つ男。
 アルトリア冒険者ギルド、ギルドマスター「鉄拳てっけんのジーク」。
 かつてAランク冒険者として名を馳せ、引退後もこの街の裏社会すら睨みつける、生ける伝説だ。

 そのジークが、のっしのっしとカウンターに歩み寄り、俺が出した「戦斧ゴミ」の前で足を止めた。
 ギルド中の冒険者が、唾を飲み込む音が聞こえる。
「……おい、エララ。なんだ、この騒ぎは」
 ジークの声は、低く、腹の底に響くような重低音だった。
 腰を抜かしていた受付嬢のエララさんが、ガタガタと震えながら立ち上がり、敬礼する。
「ギ、ギルマス……! こ、これ……これを見てください……!」
「ん?」
 ジークの視線が、カウンターを押しつぶさんばかりの、血塗れの戦斧に向けられた。
 一瞬。
 その鋭い眼光が、驚愕に見開かれたのを、俺は見逃さなかった。
「……『黒き暴君ブラックタイラント』……!」
「え……?」
「間違いない。Bランクダンジョン『迷いの洞窟』の主、オークジェネラルが愛用すると言われる、呪われし大戦斧だ。……俺が現役の頃、一度だけ遠目で見たことがあるが……まさか、こんな間近で拝むことになるとはな」
 ジークが、信じられないといった顔で、戦斧の柄に触れようとする。
 バチッ!
 紫色の火花が散った。
「ぬぅっ!? ……強烈な怨念だ。並の鑑定士なら、触れただけで精神をやられるぞ」
 ジークは手を引っ込め、そして、ゆっくりと視線を上げた。
 その視線の先には、カウンターに肘をつき、不敵に笑う俺、エディがいる。
「……小僧。いや、『光の剣』の荷物持ちポーターだったな。……エディ、と言ったか」
「ああ。久しぶりだな、ジークの爺さん。今はただの無職フリーだがな」
 俺が軽口を叩くと、周囲の冒険者たちが「ヒッ」と息を呑んだ。
 この街で、ジークにこんな口を利ける奴はいない。
 だが、今の俺には、ジークの放つ威圧感(プレッシャー)が、そよ風のようにしか感じられなかった。
 あのオークジェネラルの殺気に比べれば、飼い猫のあくびみたいなもんだ。
「……いい目をするようになったな。死線を越えたか」
 ジークは、ニヤリと笑った。
「で、こいつを『換金』したいだと? 本気か?」
「ああ。デカすぎて邪魔だしな。それに、俺にはもっと使い勝手のいい武器が必要だ」
「邪魔、か……。ハッ! 傑作だ! 国宝級の呪物を『邪魔』扱いとはな!」
 ジークは豪快に笑うと、カウンターの中に入り、自ら鑑定用の魔導レンズモノクルを取り出した。
「いいだろう。俺が直々に鑑定してやる。……だが、覚悟しておけよ。このクラスの素材となると、ギルドの金庫が空になるかもしれんぞ?」
「望むところだ。金貨の一枚まで、きっちり払ってもらうぜ」

 ジークによる鑑定が始まった。
 ギルド中が、固唾を飲んで見守る。
 俺の背後では、フェンが不安そうに俺の服を掴んでいるが、俺はポンポンと彼女の手を叩いて安心させた。
(……鑑定結果は、わかってる)
 俺の【高速思考ハイスピード・シンキング】と【万物拾得オールゲッター】は、すでにこの斧の価値を弾き出している。
 ただの武器としての価値じゃない。
 素材としての「黒鉄鋼」、埋め込まれた「闇の魔石」、そして何より、オークジェネラル討伐の「証明」としての価値。
「……ふむ。……むぅ……」
 ジークの眉間に、深い皺が刻まれていく。
「……驚いたな。刃こぼれは激しいが、核となる魔石は無傷だ。それに、この『柄』……ただの木じゃない。千年樹の芯材を使ってやがる」

