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異世界ツッコミ!(後編)「完結」
しおりを挟む「や、やめてください!離してください!」
震える女の声が聞こえてきた。何を言っているのかはわからないが何やら嫌な予感がした。
俺は足を止めた。何故か?と聞かれればそれは怖いからだ。俺は現実の世界で人を悪者から救うみたいなヒーローじゃない。例え力を与えられたとしても怖い。
ラノベでよくある異世界転生者が異世界に来て直ぐに事件が起こって、そこでヒロインを助けて、すぐに好きになられる。
そのような展開は異世界物を読んでいる男性ラノベ読者にとってはよくあるテンプレで一度は俺もそういう事件に巻き込まれて、そこでヒロインを助けてヒロインが自分に恋する。などとニヤニヤしながら想像…ゲフンゲフン…思ったことはあるだろう。
それを涼しい顔でヒロインを助ける異世界主人公は本当に凄いと思う。そいつらはきっと現実世界でも誰かを助けるなどとみんな正義感の強い持ち主だな。
だが俺はそんな異世界主人公みたいにはなれない。あくまで一般人だ。困っている人を助けると心で思っていても見ないふりをしてしまう。
昔『家なき子』というドラマがあった。そこで「同情するなら金をくれ!」と叫ぶ女の子がいた。周りは可哀想とは思うが助けようとはしない。
本当に人間というのは自分や自分に強い関わりがない人にはまるで関心がない。だから警察という役職が誕生したのだろうか?それはわからない。
「離さねーよ!お前はこれからオークションに出品されるんだ!」
「イ…イヤアァァァァァーーー!」
泣き叫ぶ女の声がした。
俺は自分に酷く怒った。どうして泣いている人がいるのに俺の足は恐怖で震えて動けないでいるのかと…
今まで拾ってくださいと書かれた紙が入ったダンボール箱にいる子猫たちを見て可哀想とは思うがそれを家に持って帰ろうとはしない。誰かが『やってくれる』などと考えていた。
だが今は周りには誰もいない。俺がやらなくちゃぁならない。もうどうにでもなれという精神で俺は頑張って足を動かし裏路地に入っていく。
裏路地では両手を縄できつく結ばれた女の子が泣きないていた。
「おい!やめろ!」
「何だてめぇ?見ねぇ顔だなぁ!誰だお前?名前は?」
はぁ、何を言っているのかさっぱりだ。アメリカ人の英語のリスニングテストを聞いているような感じだ。
まぁ何を言っているのかわからんけど、状況を見ればなんとなくわかる。これは誘拐だ。目的はわからない。人身売買や性奴隷などだろうか。とにかく今すぐこの人達をなんとかしないと。
だが殴り合いは避けたい、どうしてかと聞かれたら、それはその悪者達にも一応家族はいるんだ。自分の息子が傷を負って帰ってきたら当然親は心配する。その親に心配をさせたくない。
そう考えると躊躇なく悪者を倒せる異世界転生主人公はサイコパスの可能性があると俺は思う。
「おーい、返事しろ!」
何を言っているのかわからない、とにかくこいつらに構っている暇はない。今すぐ助けないと。
俺は魔力がレベル99ということで沢山魔力があることを信じて心のなかで何かを唱えた。
すると突然俺と彼女の下に白い魔法陣らしき物語出てきて、俺と彼女はどこかしらのところに飛ばされた。
瞬間移動したのだろう。辺り一面は草原で広がっていた。
「ありがとう助けてくれて!」
彼女は突然日本語で会話してくれた。黄色い目をして白髪でショートボブのとても美しい人だ。
「いえいえ、どういたしまして!」
「ってなんで日本語喋れるんだ?!」
「日本…語?というのはわからないけど、貴方のそれはチンダル語よ!」
でたでた現実世界の日本語は異世界では日本語と全く同じ発音で日本語という名前が違うやつに変わっている。というやつ!本当日本語ってすげー!
