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8月9日 悪霊調査3

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「知らん」

次の日、山﨑探偵事務所を訪れた。普通なら、事前にアポをとって行くんだろうが、この探偵事務所は基本、仕事がない。その為、急に訪ねても基本所長はいつも居た。
今日も突然来たが、相変わらず新聞を読みながら、こちらを見ずに会話していた。

「そうっすよねぇ…」

やはり元刑事とはいえ、知らないこともあるだろう。それに所長が警察を辞めて、何十年と逹つらしい。

「まあ、こうゆうことはあまり言っちゃいけないのかも知れないが、単に『行方不明』ってだけじゃ、警察はなかなか動かんよ。しかも未成年のガキとかじゃなくて、大人なら余計な…」

やはりそうなのか。世の中、事件は何万何千とある。成人の行方不明は、きちんとした事件性がなければ、動かないということだろう。家出という可能性もある。
駅前で必死に行方不明の人の家族だろう人が、いなくなった家族のチラシ配りをしている姿を見たことがある。それは、警察が動いていれば、そんなことはしないで済むだろうが…どうしても優先しなければいけないものがある。
だから、警察を責めたりはできない。警察も、必死に事件解決に取り組んでいるんだから。

「俺のもとにも、そうゆう依頼は来るよ。一応探偵だからな」

そうゆうと、新聞を畳んでお湯を沸かしていた。

「ジュースはねえが、お茶でもいいか?」

「はい」

マグマップに茶葉を入れる。来客用のものだろう。俺なんかに出さなくてもと思う。

「俺の方でも、断るようにしている」

「そうなん…ですか?」

意外なように思う。所長ならば、引き受けてそうなのに…。

「この町での失踪事件は、何かが妙だな…。探しても見つからないのがはっきりしている」

所長は、寂しそうにそういったように見えた。

「でも…」

と思った。では愛未は?そんなことを思っていたのを察したのか。

「お前の妹さんは、はっきりとした『足跡』があった。足跡って言っても、地面についてるやつじゃなくて、行方不明になるまでの状況を知ることができた」

所長は続けて、それだけじゃなくと言った

「『お前の妹さんのときは、何かが違ったんだ』。それが、何なのかは分からねえが、こう…本質が、違うと思うんだ」

それはつまり、と所長に聞く。所長も、雲をつかむ感覚なんだが、と言い。

「まあ、俺が言いたいのはな…」

カップを二つ、こちらへ持ちってくる。対面式のソファーの反対側に座りながら

「おそらく、この大量失踪事件は、『二つの、それぞれ異なった本質の事件が原因』なんだ、と俺は思う」

ま、これはカンなんだがな、とも付け足した。
だが、年老いた、初老はとっくに過ぎた、普段俺に接する所長ではなく、真剣な元刑事としてなのか、ぎらついた眼差しでそう言っていた。

「二つの異なった本質…ですか?」

言ってることが、俺には分からなかった。ただでさえこの失踪事件には、不明な点が多い。

「ふうむ…」

所長は考え込むように、顎をなぞる。

「光一よ…お前、それを知ってどうする?」

「え…いや、何となく。まあ…好奇心というやつですかね…」

俺がそういうと、所長は再び、考えてから話し出す。

「なら…これ以上話すのはよそう。別に、お前が俺のクライアント(依頼者)でもないわけだからな」

それもその通りだった。例え家族でも、探偵業の話はしないのがルールだ。と語っていたことがあった。

「それに…あんまりこういう事には関わってほしくない、と俺は思うよ」

そんなものは大人のおっさんに任せて、学生は勉学に励めと言った。
確かに俺のような学生が、好奇心だけで調査するのは、不謹慎なのだろうと納得した。

「ま、茶飲んだら帰りな。今日はこれから行くところがあってな」

「へえ、仕事ですか」

「まあな…」

歯切れが悪そうにそう言った。聞いても教えてくれなさそうなので、今日は退散しようと思った。
所長と一緒に、事務所を出る。今日は雨が降っていた。傘を差し別れ際にもう一度言われた。

「いいか光一、あまりこういう事には関わるなよ…」

その言葉の後に、何か言ったように聞こえたが、雨の音で良く聞こえなかった。
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