 十分ほどの沈黙の後、ジークが顔を上げた。
 その額には、脂汗が滲んでいる。
「……エディ。単刀直入に言うぞ」
 ジークの声が、ギルドの静寂を切り裂いた。

「金貨、五百枚だ」
「「「「「ご……ごひゃくぅぅぅぅぅッ!?!?」」」」」

 冒険者たちの絶叫が、ホールに響き渡った。
 金貨一枚で、一般家庭の一ヶ月分の生活費になる。
 五百枚と言えば、遊んで暮らしても数年は持つ大金だ。
 そこらのBランククエストの報酬が、いいとこ金貨五十枚。
 その十倍だ。
「……安くねえか?」
 俺は、眉一つ動かさずに言った。
 再び、周囲が「はあぁ!?」とどよめく。
「おいおい、欲をかくなよ小僧。これでも精一杯の……」
「『黒鉄鋼』の純度が高い。これを溶かして精製すれば、ミスリル級の武器が三本は作れる。それに、ここにある『闇の魔石』……こいつは呪われているが、王都の魔術師ギルドに持っていけば、解呪の研究素材として高値がつく。……違うか?」
 俺が淡々と指摘すると、ジークの目が丸くなった。
「……お前、ただの荷物持ちじゃなかったのか? なぜ、そんな鑑定士顔負けの知識がある?」
「『ゴミ拾い』だからな。ゴミの価値を見極めるのは、商売道具だ」
 俺は、ニィ、と笑った。
 ハッタリじゃない。
 【万物拾得オールゲッター】は、アイテムの「構造」や「由来」まで解析する。
 俺は、この世界の誰よりも、モノの「価値」を知っているんだ。
「……ククク。参ったな」
 ジークは、降参とばかりに両手を挙げた。
「わかった、負けだ。……金貨六百枚。これ以上は、本当にギルドが破産する」
「交渉成立だ。……ただし」
 俺は、指を二本立てた。
「条件が二つある」
「なんだ?」
「一つ。俺と、こいつ……フェンの、ギルドカードのランクを更新してくれ。Fランクのままだと、受けられる依頼が限られる」
「……オークジェネラルを倒した実績があれば、文句を言う奴はいまい。本来なら昇格試験が必要だが……この斧が、何よりの証拠だ。特例でCランク……いや、Bランクまで上げてやる」
「話が早くて助かる。で、二つ目だ」
 俺は、視線をギルド全体に……特に、俺たちを遠巻きに見ている、下卑た目つきの冒険者たちに向けた。
「今後、俺たちの邪魔をする奴がいたら……『掃除』しても、文句は言うなよ」
 ギルドの空気が、凍りついた。
 それは、明確な警告だった。
 俺たちを「ゴミ」と呼び、舐めてかかる奴らへの、宣戦布告。
 ジークは、しばらく俺の目をじっと見つめ、やがて、ニヤリと獰猛に笑った。
「……正当防衛なら、俺が揉み消してやる。……暴れるなら、派手にな」
「感謝するぜ」
 こうして、俺たちは金貨六百枚という莫大な軍資金と、Bランク冒険者という「地位」を手に入れた。
 エララさんから受け取った、革袋に入った金貨の重み。
 これが、俺たちの、新しい人生の始まりの重さだ。


 ◇ ◇ ◇


 ギルドを出た俺たちは、その足で武器屋に向かった。
 懐には、唸るほどの金がある。
 だが、俺が向かったのは、高級店が並ぶ大通りではなく、路地裏の古びた武具店「頑固親父の店」だった。
「エディさん、こっちでいいんですか? もっと綺麗な店も……」
「いや、こっちだ。綺麗な店には、『綺麗なゴミ』しか置いてねえ」
 カランコロン、とドアベルが鳴る。
 店内は薄暗く、油と鉄の匂いが充満していた。
 店主のドワーフ、ガンテツが、カウンターの奥から不機嫌そうな顔を出す。
「……あぁ? なんだ小僧、冷やかしか? うちにはガキの小遣いで買えるオモチャはねえぞ」
「いいモンを頼むぜ、親父さん。……とびっきりの『訳あり品』をな」
 俺は、店内の棚に並ぶ、埃を被った武器たちを眺めた。
 普通の冒険者なら、見向きもしないような、錆びついた剣や、凹んだ鎧。
 だが、俺の目には、違って見えていた。
 『対象:錆びた短剣』
 『解析:かつて竜殺しの英雄が使っていた短剣。表面の錆の下には、オリハルコンの刃が眠っている』
 『所有権:店舗(放置)』
 『対象:ひび割れた革鎧』
 『解析:幻獣の革で作られた軽鎧。ひび割れに見えるのは魔力回路の溝。魔力を通すと自動修復機能が発動する』
 あるわあるわ。
 宝の山だ。
 ガンテツの親父さんは腕はいいが、商売っ気がなくて、古い品を整理しない癖がある。
 それが、俺には好都合だった。
「親父さん。この短剣と、あの革鎧。それから、フェンにはあの……店の隅にある、白いマントをくれ」
「ああん? お前、目がおかしいんじゃねえか? それは全部、売り物にならねえガラクタ……」
 ガンテツが言いかけた時、俺はカウンターに、金貨の袋をドン! と置いた。
「これで足りるか?」
「……!?」
 袋の口から覗く黄金の輝きに、ガンテツの目が飛び出る。
「こ、小僧……どこでこんな金を……」
「いいから、売ってくれ。あと、砥石と整備キットもな。……こいつらの『本当の姿』、俺が見せてやるよ」
 俺は、購入した「ゴミ》」を、その場で整備した。
 【万物拾得オールゲッター】で得た知識と、【器用 LV3】(これもゴブリンから拾った)を駆使する。
 錆を落とし、魔力を通し、磨き上げる。
 数十分後。
 そこには、青白く輝くオリハルコンの短剣と、しなやかに魔力を帯びた幻獣の革鎧、そして、フェンの銀髪に映える、純白の抗魔アンチ・マジックのマントがあった。
「……嘘だろ……。俺が打った武器でもねえのに……まるで、名剣が蘇ったみたいだ……」
 ガンテツが、呆然と呟く。
「エディさん……これ、わたしに? すごく、軽くて……温かいです……」
 フェンが、マントを羽織って、くるりと回る。
 白いマントが、彼女の狼の尻尾をふわりと隠し、まるで雪の精霊のようだ。
 ……うん、似合う。
「よし、装備も整った。次は宿だ。……今日は、贅沢するぞ」
「はいっ!」


