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二刀流令嬢・お風呂に入ってお茶会に出る・2
しおりを挟むお湯に浸かりながらの、アリスのラファエル考察は続く。
「この屋敷もすごいですしし……ここの領地の貴族様とか?」
「可能性は高いな。様子を伺い、私達の正体はバレないように過ごして明日には出て行こう」
「こんな素敵な屋敷……名残惜しくなりそうですが……そうですねぇ~明日にはですねぇ」
故郷からは離れたが、国内だ。
どこでヴァレンティーナの噂が広まっているか、わからない。
が、貴族ならば、きっと知っている。
罪人ではないのだが、好奇の目で見られるのは嫌だ。
身体が温まったところで、二人は湯から出た。
身支度をして、ラファエルの部屋に戻る。
待っていたメイドのドナと一緒に、客間に案内された。
外の雨風は、ますます酷くなっている。
「あぁ戻ったか」
客間はソファと上質なローテーブルが置かれ、暖炉の火が灯っている。
客人との会食という場ではなく、リラックスできるように配慮してこの部屋を選んだのだろう。
十分な広さがあって、剣を振るっても天井にも壁にも余裕がかなりある……とヴァレンティーナは思う。
「おまたせした。とても素晴らしいお湯だった。よく温まって最高だったよ」
「代々自慢の温泉なんだ。俺のガウンも、あったかいだろう」
「あぁ……ありがとう。湯冷めしなさそうだ」
メイドのドナが、冷えないようにとラファエルのガウンと女性用のガウンを用意してくれたのだ。
自前の黒くゆったりしたシャツと、ジレ。
そしてズボンを着たヴァレンティーナは彼のガウンを羽織った。
ふわりと、オレンジの香りがする。
アリスは過ごしやすい紺色のワンピースに、借りた薔薇の刺繍の入ったガウンを羽織った。
「アリスもローズのガウンがぴったりだな。まぁ座ってくれ。夜中の茶会だが、酒も用意したし気楽に少し飲んで食べてゆっくり休もう」
ローズ……ラファエルの奥方だろうか? とヴァレンティーナは思う。
「お姉ちゃん早くーーー!」
ラファエルの隣に座っているのはルークだ。
彼もホカホカにあたたまった顔をしている。怪我一つない。
「まだ起きていたの~? 大丈夫~?」
「全然! いっぱい寝たから眠くない!大丈夫だよ」
ルークはアリスとヴァレンティーナの手を引いて、自分の隣に座らせる。
パーティー用のオードブルやスープだったんだろうか。
夜食用に重たくはないメニューが並べられ、果物やワインもある。
「みんなも座れよ~~」
驚いた事にメイドや、使用人の男達もワイワイとソファや持ち寄った丸椅子に座りだす。
「いやーお疲れ様、大変だったなぁ」
「でも無事で良かった良かった」
それぞれが自由に喋り、笑う。
これにはヴァレンティーナはもちろん、アリスも驚いて目を丸くした。
「あぁ。ここで働いてくれる皆は俺の家族さ、飯も一緒に食う。今日の夜中の茶会は特別だけどな。まぁお疲れ様! みんな乾杯!」
「やっと酒が飲めるぜー!」
「ぼっちゃんの誕生日の前祝いになったなー乾杯!」
「茶会だからなー!? まぁありがとう、みんな!」
そして、がやがやと夜中なのに賑わう茶会が始まる。
二人もワインをもらい、乾杯をした。
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