異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ

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あったかいね※エイシオ視点

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 アユムがシャツをそっと後ろから脱がしてくれた時は、人生で最大のドキドキだった。

 僕は最低かも。
 本当は指の怪我も全然大した事はなくて、包帯も外しても大丈夫なんだ。

 もう自分でなんでもできる。
 もともと家に戻ったら全部外すつもりだったんだ。

 でも、この状況が……嬉しくて。

 アユムが僕の周りで色々してくれる事が嬉しくて……。

「ありがとうアユム」

「とんでもないです」

 こんな風に、誰かに甘えたいと思ったのは初めてだった。

 男性からはライバル視、競争相手に見られ。
 女性には頼りになる、守ってほしいと思われ……。
 それが誇りだった自分も、いたことは確かだ。

 でも……どこかで、本当は寂しくて、甘えられる存在を求めていたんだと思う。

 その甘えたい心の形と、優しいアユムの存在がピッタリと、当てはまったんだ。

「わぁ……海だーーー!」

 ドアを開けると海が一面に広がっていた。
 心地よい潮風に、ベストタイミングな夕陽。
 岩場の温泉だ。

 海も温泉の水面にも夕陽が映っている。
 なんて美しい風景だろう。

 かけ湯をして、ゆっくりとお湯につかった。

「あぁ~~~!」

「う~~ん、はぁ~~~!」

 身体に染み入る熱い湯に、二人で声が出てしまう。

「気持ちいいですねー!」

「うん、これは最高にいい湯だね」

「あったかいです」

「あったかいね」

 お湯に入った事で、これでアユムをしっかり見つめられる。
 肩が……華奢だな。
 な、何を考えてる僕。

 タオルを頭に乗せたアユム、すごく可愛い。

 あぁ心まであったまるよ……。

「エイシオさん、夕陽がすごく綺麗ですね」

「あぁ、すごく綺麗だ」

 波も静かで……穏やかにオレンジに染まる海。
 幸せな色に思える。
 全てを温かく包んでる。そう僕はまた詩のような事を考えてしまう。

「夕陽なんて、此処に来るまで何年も見ていなかった気がします」

「夕陽を?」

「はい。前に話したように会社がビル街にあったので……」

「此処では、朝日と夕陽と共に生きる生活だ。この夕陽は別格だけど、夕陽を見ない日はダンジョンに潜ってる時くらいだよ。
 夕陽を見ない世界……巨大なビルだっけ? その建物に囲まれて星も見えない世界だなんて……アユムのいた世界は本当に不思議だな」

「そうですよねえ」

 柔らかくアユムは笑って言う。
 横顔が綺麗な夕陽色に染まってる。

 アユムがどうしてこの世界に来たのかは、わからないらしい。
 気付けば、あの森にいた……と。

 きっと……きっと帰りたいに違いない。

 でもその事を考えると、胸が張り裂けそうになる。

 綺麗な夕陽を見ての感動と、君が隣にいてくれる感動と、そして……いつかまた別れがくるのだろうかと……そんな絶望が混ざりあって……。

 いつの間にか、僕の瞳から涙が溢れていた。

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