 ◇ ◇ ◇


 その夜。
 俺たちは、この街で一番の高級宿「黄金の獅子亭」の、スイートルームにいた。
 一泊、金貨十枚。
 かつての俺なら、一生かかっても泊まれなかった場所だ。
 テーブルの上には、山盛りの料理。
 厚切りのドラゴンテールのステーキ、新鮮な野菜のサラダ、冷えた果実水、そして焼きたてのパン。
 ダンジョンで泥水を啜っていたのが嘘のような、極上の食事だ。
「んっ……おいひぃ……!」
 フェンが、リスのように頬を膨らませて、ステーキを頬張っている。
 その目じりには、うっすらと涙が浮かんでいた。
「……エディさん、こんなに美味しいお肉、初めて食べました……」
「食え食え。金なら腐るほどある。……俺たちの『勝利』の祝いだ」
 俺も、グラスを傾けた。
 美味い。
 だが、この美味さは、ただの料理の味じゃない。
 「ざまぁみろ」という、最高のスパイスが効いているからだ。

(今頃、レオンたちはどうしてるかな……)
 俺は、窓の外、夜の街を見下ろしながら、かつての「仲間」たちに思いを馳せた。
 ……いや、想像するだけで、飯が美味くなるな。


 ◇ ◇ ◇


 一方その頃。
 アルトリアの街の片隅にある、中級冒険者向けの酒場「銀のジョッキ」。
 そこには、どんよりとした空気を纏った、三人の男女がいた。
 勇者パーティー「光の剣」。
 勇者レオン、魔術師リリア、魔術師ガイル。
 かつて飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼らのテーブルには、安酒と、手つかずの料理が並んでいた。
「……クソッ! なんでだ! なんでドロップしねえんだよ!」
 勇者レオンが、バン! とテーブルを叩いた。
 周囲の客がビクリとするが、レオンは構わず怒鳴り散らす。
「今日のクエストも赤字だぞ! ポーション代だけでいくらかかったと思ってる! おいガイル! お前の魔法の燃費が悪すぎるからだぞ!」
「なっ……俺のせいにするなよ! お前が罠にかかりまくるから、回復魔法と援護魔法で魔力が尽きたんだろ! そもそも、今まで罠なんて、全部『あいつ』が解除してたじゃねえか!」
「……うるさいわね。頭に響くわ」
 魔術師リリアが、気だるげにワインを煽る。
「ポーションがないなら、買えばいいじゃない。ギルドに請求すれば……」
「そのギルドからの報酬が、減らされてるんだよ!」
 レオンが頭を抱える。

