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僕の家族※エイシオ視点
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僕はどうなってもいい。
どうにか、ソフィア様の責任になることだけは避けなければいけない。
「顔をあげろ、エイシオ」
「はい……」
「ま、待ってください父上! ソフィア様にご負担をかけていたのは私のせいでもあります!」
「フレイグルス?」
突然、フレイグルス兄さんが声をあげた。
「私も……その、恥ずかしながら……自分が任せられていた仕事でもソフィア様にお伺いする事も多く、甘えていた面がありました。しかし自分の評価が下がる事を恐れ、全て自分の実績だと報告していたのです。思い返すと、かなりのご負担をおかけしていたと思います。ソフィア様がいなければロードリア家は破綻します!」
フレイグルス兄さん……あれだけプライドの高い兄さんが……。
自分の恥を晒しても、ソフィア様は守りたい人なんだ。
「あはは! 僕も遊んでばかりで、な~んにも仕事してなかったしね☆僕のせいでもあるんじゃない? 母上だって仕事な~んもしてなかったしさぁ? 自分ばっかり父上の傍にいて、ソフィア様になにが不満? なんて言っちゃっていいの?」
「ウ、ウルシュ……! そ、それは……」
ウルシュ兄さん……。
母上も下を向く。
「こんな馬鹿兄弟と親のせいで、一人頑張っていた女性を責めるのもおかしいよねえ。命は助かったんだし? いいんじゃない~父上?」
「……ソフィアを責めるつもりはない! 私も長く床に臥せって、ソフィアを顧みることがなかった事を今強く反省している! ソフィアは利用されていただけだ。わかっている!」
「あぁ……旦那様……」
「あなた……」
「「お父様~~」」
ソフィア様とシャルロットもイヨンも安心して大泣きしだした。
母上も、ソフィア様に寄り添い抱き締め泣き出す。
「それではエイシオも罪をかぶる必要はない、ということですね」
「だよねぇ☆」
「兄さん達……しかし……僕は……」
それでも、事の発端は僕にある。
ラミリアの事も……この家騒動も……。
「いいから顔を上げろ、立てエイシオ」
「……はい……」
「ラミリアとの婚約も、バーバラが無理に進めていた事はわかっていた。領主をお前に任せたい事もお前の気持ちを無視しているとわかっていた。……だがもう死が目の前にあると思うと、それ以外に正しい答えなどないと……信じたい気持ちがあった」
「……父上……」
確かに、冒険者として名のある僕が領主になれば……この土地の未来はもっと明るくなる。
それは僕にもわかってたけど……。
「そしてお前が拒否するために戻ってこないかという思いもあった……死ぬ前に、もう一度お前に会いたかったんだ……」
僕を見つめる年老いた父の瞳に、確かな愛情が見えた。
「ち……父上……申し訳ありませんでした……」
一度でも帰ってきてほしかった。単純な親心。
僕はそんなものすら、わかってあげられなかった。
「謝ることはない。昨日のしゃぶしゃぶ、楽しかったぞ」
「……僕もです……」
「お前達が幼い頃から、ああやって飯を食べるべきだった」
「……父上……」
堪えきれなくて、涙が溢れる。
男たる者! と言われ続けてきたけど、もう我慢できなかった。
でも、父上の瞳からも涙を流れていた。
「子ども達よ。妻達よ。長い間、不安と不満を我慢させ続け悪かった。ロードリア家は、もう一度絆を取り戻そう。次期領主も皆で決める。だが、私がまだまだ現役続行するがな! 生まれ変わったぞ! ガッハッハ!」
そう言って笑った父上に、僕は抱き締められた。
そして母上もソフィア様の手をひいて父上に抱きつき父上が受け止め、シャルロットとイヨンも父上に抱きつく。
ウルシュ兄さんに押されたフレイグルス兄さんまで父上に抱き締められ、なにこれ。
「あなた」「旦那様」「お父様ー!」
みんなで泣いて抱き締めあってる。
なにこのアットホーム。
こんな事ってある?
僕が家を出た理由ってなんだっけ?
こんなあったかい家族が嫌だったのか?
でも若い頃はもっともっとギスギスしているように感じて、窮屈で……。
それは確かだった。
それが嫌で逃げ出したのに……。
僕の勘違い?
