夏色リフレクション

劇団バスターズ

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7月27日

7月27日

何かを変えたい。

そうした欲求を持つ人間は多いだろう。

俺の17年の人生ですらそう思うのだ、大人たちはもっと思っているだろう。


「当フェリーは、後10分程で才羽島(さいばじま)へ到着いたします。繰り返します、当フェリーは--------」


本土からフェリーに揺られて20分ほどで、俺の目的地の島が見えてくる。

「……。」

出航してすぐ、俺は甲板へ出て景色を見るでもなく、ぼーっと手すりにつかまり海を見ていた。

(…ここに来て、何かを変えられるのだろうか。)

そんなことばかり考えてしまう。

(「君の才能には素晴らしいものがあるが、その状態ではここにはおいておけない。…すまないが、それが学校側の判断だ。」)

(「ちゃんと直して戻ってくるんだろ!?なら、なんでそんなもの持ってるんだよ!?」)

「……。」

やめだ、今は思い返すのはやめよう。

(せっかくの心機一転、新しい場所でやり直せるんだ。)

過去は忘れて、とにかく俺は生まれ変わったと思うんだ。
そう自分に思い込ませるように、ぎゅっと目をつむり悪い考えを振り払おうと頭を振る。
その様子をおかしく思ったのか、1人のおじいさんが話しかけてきた。

「ぼうず、何をやっているんだ。そんなところで頭を振り回して」

色黒でガタイの良い、まさに海の男という感じのおじいさんだ。
見た感じ70代ぐらいのように思うが、俺よりはるかにガタイが良いので、実際はもっと年を取っているのではないかとさえ思える。

「あ、いえ……何でもないです。…ちょっと悩んでいて。」

苦笑しつつ返事をする。言ったところで、という考えが頭にあったからだ。
しかしおじいさんは

「何が何でもないだ、悩んでいるんじゃないか。わしに言ってみ」

「あ…いえ、お構いなく…」

こういう人って苦手だ。
言っても「どうせそんなこと」と一喝してくるのだ。
だいたい、じーさんに今の若い人間の価値観が分かるわけない。
俺だけじゃなく、今の若い人たちは同じように思っている、そう思い、じーさんには構ってほしくないのでそっぽを向いた。

「……。」

すると、じーさんは何も言わず俺肩と腰を触る。

「ちょ、何ですか…!?」

離れようとするが、じーさんに右腕を強い力で捕まれる。
は、離れられない。

「お前……。手首をけがしているな」

「な…そう、ですけど…」

じーさんの鋭い眼光の先には、俺を右手首。
そうだ。俺は右手首を損傷している。

「…いや、正しくは『していた』、か」

「……」

「お前、もう治っているだろうに、なぜけがをしている風に振る舞う?」

(まだ…治っていない…)

そう、まだ治っていないんだ、でなければ、未だに力が戻らない説明ができない。

「そうか…」

じーさんは何かに気づいた。
俺を憐れむような眼で見ているようにも、何かそれ以上のものを見ているようでもあるように感じる。

「ぼうず、わしは清水という。お前の目的の島で医者をやっている。…気が向いたら来い」

そう言うと、じーさん…清水さんは名刺を俺に渡し、船内へ戻った。

(清水…)

じーさん、俺のけがを見抜いていたな。
気が向いたら行こう、そう思った。

-ピンポンパンポーン-

『間もなく、才羽島へ到着いたします。繰り返します、間もなく--------』

(行こう…)

俺も船内へ戻った。
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