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燃える愛・2
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誰よりも悔しいのはラファエルだ。
その彼の言葉に、皆が頷く。
「そして、みんな聞いてくれーーー!!」
朝の村に、響き渡るような大声。
「ヴァレンティーナが俺のプロポーズを受け入れてくれた!! 俺の妻になってくれるんだ!! みんなお祝いしてくれーー!!」
ラファエルの婚約発表に、アリスとローズが抱き合って叫んだ。
使用人も村人も、歓声をあげて拍手する。
「ラファエル様ー! ヴァレンティーナ様! おめでとうございますーー!!」
暗い雨が続いていた村に、キラキラとした朝日が照らす。
村が、輝きに満ち溢れていく。
皆が笑顔で祝福してくれた。
ヴァレンティーナの胸元で、道場の鍵が揺れる。
こんなにも沢山の見知らぬ人に囲まれて、それが冷笑や嘲笑いではなく皆が嬉しそうな笑顔。
初めての経験だった。何もかも心が追いつかない。
「ラ、ラファエル……! 君は……もう! 突然に何を……!」
言葉にならず、ヴァレンティーナの頬は真っ赤だ。
恥ずかしさと、嬉しさと、なんだか涙が出そうだった。
「抱き上げて自慢したいのを我慢したんだぞ? ……ふふ、報告は早い方がいいじゃないか。撤回なんかしないのだから」
「だ、だからって……」
「責めるなら俺の部屋で……ゆっくり聞くよ」
キスをするように耳元で囁かれて、アリスとローズがキャーと喜ぶ悲鳴を上げた。
「ば、ばか……!」
「じゃあ、俺達は休むとしよう」
ラファエルは皆の祝福を笑顔で受けて、ヴァレンティーナの肩を抱く。
メイド達が、我先にとバタバタと屋敷へ戻って行くのが見えた。
駐在所からは馬車で、ゆっくりと屋敷まで送ってもらう。
今は屋敷に入って、ラファエルの部屋へ向かっているところだ。
恥ずかしくて下を向くヴァレンティーナの手を、ラファエルが優しく握って歩く。
剣の修行でできたマメのある手も、ラファエルは愛しく握ってくれる。
ラファエルの剣士で無骨な手も、また愛おしかった。
「傷は痛まないか?」
駐在所の隣には、治療院も併設されている。
この村の規模にしては、かなり質の良い治療院でヴァレンティーナも診てもらうことができた。
普通の女性なら骨を折ったり、内臓を損傷する怪我を負っていたかもしれないが、ヴァレンティーナは唇の端が切れたのと腹部に軽い打撲を受けただけで済んだ。
ラファエルがやきもきして待っている間に、治療術師が治してくれた。
「あの治療術師さんは、かなり優秀だな。もうどこも……前より具合がいいくらいだ」
「稽古で怪我したって、みんな行くからなぁ……あそこの治療術師さんは綺麗だろ?」
「あぁ。とても綺麗な人だった」
「そうなんだよなぁー美人で知識が深いから男達のアイドルさ。助手のメガネ君もかっこいいし、みんなの心も癒やされるってさ」
ラファエルは、素直に人を褒める。
アリスだけではない、男でも女でも、誰の事でも褒めるのだ。
そんな簡単な事だったのに、恋心を患って、何も見えていなかった。
「ヴァレンティーナもとても綺麗だよ」
「ラ! ラファエル、君という人は……もう……」
「戦いの女神のようだ。剣を振るう姿は華麗で美しく、そして凛々しく強い」
「ばか! いや、あの違う……嬉しい……んだけど……恥ずかしくて……だめ……」
握った手は離してもらえないので、片手で顔を覆う。
逆にラファエルがその様子を見て、一瞬止まる。
「可愛いすぎて、俺は馬鹿になってるよ。すごく好きだ。好き。可愛い」
ヴァレンティーナの可愛い仕草に、ラファエルは子供のように『好き』を繰り返す。
「……わ、私は……あの……その……慣れない……」
「お互いにゆっくり慣れていこう……とりあえず、一緒にお風呂に入って泥を落として温まろう」
「お、おふろ……」
ラファエルの部屋の温泉。
まさか一緒に入る運命が待っているとは夢にも思わなかった。
しかし、一緒に入るということは……。
「……うん……ダメ……?」
また可愛さと、男らしさの繰り返し。
「……だ、ダメじゃない……」
優しく微笑むラファエルに導かれて、二人で部屋へ入っていく……。
部屋は、二人を祝福するように豪華に彩られ準備されていた。
オレンジの香りが二人を包んで、ラファエルの優しさがヴァレンティーナを包む。
「優しいな……ラファエルは」
「俺のお嫁さんに、こんな女神がなってくれるって言うんだぜ? この世で一番優しくするし、大事にする」
自分がまさか誰かの『お嫁さん』になるだなんて……。
あの白豚息子との婚約が決まったときには一切思わなかった感情が、心を満たしていく。
望まれる事がこんなにも嬉しいだなんて。
そしてこの幸せな想いを、ラファエルにもあげたい。
母のことで傷を負った少年の心を、癒やしてあげたい。
「……私もだ。絶対に君を一人にしない……」
「ヴァレンティーナ……剣に誓って……?」
「剣に誓って……」
「俺も誓うよ……愛してる」
二人で手を取り合って愛を確認し、キスをした。
気高く美しいヴァレンティーナと、皆に慕われる剣豪ラファエル。
ラファエルの素直で雄々しい愛で、癒やされ、浄化され、愛されて……。
