12 / 34
その十二
しおりを挟む
「ふう……」
お風呂から出た後は冷たい牛乳でも飲みたくなるが、あいにくと持っていない。
また、早くここから出たいところだが、着替えも……ない。
うむむ、こちらの方が困る問題だ。
牛乳など今でなくとも飲めるであろう。けれど着替えがなければここから出られないのである。
アイレーンもそのへんを教えてくれればいいのに。
聞かなかった私も悪いのだけど……
扉を数センチだけ開け周りを見るが、誰もいない。
……どうしよう。
ここで大声なんて出したらバルドが現れそうで怖いし。
「すみませーん……」
ささやくような声である。聞こえるわけはない。聞こえるわけはない…のだろうが……
「お呼びでしょうか?」
アイレーンの声が私の後ろから、した。
「うぇ!?」
情けない声だとは思う。しかし私の反応は一般的である。
「なぜここに!?」
「アメリア様のお声が聞こえたので」
「そうではなく」
「お着替えのご用意が終わりましたので」
「そうでもなく。
……どうやってここに?」
本気なのか冗談なのかわからない答えに頭が痛い。
……たぶん本気なんだろう。
「あちらの扉からです」
指さす先には白い壁。
「どこから?」
「あちらの回転式隠し扉からです」
……回転式隠し扉?
「戦争でも起こるんですか」
「バルド様が私どもに秘密で造られたものです」
「覗く気満々!?」
「気がついた頃には手遅れでしたので、有効活用させていただきました。
扉の前は十人ほどが守っておりますのでご安心を」
「主人への信頼皆無」
「『黒髪の天使』の信者ですから」
ずいぶんと熱心な信者ですね……
お風呂から出た後は冷たい牛乳でも飲みたくなるが、あいにくと持っていない。
また、早くここから出たいところだが、着替えも……ない。
うむむ、こちらの方が困る問題だ。
牛乳など今でなくとも飲めるであろう。けれど着替えがなければここから出られないのである。
アイレーンもそのへんを教えてくれればいいのに。
聞かなかった私も悪いのだけど……
扉を数センチだけ開け周りを見るが、誰もいない。
……どうしよう。
ここで大声なんて出したらバルドが現れそうで怖いし。
「すみませーん……」
ささやくような声である。聞こえるわけはない。聞こえるわけはない…のだろうが……
「お呼びでしょうか?」
アイレーンの声が私の後ろから、した。
「うぇ!?」
情けない声だとは思う。しかし私の反応は一般的である。
「なぜここに!?」
「アメリア様のお声が聞こえたので」
「そうではなく」
「お着替えのご用意が終わりましたので」
「そうでもなく。
……どうやってここに?」
本気なのか冗談なのかわからない答えに頭が痛い。
……たぶん本気なんだろう。
「あちらの扉からです」
指さす先には白い壁。
「どこから?」
「あちらの回転式隠し扉からです」
……回転式隠し扉?
「戦争でも起こるんですか」
「バルド様が私どもに秘密で造られたものです」
「覗く気満々!?」
「気がついた頃には手遅れでしたので、有効活用させていただきました。
扉の前は十人ほどが守っておりますのでご安心を」
「主人への信頼皆無」
「『黒髪の天使』の信者ですから」
ずいぶんと熱心な信者ですね……
0
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
悪魔が泣いて逃げ出すほど不幸な私ですが、孤独な公爵様の花嫁になりました
ぜんだ 夕里
恋愛
「伴侶の記憶を食べる悪魔」に取り憑かれた公爵の元に嫁いできた男爵令嬢ビータ。婚約者は皆、記憶を奪われ逃げ出すという噂だが、彼女は平然としていた。なぜなら悪魔が彼女の記憶を食べようとした途端「まずい!ドブの味がする!」と逃げ出したから。
壮絶な過去を持つ令嬢と孤独な公爵の、少し変わった結婚生活が始まる。
【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!
佐倉穂波
ファンタジー
ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。
学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。
三話完結。
ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。
2023.10.15 プリシラ視点投稿。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる