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ルーチェ(3-2)
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「さてこんなもんかしらね!」
「ふむ、そっちも無事に片付けられたか」
ルーチェとクロによる金獅子の解体も終わる頃。ボロボロになった大狼の死体を引きずってアーヴェンが森の奥から現れた。
「ちょっと、アンタ。それ売り物にならないじゃない!」
「仕方ないだろ。俺の剣気は爆発に特化してるんだ、綺麗に素材を残すなんてできない。だから金獅子はお前達に任せたんだろうが」
詰め寄るクロを払い除けてアーヴェンは既に解体された金獅子へ近寄る。浄化により血も取り除かれた毛皮は傷一つなく美しかった。
「流石はルーか。冒険の本質ではないが、金稼ぎも重要だからな。ルーに剣気の使い方でも教わるべきか?」
「良いじゃないそれ! 時間があるなら学ぶべきよ!」
冗談混じりのアーヴェンの言葉にクロが大きく頷いて賛成する。その様子を見つめてアーヴェンは呆れたように深く息を吐いた。
「それはそれとして、だ。今回も生息域外の魔物が現れたな」
「そうね。これで最初の大狼を入れてもう五回目よ。今回なんてアンタが周囲の魔物まで調べたから金獅子の対策に催涙爆弾なんて用意して見事に役立ったわけだしね」
「他の冒険者も同様の事態になっているらしいからな。何か起きているのは確かだろうが……」
アーヴェンは悩むように顎に手を当てて押し黙る。
調べた限りでアーヴェンが異変について理解しているのは、本来その場所に存在していない魔物が現れるということ。そして、現れる魔物は近くの別区域の魔物であるということだけだ。
それらの情報をもとに現れる可能性のある魔物を想定し、倒せる魔物だけが周囲にいる地域の依頼を受けて周りの魔物に対抗する準備もすることでアーヴェンはこの異変に対策していた。
今回の依頼もそうだ。大狼討伐ならば薄闇の森に向かうことになる。その場合隣接する地域は兎の草原と金色砂漠だけ。警戒すべき魔物は金色砂漠で最も強い金獅子だった。そこで金獅子の得意技が目眩しであることから猫人族のクロがいれば討伐できるだろうと予想したアーヴェンは、薄闇の森なら比較的安全と判断して依頼を受けたのだ。
だが異変の予想はできても、異変の原因がわからなかった。思い悩むようにアーヴェンが唸る。
その様子を見て、ルーチェがおずおずと口を開いた。
「……魔の化身が現れた。なんて考えるのは、あまりに馬鹿らしいですかね?」
ルーチェが漏らした呟き。それは、かつてサンジェ女王が戦ったとも言われる伝説上の怪物が現れたという内容だった。
「馬鹿らしいな。馬鹿らしいが、間違いとも言い切れないかもしれん」
普段ならば呆れたように笑うだろうその内容に、しかしアーヴェンは食いつく。
「ルーが言いたいのは、サンジェ女王の伝説に語られる魔物の大移動のことだろ? 魔の化身が現れたことで魔物が逃げ出して群れとなり、サンジェ女王の守る街に迫ったという話だな」
「そう、それです。魔の化身とは言わないまでも、魔物にとっての脅威や邪魔者が現れて移動せざるを得ない状態になったら……」
「逃げるように魔物の分布が変わる。あり得る話だ」
魔の化身が現れたとは思えなかったが、何かしらの理由で脅威となる魔物が移り住んで来た可能性ならば十分にあるとアーヴェンは判断した。
「ならば、これを冒険者組合に報告すべきだな。もしかすると、伝説にあったような魔物の大移動が起こるかもしれない」
「それは、まずいですね。急ぎましょう」
ルーチェとアーヴェンが二人視線を交わして頷き合う。
その横で、クロだけが一人話を理解できずに首を傾げていた。
「ふむ、そっちも無事に片付けられたか」
ルーチェとクロによる金獅子の解体も終わる頃。ボロボロになった大狼の死体を引きずってアーヴェンが森の奥から現れた。
「ちょっと、アンタ。それ売り物にならないじゃない!」
「仕方ないだろ。俺の剣気は爆発に特化してるんだ、綺麗に素材を残すなんてできない。だから金獅子はお前達に任せたんだろうが」
詰め寄るクロを払い除けてアーヴェンは既に解体された金獅子へ近寄る。浄化により血も取り除かれた毛皮は傷一つなく美しかった。
「流石はルーか。冒険の本質ではないが、金稼ぎも重要だからな。ルーに剣気の使い方でも教わるべきか?」
「良いじゃないそれ! 時間があるなら学ぶべきよ!」
冗談混じりのアーヴェンの言葉にクロが大きく頷いて賛成する。その様子を見つめてアーヴェンは呆れたように深く息を吐いた。
「それはそれとして、だ。今回も生息域外の魔物が現れたな」
「そうね。これで最初の大狼を入れてもう五回目よ。今回なんてアンタが周囲の魔物まで調べたから金獅子の対策に催涙爆弾なんて用意して見事に役立ったわけだしね」
「他の冒険者も同様の事態になっているらしいからな。何か起きているのは確かだろうが……」
アーヴェンは悩むように顎に手を当てて押し黙る。
調べた限りでアーヴェンが異変について理解しているのは、本来その場所に存在していない魔物が現れるということ。そして、現れる魔物は近くの別区域の魔物であるということだけだ。
それらの情報をもとに現れる可能性のある魔物を想定し、倒せる魔物だけが周囲にいる地域の依頼を受けて周りの魔物に対抗する準備もすることでアーヴェンはこの異変に対策していた。
今回の依頼もそうだ。大狼討伐ならば薄闇の森に向かうことになる。その場合隣接する地域は兎の草原と金色砂漠だけ。警戒すべき魔物は金色砂漠で最も強い金獅子だった。そこで金獅子の得意技が目眩しであることから猫人族のクロがいれば討伐できるだろうと予想したアーヴェンは、薄闇の森なら比較的安全と判断して依頼を受けたのだ。
だが異変の予想はできても、異変の原因がわからなかった。思い悩むようにアーヴェンが唸る。
その様子を見て、ルーチェがおずおずと口を開いた。
「……魔の化身が現れた。なんて考えるのは、あまりに馬鹿らしいですかね?」
ルーチェが漏らした呟き。それは、かつてサンジェ女王が戦ったとも言われる伝説上の怪物が現れたという内容だった。
「馬鹿らしいな。馬鹿らしいが、間違いとも言い切れないかもしれん」
普段ならば呆れたように笑うだろうその内容に、しかしアーヴェンは食いつく。
「ルーが言いたいのは、サンジェ女王の伝説に語られる魔物の大移動のことだろ? 魔の化身が現れたことで魔物が逃げ出して群れとなり、サンジェ女王の守る街に迫ったという話だな」
「そう、それです。魔の化身とは言わないまでも、魔物にとっての脅威や邪魔者が現れて移動せざるを得ない状態になったら……」
「逃げるように魔物の分布が変わる。あり得る話だ」
魔の化身が現れたとは思えなかったが、何かしらの理由で脅威となる魔物が移り住んで来た可能性ならば十分にあるとアーヴェンは判断した。
「ならば、これを冒険者組合に報告すべきだな。もしかすると、伝説にあったような魔物の大移動が起こるかもしれない」
「それは、まずいですね。急ぎましょう」
ルーチェとアーヴェンが二人視線を交わして頷き合う。
その横で、クロだけが一人話を理解できずに首を傾げていた。
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