1 / 10
第1話 街外れのテディベア
第1話 街外れのテディベア
しおりを挟むあるところに小さな街がありました。
街には、木箱でできたような、小さな家々が建ち並んでいました。
まるで、おとぎの国の世界に迷い込んだような、その街の外れには、小さな小さなおもちゃ屋さんがありました。ショウウィンドウこそ見栄えのするものでしたが、おもちゃ屋さんの壁は、木でできた手造りの建物でした。
それを、「古ぼけた建物」という人もいましたが、「暖かみのあるおもちゃ屋さん」という人もいました。そのおもちゃ屋さんのショウウィンドウには、7ひきのテディベアが、飾ってありました。
左端にいる、1番大きなテディベアは、茶色くてツヤツヤした毛並が、自慢のテディベア。首には蝶ネクタイを締めていて、名前はテディといいます。
そして、残りのテディベアたちは、小さな赤ちゃんベア。
色とりどりのベアたちは、まるでマカロンのように、色鮮やかで街の人たちは、いつしか、赤ちゃんベアたちを、マカロンベアと呼ぶようになりました。
そして、そのおもちゃ屋さんの主は、おもちゃづくりの名人のおじいさんでした。
おじいさんは、何でもつくりました。朝から晩まで、トントン、カンカン。
三輪車に、おもちゃの飛行機、目覚まし時計…
ショウウィンドウに飾ってあるテディたちも、もちろんおじいさんが、つくりました。
一見、なんの変哲もない、このおもちゃ屋さん。
実は、ある秘密がありました。
その秘密のできごとは、店じまいをした後に、訪れます。
夕飯の準備をする、おじいさん。
1人暮らしのはずなのに、大小2つのマグカップと、6つの哺乳瓶が並べてあります。
「夕飯の支度が、出来ましたよ。」
おじいさんが、か細い声でそういうと、奥の方から「わぁいー 夕飯だー!」「ミルクだミルクー!」と、さまざまな声が聞こえてきます。
その声と共に、テディベアたちが一斉に食卓に集まりました。
そう、このテディベアこそ、ショウウィンドウに飾られていた、テディたちなんです。
なんとテディたちは、本物のクマのように…
いいえ、まるで本物の人間の子供たちのように、自分たちで歩いたりお話したりできるのです。
おじさんはとテディたちは、毎晩食卓を囲み楽しく団らんの一時を過ごしました。
みんな、こんなしあわせな日々が、いつまでも続くと信じていました。
ところが、ある日、テディたちが夕飯が、出来るのを楽しみにしていると、キッチンの方から、ガラガラガッシャーンと、大きな物音がしました。
テディたちが、慌ててキッチンに方に駆け寄ると、そこには、おじいさんが倒れ込んでいました。
出来たてのお料理は、床に散らばり、コーヒーの入ったマグカップも、転がり落ちていました。
心配そうに、おじいさんの顔を覗き込むテディたちに、おじいさんは、微笑みかけ「大丈夫だよ。さぁ。席について待っていなさい。」と言いました。
テディたちは、おじいさんに言われるまま席について待っていましたが、おじいさんは、いつものようにお料理を持って来ることは、ありませんでした。
次の日も、そのまた次の日も、食卓に、おじいさんのお料理が、並ぶことはありませんでした。
それどころか、お店も店じまいをしたまま。掃除もしないまま。
おもちゃ屋さんは、どんどんホコリをかぶってくすんでいきました。
そうです。あの日の夜、おじいさんは、天国に行ってしまったのです。
「お腹すいたよー!」
マカロンベアたちは、泣きじゃくります。
「そんなこと#言_い__#ったって、僕だって腹ぺこさ。」
テディは、そう答えることで、精いっぱいでした。
「おじいさん、どうしちゃったんだろ…」
そう言いながら、困った顔で、グーグー鳴るお腹を擦っているテディの顔が、急にパァッと明るくなり
ました。
「そうだ!前に、おじいさんが、コインや紙切れと引き換えに、ミルクやパンをもらっているのを見たことがあるぞ!!
なんて言ったかな? そうだ確か、お金だ!
お金があれば、美味しいものが、たくさん食べられるぞ! 僕、お金を持ってくる!」
そう叫ぶとテディは、走り出し、屋根裏部屋からキッチン、納戸、おじいさんの寝室に至るまで、ドタバタと走り回りました。
そして、息を切らしながら、マカロンベアたちの元に戻ってきて言いました。
「お金って、どこにあるんだっけ?」
1
あなたにおすすめの小説
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?
あだ名が245個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
緑色の友達
石河 翠
児童書・童話
むかしむかしあるところに、大きな森に囲まれた小さな村がありました。そこに住む女の子ララは、祭りの前日に不思議な男の子に出会います。ところが男の子にはある秘密があったのです……。
こちらは小説家になろうにも投稿しております。
表紙は、貴様 二太郎様に描いて頂きました。
隣のじいさん
kudamonokozou
児童書・童話
小学生の頃僕は祐介と友達だった。空き家だった隣にいつの間にか変なじいさんが住みついた。
祐介はじいさんと仲良しになる。
ところが、そのじいさんが色々な騒動を起こす。
でも祐介はじいさんを信頼しており、ある日遠い所へ二人で飛んで行ってしまった。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる









