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虚
しおりを挟む灰暗い部屋
外は曇天か、否、自分の目が光の反射から取り残されているのだろう
虚な意識の下でも、鈍く鋭く冷たいものが脳を巡る
自分の体内で毒蟲が這うようである
目覚めは最悪であった
纏わり付くシーツ、乱暴に投げ捨てられた枕、ぐしゃりと湿った布団
乱れた寝具は、不快感を煽る
寝ている間も、毒蟲は身体を蝕んでいたのだろう
いづれ、脚が腐れ落ちるかもしれない
そう為れば、もう脚から脳へ苦痛の信号が送られることもなかろう
嗚呼、いっそ、この脳をひきづり出すのがよかろう
そう為れば、もう痛みを認識せずに濟むのだから
額の脂を拭ひ薄汚れた袖を覩ながら、滑稽な思ひを巡らせる
自分は今日も、この灰暗い部屋から出ることは叶わないのだろう
ならばせめて、安楽に逝ける妄想に耽ることも赦されるだろう
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