初めての愛に燃える二人を、ベッドの傍らの剣4つが見守っていた――。
その彼の言葉に、皆が頷く。
「そして、みんな聞いてくれーーー!!」
朝の村に、響き渡るような大声。
「ヴァレンティーナが俺のプロポーズを受け入れてくれた!! 俺の妻になってくれるんだ!! みんなお祝いしてくれーー!!」
ラファエルの婚約発表に、アリスとローズが抱き合って叫んだ。
使用人も村人も、歓声をあげて拍手する。
「ラファエル様ー! ヴァレンティーナ様! おめでとうございますーー!!」
暗い雨が続いていた村に、キラキラとした朝日が照らす。
村が、輝きに満ち溢れていく。
皆が笑顔で祝福してくれた。
ヴァレンティーナの胸元で、道場の鍵が揺れる。
こんなにも沢山の見知らぬ人に囲まれて、それが冷笑や嘲笑いではなく皆が嬉しそうな笑顔。
初めての経験だった。何もかも心が追いつかない。
「ラ、ラファエル……! 君は……もう! 突然に何を……!」
言葉にならず、ヴァレンティーナの頬は真っ赤だ。
恥ずかしさと、嬉しさと、なんだか涙が出そうだった。
「抱き上げて自慢したいのを我慢したんだぞ? ……ふふ、報告は早い方がいいじゃないか。撤回なんかしないのだから」
「だ、だからって……」
「責めるなら俺の部屋で……ゆっくり聞くよ」
キスをするように耳元で囁かれて、アリスとローズがキャーと喜ぶ悲鳴を上げた。
「ば、ばか……!」
「じゃあ、俺達は休むとしよう」
ラファエルは皆の祝福を笑顔で受けて、ヴァレンティーナの肩を抱く。
メイド達が、我先にとバタバタと屋敷へ戻って行くのが見えた。
駐在所からは馬車で、ゆっくりと屋敷まで送ってもらう。
今は屋敷に入って、ラファエルの部屋へ向かっているところだ。
恥ずかしくて下を向くヴァレンティーナの手を、ラファエルが優しく握って歩く。
剣の修行でできたマメのある手も、ラファエルは愛しく握ってくれる。
ラファエルの剣士で無骨な手も、また愛おしかった。
「傷は痛まないか?」
駐在所の隣には、治療院も併設されている。
この村の規模にしては、かなり質の良い治療院でヴァレンティーナも診てもらうことができた。
普通の女性なら骨を折ったり、内臓を損傷する怪我を負っていたかもしれないが、ヴァレンティーナは唇の端が切れたのと腹部に軽い打撲を受けただけで済んだ。
ラファエルがやきもきして待っている間に、治療術師が治してくれた。
「あの治療術師さんは、かなり優秀だな。もうどこも……前より具合がいいくらいだ」
「稽古で怪我したって、みんな行くからなぁ……あそこの治療術師さんは綺麗だろ?」
「あぁ。とても綺麗な人だった」
「そうなんだよなぁー美人で知識が深いから男達のアイドルさ。助手のメガネ君もかっこいいし、みんなの心も癒やされるってさ」
ラファエルは、素直に人を褒める。
アリスだけではない、男でも女でも、誰の事でも褒めるのだ。
そんな簡単な事だったのに、恋心を患って、何も見えていなかった。
「ヴァレンティーナもとても綺麗だよ」
「ラ! ラファエル、君という人は……もう……」
「戦いの女神のようだ。剣を振るう姿は華麗で美しく、そして凛々しく強い」
「ばか! いや、あの違う……嬉しい……んだけど……恥ずかしくて……だめ……」
握った手は離してもらえないので、片手で顔を覆う。
逆にラファエルがその様子を見て、一瞬止まる。
「可愛いすぎて、俺は馬鹿になってるよ。すごく好きだ。好き。可愛い」
ヴァレンティーナの可愛い仕草に、ラファエルは子供のように『好き』を繰り返す。
「……わ、私は……あの……その……慣れない……」
「お互いにゆっくり慣れていこう……とりあえず、一緒にお風呂に入って泥を落として温まろう」
「お、おふろ……」
ラファエルの部屋の温泉。
まさか一緒に入る運命が待っているとは夢にも思わなかった。
しかし、一緒に入るということは……。
「……うん……ダメ……?」
また可愛さと、男らしさの繰り返し。
「……だ、ダメじゃない……」
優しく微笑むラファエルに導かれて、二人で部屋へ入っていく……。
部屋は、二人を祝福するように豪華に彩られ準備されていた。
オレンジの香りが二人を包んで、ラファエルの優しさがヴァレンティーナを包む。
「優しいな……ラファエルは」
「俺のお嫁さんに、こんな女神がなってくれるって言うんだぜ? この世で一番優しくするし、大事にする」
自分がまさか誰かの『お嫁さん』になるだなんて……。
あの白豚息子との婚約が決まったときには一切思わなかった感情が、心を満たしていく。
望まれる事がこんなにも嬉しいだなんて。
そしてこの幸せな想いを、ラファエルにもあげたい。
母のことで傷を負った少年の心を、癒やしてあげたい。
「……私もだ。絶対に君を一人にしない……」
「ヴァレンティーナ……剣に誓って……?」
「剣に誓って……」
「俺も誓うよ……愛してる」
二人で手を取り合って愛を確認し、キスをした。
気高く美しいヴァレンティーナと、皆に慕われる剣豪ラファエル。
ラファエルの素直で雄々しい愛で、癒やされ、浄化され、愛されて……。
初めての愛に燃える二人を、ベッドの傍らの剣4つが見守っていた――。
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