 そう。
 彼らは、まだ気づいていなかった。 
 彼らの「華々しい戦果」が、すべてエディという「土台」の上にあったことを。

 エディが、目立たないように罠を解除し、
 エディが、ドロップアイテムを完璧に管理・回収し、
 エディが、戦闘中のポーションの配給タイミングまで計算していたことを。
 そして何より、エディの【万物拾得オールゲッター】(本人も無自覚だったが)が、周囲の「運」すらも微量に拾い集め、パーティーに還元していたことを。
 彼らは、エディを失った瞬間から、ただの「連携の取れていない、浪費家の集団」に成り下がっていたのだ。
「……ちっ。あの『ゴミ拾い』がいなくなってから、ツキが落ちたぜ」
 レオンが吐き捨てるように言った。
「どこで野垂れ死んでるか知らねえが……せいぜい、モンスターの餌にでもなって、役に立ってりゃいいんだがな」
 その時。
 隣のテーブルの冒険者たちの話が、レオンたちの耳に入ってきた。
「……聞いたか? 今日のギルドの騒ぎ」
「ああ! すごかったらしいな! あのジークさんが腰を抜かしたって!」
「なんでも、Bランクダンジョンの主、オークジェネラルを狩った『英雄』が現れたって話だぜ」
「へえ! どこのパーティーだ? 『銀の風』か?」
「いや、それが……聞いたことない名前だったな。確か……男と、獣人のコンビで……」
 レオンの眉がピクリと動いた。
(オークジェネラルだと……? 俺たちですら、まだ手を出していないBランクのボスを……?)
 嫉妬と、焦りが、レオンの胸に渦巻く。
「……おい、そいつらの名前、なんて言ってた?」
 レオンは、我慢できずに隣の席に聞き耳を立てた。
「えっと……確か……『エディ』とかいう……」
「「「は?」」」
 レオン、リリア、ガイル。
 三人の声が、重なった。
「……おい、今……なんて言った?」
 レオンが、椅子を蹴倒して立ち上がる。
 隣の冒険者が、ギョッとして振り返る。
「あ? なんだよ勇者様かよ。……だから、『エディ』だよ。元・荷物持ちの……」
「……ありえねえ」
 レオンの顔が、赤を通り越して、青白くなっていく。
「あいつは……俺たちが捨てた『ゴミ』だぞ!? Fランクスキルの、無能だぞ!?」
「そ、そうよ! 間違いよ! きっと同名の別人……」
 セシリアも、震える声で否定しようとする。
 だが、冒険者は不思議そうに首を傾げた。
「いや、本人がいたって言ってたぜ? 『光の剣』を追放されたって……。あと、すごい美人の狼族の姉ちゃんを連れてたって……」
 ガタガタガタッ!
 ガイルの手が震え、グラスが倒れた。
「……嘘だ……」
 レオンが、うわ言のように呟く。
「あいつが……オークジェネラルを……? 俺たちよりも……先に……?」
 認められない。
 認めてはいけない。
 そんなことが真実なら、自分たちは、「ダイヤの原石」をドブに捨てた、世界一の大馬鹿者ということになってしまう。
「……確かめるぞ」
 レオンの目に、どす黒い光が宿った。
「明日、そいつを探し出す。……もし本当にエディなら……」
 (俺たちのために稼いだ成果(アイテム)を、すべて吐き出させてやる)
 勇者とは名ばかりの、強欲な思考。
 だが、彼らはまだ知らない。
 その「エディ」が、もはや彼らの知る「従順なゴミ」ではないことを。
 触れれば斬れる、研ぎ澄まされた「刃」になっていることを。


 ◇ ◇ ◇


 翌朝。
 「黄金の獅子亭」の柔らかなベッドで目覚めた俺は、窓から差し込む朝日を浴びて、大きく伸びをした。
 体の痛みは、もうほとんどない。
 昨日の豪華な食事と、フカフカのベッド、そして何より「ストレスからの解放」が、最高の回復薬になったようだ。
「んぅ……エディさん……おはようございます……」
 隣のベッド(もちろん別々だぞ!)から、フェンが眠気眼で起き上がってくる。
 乱れた銀髪と、パジャマ姿の無防備な姿に、俺は一瞬ドキッとしたが、すぐに頭を振って邪念を払った。
 ……朝から刺激が強すぎる。
「おはよう、フェン。気分はどうだ?」
「はい! 最高です! ……なんだか、夢みたいです。こんな綺麗な部屋で、目が覚めるなんて……」
「夢じゃねえよ。これが、今の俺たちの『日常』だ」
 俺たちは、新しい装備に身を包んだ。
 俺は、幻獣革の軽鎧と、腰にはオリハルコンの短剣。
 フェンは、修復されたタワーシールドを背負い、白銀のマントを羽織る。
 鏡に映った二人は、どこからどう見ても、手練れのBランク冒険者コンビだ。
「よし、行くか。今日は、新しいクエストを受けて、実戦で装備の慣らし運転だ」
「はい! わたくし、もう誰にも負ける気がしません!」
 俺たちは、自信に満ちた足取りで、宿を出た。
 目指すは、再びギルド。
 だが、その道中で。
 運命の……いや、必然の「再会」が、待ち受けていた。
 大通りの真ん中。
 向こうから歩いてくる、見覚えのある……いや、見飽きた、三つの人影。
 煌びやかな鎧を着込み、しかしどこか焦燥感を漂わせた、勇者パーティー「光の剣」。
 レオンと俺の目が、バチッ、と合った。
「……ッ!!」
 レオンが、目を見開き、足を止める。
 俺も、足を止めた。
 隣のフェンが、警戒して盾を構えようとするのを、俺は手で制した。
「……よう」
 俺は、ニィ、と口の端を吊り上げて、挨拶した。
 最高に、人を食ったような笑顔で。
「元気そうで何よりだ、勇者サマ。……随分と、顔色が悪いみたいだが?」
 レオンの顔が、怒りで真っ赤に染まっていく。


 さあ、始めようか。
 本当の「ざまぁ」は、ここからだ。
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