1 / 4
会いたかった親友
しおりを挟むいつものように、ゆうからメールが届いた。
ゆう「あいつと別れたい。酷い事を言われた」
さつき「大丈夫?何て言われた?」
ゆう「お前は女じゃない。キモい。結婚して後悔しているって言われた」
さつき「ゆうの事をそんな風に言うのはおかしい。さっさと別れた方がいい」
ゆう「ありがとう。私の事をわかってくれるのは、さつきだけだよ。少し落ち着いた。もう寝るね。おやすみ」
さつき「おやすみ」
私とゆうは半年前にSNSで知り合って、意気投合し、すぐに仲良くなった。
会った事はまだないが、近いうちに会いたいと話している。
お互いの自宅は車で一時間くらいの距離。毎日と言っていいほど、近況報告している。
私とゆうにはリアルな友人はいない。会った事はないが、親友といってもいい程、心を許している。少なくとも私は。
半年前に私は恋人と別れた。その時、慰めてくれたのがゆうだった。何かを失えば何かが手に入る。私は親友を手に入れたと思った。
彼と別れて気持ちが落ち着いた頃、ゆうがDVにあっている事を打ち明けてくれた。
殴られた事はないようだが、ゆうの大事にしていた服を破かれたり、人格を否定する。ゆうが稼いだお金を夫が管理している。
夫は無職。ゆうとは別れないと言っている。ろくでもない奴だ。
23時、ゆうからメールが届いた。
ゆう「さつき会いたい。今から会えない?」
さつき「ゆう大丈夫?何かあった?」
ゆう「あいつが私の秘密を会社にバラすって言ったから殴ってやった。もうおしまいだよ。家を出てきた。しばらくの間、さつきの住んでいる近くのホテルに部屋を借りた。グランドホテル503号室にいる。さつき会いたい」
さつき「わかった。ゆう大丈夫?殴られなかった?そのホテルなら15分くらいで行けると思う。待ってて」
ゆう「私は大丈夫。ありがとう。待ってる」
私達の初対面は突然訪れる事になった。お洒落なカフェで待ち合わせして、カフェラテを飲みながら、リアルな親友へと移行する感じを楽しみたかった。
しかし、ゆうからのメールで、お洒落もメイクもせずに、すぐさま家を飛び出し、気がつけばグランドホテル503号室の前にいた。
インターホンを押す前にようやく、ゆうとは初対面だという事を思い出した。初対面の感動シーンは大体想像できた。お互い初めて会う気がしないと言い、何の違和感もなく、ゆうの話を聴いている自分を想像した。
私は一呼吸して、ゆっくりとインターホンを押した。インターホンを押した瞬間、親友を心配して駆けつけた、というより、禁断の恋人に会いにきたといったときめきを感じた。
今度は私がゆうを支えたいと思った。私はゆうをリアルな親友として守ってあげたい。全てを受け入れたいと思った。
ゆっくりとドアが開いた。
ゆう「さつき、来てくれてありがとう。会いたかった。さつきは私の想像通りだね。さつきは驚いた?私の秘密」
さつき「ゆ、ゆうさんですか?」
ドアを開け立っていたのは、私の想像していたゆうとは違い、骨格のしっかりした男だった。その時私は、ゆうとは半年間、メールでしか会話した事がないのを思い出した。
ゆう「やっぱり驚いた?さつきなら気づいているかと思った。これからは、ありのままの私で生きていく。あいつと離婚して、さつきとリア友として生きていく。」
さつき「離婚するって奥さんと?」
ゆう「当たり前でしょう。立ち話も何だから、さぁ、部屋に入って」
その時、私はようやく状況を理解した。
多様性を否定するわけではない。ゆうが女性だと思い込んでいただけで、ゆうには変わりない。私を理解してくれた人には変わりない。
男女の親友は成り立たないと思っているが、多様性なら受け入れられる。
部屋に入って、とりあえず今日は話を聞けばいい。犯罪を起こすような、危険な人間ではない事を私が一番良く知っている。少しばかりの違和感を覚えながら部屋に入る決意をした。
さつき「ありがとう。ゆうの話し聴かせて」
私は平然を装いながら、部屋の中に入りドアを閉めた。
部屋に入った途端、ゆうから送られてきたメールの内容が頭を過った...。
「あいつが私の秘密を会社にバラすって言ったから殴ってやった...」
待てよ、ゆうは妻を殴ったという事か?
先ほどの違和感が何か?悟った時にはドアは完全に閉まっていた。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる