魔王が幼女だから倒せない!

猫ら

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「それではいきますよ!」

そう言うとクライヴは自身の大剣を取り出し俺に目掛けて大剣を投げてくる
その投げられた大剣をかわして俺は距離を詰める。
が、投げた大剣は綺麗にuターンしブーメランのごとく俺の背後に再び飛んでくる。

「ちっ、鬱陶しいな」

俺はその大剣をひらりとかわした
かわされた大剣はそのままクライヴの手元へと戻っていった。

「はあ!」

大きな声で自分に喝を入れ俺目掛けて剣を振ってくる。

「くっ。」

俺は聖剣カラドボルグをすかさず鞘から抜きその攻撃を受け止める。
その瞬間辺り一面に鉄と鉄がぶつかり合った音が響き渡った

「相変わらず速いなクライヴ!」

クライヴが王国内で剣の最強の使い手と言われる所以はその剣速の速さにある。
大剣使いは本来威力を増す代わりにその大剣の重さから動きと速度が落ちる。
だが、クライヴはその大剣を片手で使いこなすことが出来るほどの腕力を持っている。
ゆえに大剣を使用して威力を増し
その上移動速度や剣速も落とさない
速さ、威力この二つを兼ね備えた斬撃。
そして最強と呼ばれる剣の技術。
それ故にクライヴは王国内で剣の最強の使い手と言われている。

「光魔法シャイニングアロー!」

俺は離れ際に魔法を打ち込んだ
だかしかしこれはあくまでも虚勢だ
接近戦では間合いを取った時が一番隙が生まれる
その隙をカバーするために俺は魔法を放ったのだ

「ちっ。やっぱクライヴの大剣は厄介だ」

降り注がれた光の矢により辺りは砂埃が舞い散る

「さすがはシオン様。ですが!まだ甘いですよ!」

砂埃の間からクライヴが姿をあらわした
間合いを取った俺との距離を詰め再び俺に剣を突き立てようとしている

「まずい。光魔法シャイニングブレス!」

距離を詰めさせないために
そのクライヴに対し俺は再度魔法を打ち込んだ

「これじゃ防戦一方だな」

さすがは王国一の剣の使い手と言ったところだろうか
俺との差に少し差が開いている

「仕方ねえな」

クライヴを倒すには剣術だけではまず不可能だ
だからこそ俺は切り札を使うことを決意した

「少しだけ時間を稼がないと」

「光魔法シャイニングアロー!」

三度光の矢が降り注ぎ
辺り一面に砂埃が舞う

「その魔法は通じないと分かっているでしょう!」

砂埃をかき分け姿をあらわすクライヴ
しかしクライヴはそこで俺がたいして効きもしない魔法を放った理由を理解した

「何だこれは!」

「クライヴー!これは今までの魔法とは威力は桁違いだ!加減はするが精々死なねー様に努力しろよ!」

「光魔法 セレスティアルレイ!」

俺が使った魔法それは昨日取得したばかりの上位魔法だ

俺の唱えた言葉と共に上空より強い光が浮かび上がり辺り一面を神々しい光が包み込む。


「これは──上位魔法!いつのまにそんな魔法を!」

クライヴは俺が使った魔法が上位魔法だとすぐさに理解した

「まずい、体制を整えなければ!」

クライヴは自身が持つ大剣を顔の上で構え空に向け上位魔法への守りをとった

「いっけー!」

上空より浮かび上がった光がクライヴ目掛けて光線となり降り注ぐ。
その数は最早数えることが不可能な程の量の光線だった

「くっ!」

幾度となく凄まじい威力を持つ光線が上空から放たれ大地を貫く

まるで大地の怒りかと思わせるほどの地面の揺れに何度も何度も降り注ぐ光線が地面を貫き抜けあたりに鳴り響く。

「はあはあ。どうだ!?」

ある程度の時間降り注いだ光線は次第に収まっていった。

「はあはあはあ。さ...すがですシオン様」

俺の目の前にいたクライヴは片膝を地面につき今にも前屈みに倒れこもうとする体を大剣を地面に突き刺し何とか倒れまいとしている。
だが、クライヴの着ている鎧はもうボロボロだった
その鎧を見てクライヴが負ったダメージのでかさを俺は理解する

「終わりだクライヴ。俺の話を聞け」

「まだ魔族をかばう気ですかシオン様」

クライヴの目は既に焦点があっていなかった
恐らく気迫だけで自我を保っているのだろう

「あいつは魔王であっても魔王じゃないんだよ」

「何を言っておられるのですか..」

クライヴのダメージ量は既に限界値を超えていた
大剣を握っていた手が大剣から離れ前のめりになってクライヴはその場に倒れ込んだ

「とりあえず勝ったな 」

激戦の末勝利した俺も魔力を使いすぎた
足がフラフラしている
だが、リアの方も気になる

「リア!そっちは──」

リアの方に視線を向ける
が、心配は無用だった様だ


「ふう、4000人を死なさず倒すのは流石に骨が折れるのう」

リアの体には傷ひとつ付いていない
それどころか着ている服も一切の汚れもない。
それはなにより4000人相手に圧倒した証拠だった

「はあ、リアとりあえずクライヴを城内に連れて行って回復させるぞ」

クライヴの誤解を解く必要がある
そのためにはまずクライヴの意識を取り戻させる
話はそれからだ


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