いや……確かに家族は変わった。
僕が成長したから、このあったかさを感じられるようになったのかな。
それはみんな同じかもしれない。
大事なものが、何か……やっとわかってきたような。
ロードリア家が団子状態になっているのを見て、アユムも号泣してくれているのが見えた。
「エイシオさんっ……ううっ……よかった……よかった……」
アユムありがとう。
君はどれだけのものを、僕にくれるつもりなんだい。
勝手に手放していた愛が、沢山戻ってくる。
どうにか、ソフィア様の責任になることだけは避けなければいけない。
「顔をあげろ、エイシオ」
「はい……」
「ま、待ってください父上! ソフィア様にご負担をかけていたのは私のせいでもあります!」
「フレイグルス?」
突然、フレイグルス兄さんが声をあげた。
「私も……その、恥ずかしながら……自分が任せられていた仕事でもソフィア様にお伺いする事も多く、甘えていた面がありました。しかし自分の評価が下がる事を恐れ、全て自分の実績だと報告していたのです。思い返すと、かなりのご負担をおかけしていたと思います。ソフィア様がいなければロードリア家は破綻します!」
フレイグルス兄さん……あれだけプライドの高い兄さんが……。
自分の恥を晒しても、ソフィア様は守りたい人なんだ。
「あはは! 僕も遊んでばかりで、な~んにも仕事してなかったしね☆僕のせいでもあるんじゃない? 母上だって仕事な~んもしてなかったしさぁ? 自分ばっかり父上の傍にいて、ソフィア様になにが不満? なんて言っちゃっていいの?」
「ウ、ウルシュ……! そ、それは……」
ウルシュ兄さん……。
母上も下を向く。
「こんな馬鹿兄弟と親のせいで、一人頑張っていた女性を責めるのもおかしいよねえ。命は助かったんだし? いいんじゃない~父上?」
「……ソフィアを責めるつもりはない! 私も長く床に臥せって、ソフィアを顧みることがなかった事を今強く反省している! ソフィアは利用されていただけだ。わかっている!」
「あぁ……旦那様……」
「あなた……」
「「お父様~~」」
ソフィア様とシャルロットもイヨンも安心して大泣きしだした。
母上も、ソフィア様に寄り添い抱き締め泣き出す。
「それではエイシオも罪をかぶる必要はない、ということですね」
「だよねぇ☆」
「兄さん達……しかし……僕は……」
それでも、事の発端は僕にある。
ラミリアの事も……この家騒動も……。
「いいから顔を上げろ、立てエイシオ」
「……はい……」
「ラミリアとの婚約も、バーバラが無理に進めていた事はわかっていた。領主をお前に任せたい事もお前の気持ちを無視しているとわかっていた。……だがもう死が目の前にあると思うと、それ以外に正しい答えなどないと……信じたい気持ちがあった」
「……父上……」
確かに、冒険者として名のある僕が領主になれば……この土地の未来はもっと明るくなる。
それは僕にもわかってたけど……。
「そしてお前が拒否するために戻ってこないかという思いもあった……死ぬ前に、もう一度お前に会いたかったんだ……」
僕を見つめる年老いた父の瞳に、確かな愛情が見えた。
「ち……父上……申し訳ありませんでした……」
一度でも帰ってきてほしかった。単純な親心。
僕はそんなものすら、わかってあげられなかった。
「謝ることはない。昨日のしゃぶしゃぶ、楽しかったぞ」
「……僕もです……」
「お前達が幼い頃から、ああやって飯を食べるべきだった」
「……父上……」
堪えきれなくて、涙が溢れる。
男たる者! と言われ続けてきたけど、もう我慢できなかった。
でも、父上の瞳からも涙を流れていた。
「子ども達よ。妻達よ。長い間、不安と不満を我慢させ続け悪かった。ロードリア家は、もう一度絆を取り戻そう。次期領主も皆で決める。だが、私がまだまだ現役続行するがな! 生まれ変わったぞ! ガッハッハ!」
そう言って笑った父上に、僕は抱き締められた。
そして母上もソフィア様の手をひいて父上に抱きつき父上が受け止め、シャルロットとイヨンも父上に抱きつく。
ウルシュ兄さんに押されたフレイグルス兄さんまで父上に抱き締められ、なにこれ。
「あなた」「旦那様」「お父様ー!」
みんなで泣いて抱き締めあってる。
なにこのアットホーム。
こんな事ってある?
僕が家を出た理由ってなんだっけ?
こんなあったかい家族が嫌だったのか?
でも若い頃はもっともっとギスギスしているように感じて、窮屈で……。
それは確かだった。
それが嫌で逃げ出したのに……。
僕の勘違い?
いや……確かに家族は変わった。
僕が成長したから、このあったかさを感じられるようになったのかな。
それはみんな同じかもしれない。
大事なものが、何か……やっとわかってきたような。
ロードリア家が団子状態になっているのを見て、アユムも号泣してくれているのが見えた。
「エイシオさんっ……ううっ……よかった……よかった……」
アユムありがとう。
君はどれだけのものを、僕にくれるつもりなんだい。
勝手に手放していた愛が、沢山戻ってくる。
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