「まぁ会話できたら何でもいいや!とりあえず怪我はないか?」
「ええ、大丈夫!怪我はないわ!」
「それは良かった!」
それにしてもよく見ると本当に美人だなぁ、胸も大きい。どうして異世界で主人公と出会う女の子は皆可愛い子ばっかでほとんどが胸が大きいのだろう。まったくやれやれだぜ。
「ところでここはどこかわかるか?」
「ここは、確か…私のふるさとの象徴である大草原だよ!近くに私の家の集落があるわ!」
「でもこんな草原左も右も分かんねーよ!」
「いや大丈夫よ!私のスキル瞬間移動があるから!さっきはスキル封印をかけられ使うことができなかったけど、今はそれがないから使えるわ!」
え、瞬間移動使えるの?俺は直ぐに彼女へのスキル鑑定を行った。
瞬間移動スキル:一度行った場所に移動することができる。
そうか、さっきから少し疑問に思っていたがどうして俺は念じたら瞬間移動されたと思ったら、それは俺が無意識にコピースキルを使っていたのだ。彼女の能力をコピーしていたのだろう。
それで彼女の行ったことのある場所をそのままコピーしてこの大草原に瞬間移動したわけか。本当に便利すぎるスキルだ。
勝手に作者が都合良く話を進めるために魔力を込めたら何だかんだで、瞬間移動した!とかだと思っていたぜ!
「とりあえずそこに連れてってくれ!」
「うん!わかった!」
俺はそのままその集落に行き、集落の人が喜んで歓迎してくれた。寝る前に風呂に入るとき、壁が薄い木の板でできているのもあり男湯から女湯で女子同士の話し声が聞こえる。
興味本位で耳を壁に近づけると、誰かのスキルだろうか。恐らく感知スキルとかだろう。
感知スキル:半径10メートル以内で呼吸をしている生き物の場所を感知する。
「だれー?もしかして今日来た新人さん?村長の娘を助けたんだってー?かっこいいね!良かったら夜私と過ごさない?」
俺は立ったまま固まっていた。もちろん俺の息子も立ったまま固まっていた…
こういうとき透視スキルが欲しいとどれほど思ったか…
しばらくして息子が収まって来た頃、俺は自分の寝室(さっき会ったヒロイン=村長の娘)に戻った。
「おかえりっ!あなた!」
「は?えっ?!ちょちょ…」
ドアを開けると目の前には彼女がAVや風俗店でしか見たことがないひらひらな下着を来ていた。そのまま彼女は言葉を続ける。
「私ね、実はさっき貴方に助けてもらったとき、貴方を好きになったの!」
「はっ、マ・ジ・デ・ス・カ?」
おいおい助けてもらっただけで人を好きになるだー?嘘だろ!
「うん、貴方が…好き…なの…」
惚れるのはや~!人に惚れやすいとしてもこれはいくらなんでも早すぎる!こんな直ぐに人を好きになるなんて普通なら浮気しまくるだろ!
「私…初めて人を好きになったの…、今まで誰かに助けられてもこんなに心臓の鼓動が早くはならなかった!」
まじかー!異世界転生作品でヒロインは他の男には見向きもしないのに主人公にはすぐに惚れるやつぅー、本当に何でもありだな。
「あなたが好き、今晩は私と一緒に寝てくれない?」
うわぁー、そんなの「はい!一緒に寝ましょう!今すぐに!」と即座に言うだろが!異世界転生主人公はどうしてそういう展開になるとすぐに逃げるのだろうか…。恥ずかしくて逃げた?いや、男なら『漢』にならないといけないときがある!それをこういうときにならなくてどうすると俺は言いたい!
俺ははい!と言い彼女をベットに寝かせ彼女の膝の上に乗った。
だがいざ始めようとしたが童貞の俺は緊張で
立たなかった。さっき風呂場ではギンギンに立っていたというのに。異世界転生主人公は最初にヒロインとそういう行為をするときは立ったのだろうか?そんなことを考えながら俺は普通に布団に入った。
「やっぱだめだ、こういうのはしばらくしてから出ないとだめだよ!」
「そ、そう?わかった、んじゃ今日は一緒に寝よ!」
「って言ってももうあと少しで日が昇るけどね!」
「そうだな!」
そのまま俺は眠りにつく・・・・・・わけもなく、緊張で一睡もできなかった。
◆
太陽が神々しく燦々と窓から挿し込んできた。およそ12時頃だろう。
彼女は目を覚ました。乱れた上がこの上なく可愛く見えた。俺は「おはよう!よく眠れた?」と声をかけた。
「ぅぅぅ…おぁよう…」
俺は転生前に着ていた学校の制服に着換え昨晩教えてもらった洗面台朝の支度をした。
そして戻ったら彼女は着替えていた。白パンに白ブラ。Simple is Best。よくあるラッキースケベだ。これは現実世界でも異世界でもよくあることだ。
「キァャャャーー!」
大きな叫び声だった。昨日の夜はあんなにエロい下着を着ていたのにどうして今?と思ったがまぁ『夜』という謎のパワーに他ならないと思い勝手に納得した。
しばらくして彼女はドアを開け俺に言う。
「えっち…」
顔を赤くしていう彼女のその言葉はもはやご褒美そのものだった。
「あ…あぁ、さっきはごめん!」
俺は土下座をして許しをこいだ。異世界では必殺技土下座をすると大抵のことは許してくれる。その分プライドはすり減っていく一方だけどね。
「もう~…いいわよ…別にそんなに怒ってないし!」
「本当?!ありがとっ!」
「それより今日実はこの村の祭りなの!だから一緒に回らない?」
なんと!デートのお誘い、しかも今日がお祭りだ!というなんとも都合が良すぎる展開。絶対作者は話を進めるためやった今日実は祭りだった設定…
「いいよ!一緒に回ろ!」
俺はそのまま彼女とお祭りに行く。
祭り会場に着くと、周りには屋台や異世界にある特有の意味不明なゲームなどと沢山ある。
人も沢山いて、中には現実世界では存在しない、耳の長いエルフやネコ耳としっぽのついたネコ族などがたくさんいる。
そのほとんどの胸がいっちょ前に大きい。尻も大きい。安産型だ。
本当に美人ばかりだ、顔面偏差値高すぎだろ、そこら辺のをモブキャラでも女優なれるぞ!異世界は美女の集まりだな!
