異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ

文字の大きさ
9 / 107

ふーふー※エイシオ視点

しおりを挟む

 僕の不注意で怪我をして帰ったら、アユムが泣く程に心配してくれて……。

 大反省しなきゃいけないのに、僕はすごく胸がキュンとしてしまった。
 しかも落ち着かせるふりをしながら抱き締めてしまった。

 最低……と言われる行為かもしれない。

 物心ついた頃から、真面目に品行方正に生きてきたつもりだ。
 どんな女性にだって紳士にスマートに対応してきた。

 なのに僕の欲求で……抱き締めずにはいられなかった。
 アユムが抱き締め返してくれた時は、嬉しくてもうドキドキだった。

 どうして、こんなにも制御が利かなくなるんだろう?

 そしてアユムが熱々のグラタンは危ないからと皿に取り分けて、ふーふーして冷ましてくれた。
 これは……と僕の胸は高鳴りは無意識に口を開いていた。
 親の愛情をもらう雛鳥のように……。

「えっ」

「えっ」

 えっ

 えっ!?

 こ、これは……僕の盛大な勘違い!?

 アユムの顔が赤くなっていく……。
 僕も冷や汗が出てくる。

 これはダンジョンルート間違いをしてしまったという事か?

 まて冷静になるんだ! 僕は勇者とさえ言われている冒険者だっ。

 これまで何度もピンチをくぐり抜けてきた!!
 のに、今が一番ピンチな気がしてくる!!

 エイシオ! 冷静になれ!

「あ~ん」

 ……そして当然のように、僕はそのまま口を開けて要求した。

「えっ……あ、はい……そうですよね。か、片手だと食べにくいですもんね」

 押し切りだ。 此処で焦って恥ずかしがれば奈落の底に落ちるぞ……。

「あぁ、そうしてくれると嬉しい」

 表情はクールな勇者になっていると思う。

「あの、アツアツなんですが……俺がふーふー……したらキモイですよね」

 嬉しい。嬉しいよアユム。

「火傷しないように気遣ってくれて、ありがとう。
 ありがたく思うよ、お願いしたい」

 クールだ。表情はクールに……いつもの僕のまま! なはずだ。

「あ、そうですよね。火傷が一番困りますね。じゃあ失礼して……ふーふー」

 自分がものすごく幼稚に思える。
 でも、それでも……。

「あ~ん」

「あ~ん」

 程よい温かさのグラタンをアユムに口に入れてもらう。

「ん……美味しい!」

「本当ですか。嬉しいです」

「こっちのスパイスをもう使いこなしてるね。トマトソースが抜群だ。
 ひき肉も自分でミンチに? アユムはすごいよ!」

 アユムの料理は魔法だ。
 ひき肉とトマトが層になってチーズが香ばしい。

「そんなに褒めてもらって……へへ。ありがとうございます」

 照れて微笑むアユム。
 僕は今、ものすごく幸せだよアユム。

「ふ~ふ~。では、あ~ん」

「あ~ん」

 パンも千切って口に入れてくれた時は、唇に指が触れて鼻血が出そうになった。
 僕はどうしてしまったんだ。
 でも幸せすぎる。

 五回目でこれではアユムが食べられないと気付いて、自分で食べる事にしたけれどとても尊い時間だった。


しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

異世界で王子様な先輩に溺愛されちゃってます

野良猫のらん
BL
手違いで異世界に召喚されてしまったマコトは、元の世界に戻ることもできず異世界で就職した。 得た職は冒険者ギルドの職員だった。 金髪翠眼でチャラい先輩フェリックスに苦手意識を抱くが、元の世界でマコトを散々に扱ったブラック企業の上司とは違い、彼は優しく接してくれた。 マコトはフェリックスを先輩と呼び慕うようになり、お昼を食べるにも何をするにも一緒に行動するようになった。 夜はオススメの飲食店を紹介してもらって一緒に食べにいき、お祭りにも一緒にいき、秋になったらハイキングを……ってあれ、これデートじゃない!? しかもしかも先輩は、実は王子様で……。 以前投稿した『冒険者ギルドで働いてたら親切な先輩に恋しちゃいました』の長編バージョンです。

【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!

天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。 なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____ 過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定 要所要所シリアスが入ります。

神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。

篠崎笙
BL
保育園の調理師だった凛太郎は、ある日事故死する。しかしそれは神界のアクシデントだった。神様がお詫びに好きな加護を与えた上で異世界に転生させてくれるというので、定年後にやってみたいと憧れていたスローライフを送ることを願ったが……。  2026/01/09 加筆修正終了

前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい

夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが…… ◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。 ◆お友達の花々緒さんが、表紙絵描いて下さりました。可愛いニャリスと、悩ましげなラクロア様。 ◆これもいつか続きを書きたいです、猫の日にちょっとだけ続きを書いたのだけど、また直して投稿します。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生?憑依? 中身おっさんの俺は異世界で無双しない。ただし予想の斜め上は行く!

くすのき
BL
最初に謝っておきます! 漬物業界の方、マジすまぬ。 &本編完結、番外編も! この話は――三十路の男が、ある日突然、ラシェル・フォン・セウグとして異世界におりたち、ひょんな事から助けた8歳の双子と婚約して、ゴ◯チュウもどきから授かった力で回復薬(漬物味)を作って、なんか頑張るコメディーBLです!

処理中です...