天真爛漫な転生

佐伯 翠

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幼少期編

32.魔法練習再開

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アーロンたちが帰った翌日、しばし止まっていたハンナとの魔法練習が再開された。まだ、別れが寂しくはあるが、次あったときに兄姉たちに自分の成長を見せるためと割り切って、これまで以上に努力することにした。
訓練場のドアを開くと、今回はもう宮廷魔導師の人たちの練習は終わっていたみたいで、中にはハンナしかいなかった。
ハンナはドアが開くのを確認すると、入って来たリアンの方に近寄ってきた。

「久しぶりだね、どうだった?」
「はい、おにいしゃまがたにひしゃしぶりにあえて、たのしかったでしゅ。はんはしゃんはどうでしたか?」
「あぁ、私も魔導師のみんなに魔法教えたり、同級生と会ったりしたよ」
「しょうでしゅか、またきょうからよろしくおねがいしましゅね」
「ふふ、よろしく」

リアンとハンナは久しぶりに会い、互いの近況状況を報告しあった。
ハンナはリアンを見て、大きくなったなぁ、と感じていた。子どもの成長は速いと言うが本当にその通りだ。かわいらしさの中にたくましさが芽生えたような感じがする。兄姉たちと会って変わったのだろう。顔つきに力強さが見受けられる。まだまだ、天使の顔だが…そんな顔にこっそり癒されているのは内緒だ。

「じゃあ、始めようか!」
「はい!」

ハンナはいつも通りに施錠ロックの魔法をかけ、魔法練習が始まった。

「久しぶりだから、初級魔法から中級魔法まで、1回全部やってみようか」
「わかりました」

リアンは火・風・水・土の中級魔法までを順に放っていった。もちろん魔力の量を調節して。膨大な魔力を保持しているリアンが下手に中級魔法を放つと訓練場自体が吹き飛ばされる可能性があるからだ。ハンナがいる限りそういうことはないだろうが…

炎球フレイムボール

リアンがそう唱えると炎弾よりも大きい火の塊がリアンの手から放たれた。魔法は一直線に的まで向かい、引きつけられるように当たった。的は一瞬にして燃え広がり、消し炭となってしまった。

「はは、相変わらず威力が凄いね。もうちょっと抑えれるようにしようか。今のままだと危なすぎて上級魔法なんて教えられないよ」
「はい、いごきをつけましゅ…」

ハンナは苦笑いしながらそう告げた。このままだと周りに被害を出してしまいそうだったからだ。そして、リアンのこれまでの魔法練習を思い出し、どうしたものかと考えていたのだがふと気にかかることがあったのだ。これは本来気づかずスルーした方が良かったものかもしれない。でも、気づいてしまったものはしょうがない。宮廷魔導師団団長として確かめないといけないのだ。

「ねぇ、君、私がいいよと言うまで、いまからしばらく喋らないでね」
「ん?どうしてでしゅか?」
「ちょっと、気になることがあってね。協力してくれる?」
「はい、わかりました」

リアンはハンナに言われたように喋らないように口を真一文字に結んだ。

「よし、じゃあそのまま魔法を撃ってくれる?」

リアンはいまいち良くわからず首をかしげた。

「えっとね、う~ん、「炎撃」の魔法を撃ってくれる?」

『さっきもやった気がするんだけどなぁ』

リアンは先ほど初級魔法、中級魔法を一通り撃っていた。もちろんその中にも初級魔法の「炎撃」もあり、撃っていたのだ。その魔法をもう一度撃ってほしいと言われ、ハンナの意図は分からなかったが一応言われた通りにすることにした。

『喋っちゃいけないから、心の中でと…』

リアンは1番初めに魔法をイメージしたときのように前世のキャンプファイヤーを思い描いて魔法を心の中で唱えた。

炎撃フレイムショック

すると、音をたて魔法は的に当てられた。

「…やっぱり」

その光景を見たハンナはそう呟いた。リアンはその呟きを聞き、首をまたかしげたが…

「あぁ、ごめんね、もう喋って良いよ」
「はい、どうしたんでしゅか?」

ハンナは先ほどよりも強い、呆れたような苦笑いをした。 

「いやね、よくよく考えてたんだけどね、君、1番最初に魔法撃ったときあったよね」
「はい」
「そのときの様子を再現してもらったんだけどね」

ここまで聞いてもいまいちリアンはハンナが何を言いたいのか分からなかった。

「これまでの練習はしっかり魔法を詠唱していたよね」
「はい」
「でも、よく考えてみて?いっちばん最初のときはね詠唱してなかったんだよ、君は」
「それがどうしたんでしゅか?」
「どうしたもこうしたも、ないよ!魔法を声に出して唱えないことは詠唱破棄って言ってね高度な技術なの、今の魔導師じゃ誰も無理なぐらい!」
「じゃ、じゃあはんなしゃんも?」
「そうよ、まだレベルをあげたり、経験を積めばいつか出来るようになるかもしれないけど…」

『やばい、そんなことをやらかしていたのかぁ』

リアンはこれまでで何度目だろうか、最初に見られたのがハンナで良かったと思ったのは…

「あのときは君みたいな小さな子が魔法を使えるということだけでいっぱいいっぱいだったから気づかなかったけど、他にもやらかしてくれていたようね…」
「ごめんなしゃい」
「いいわよ、もう。君、存在自体がもうおかしいから」

なんかもう諦められている気がする。

「で、詠唱破棄は特に対人だと何の魔法を使うか分からないから便利だけど、今の世界だと使わなくても大丈夫なのよね」
「しょうなんでしゅか?」
「書物とか見てるとね、詠唱破棄って本当はねきちんと詠唱するよりも魔法の威力が落ちるのよね。今の敵と言えば大体魔物しかいないから逆にした方がいいのよね…君の場合は威力が変わらないように見えるけど…」
「ほうほう」
「あと、詠唱破棄なんてしたら目立ちたいですって言っているものだらかね」
「は、はい!絶対人前で破棄なんていたしましぇん!」

リアンは心に決めた。

「それなら、いいけど。あっ、あと言いたいことがあったんだった」
「なんでしゅか?」
「私が君に教え始めて、もう半年以上経っているでしょ?そろそろ陛下とかに伝えないと…」

『やばっ、忘れてた…』

「だからね、言っていた通りにね、もう伝えるよ」

リアンは少し安寧だった生活が崩されそうで遠い目をして現実逃避することにした。
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