俺はそんなことを思いながら、昨日?今日?どう言えばいいのだろう。まぁさっきまで一緒に寝ていた彼女と一緒にいろんな屋台を巡り、食べて遊んでいた。
村の村長の娘の彼女はお金が沢山あり、金は全て彼女に払ってもらった。本当に申し訳ない。
しばらく遊び呆けているといつの間にか夜になり祭りも終わっていた。恐らくもうそろそろ神様の元に一度帰るのだろう。
「・・・・・・」
しかし突然の出来事だ。
突然三つの目を持つ超巨大な化け物が攻めてきたのだ。
俺の周りにいる人達はみな口を揃えて「ど、どうしてここにこんな化け物が?!普通なら最も地下深くに眠っているというのに!」という。
うわぁー、めんどくさ…。これよくあるテンプレ展開じゃねぇか。どうして異世界転生作品は普通じゃないことしか起きねーだろ、しかも毎度毎度主人公は何かしら事件に巻き込まれるのだろか。
それもこれも近くにコ○ンがいるのだろうか、はたまた異世界転生あるあるなのかはわからないけど、とにかく今は目の前の敵を倒す!
俺はスキル鑑定とスキルのコピー発動した。
なっ?!こいつのスキル、じ、時間停止だと?こいつの魔力的に5秒が限界か…、とりあえずコピーっと。
俺はすぐにコピーしたスキルをやつが使う前に使って時間を停止させた。そしてそのまま無のスキルを発動させ、やつの存在を一瞬にして消した。
やつを消す前に色々と考えた。途中女子のスカートを捲ろうとしたがやめた。
生き物を殺すというのはその生命の生きてきた歴史が途切れるということ。例え倒さなくてはならないとしても、胸がざわつく。それを直ぐ倒すことができる異世界転生主人公はやっぱりサイコパスだ。
奴を消したあと、すぐに時間は動き出した。
恐らくだが無のスキルと時間停止スキルの魔力消費がとてつもなく激しかったのだろう。俺は疲れで倒れ眠ってしまった。
しばらくして目を覚ますと涙で顔が一杯になった彼女が膝枕をしてくれていた。
「よかったぁぁ、よかっだょぉ~!」
俺は彼女の涙を手で拭き起き上がる。頭の中にテレパシーで神様から声がかかる。「あと1分じゃよー!」と。
「心配してくれてありがとう!今日は楽しかったよ!」
たった一日だけだったけど、俺はいつの間にかこの世界が恋しくなった。なんだかもっと彼女といたいと思った。
「わだじもぉ…わだじもだのじがっだぁあ!」
鼻声になっていた彼女はそう言い俺に優しい口付けをした。
俺はそおっと彼女を抱きしめた。
(もう時間じゃ!早く帰ってくるのじゃ!)
(わかったよ…いま行く…)
俺は無のスキルを使い、俺が今日一日関わってきた人達の記憶から俺の記憶を『無』にした。そして彼女を抱きしめたまま天界へ戻っていった。
~天界にて~
「神様、ありがとう、楽しかったよ!」
「おうそうかそうか!それは良かった!」
「改めて思うよ神様」
「ん?なんじゃ?」
「異世界転生って本当ツッコミ所多いけど、それ含めて本当に・・・異世界転生って最高だね!」
俺は満面の笑みを浮かべたのであった。
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