怖い理由

ショー・ケン

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怖い理由

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Aという男性が高校生の頃の話。

Aには、Bという素行の悪い不良仲間がいた。Bは昔はカリスマでサッカー部のエースだったが、足を怪我していこう、素行の悪さがめだった。Aは、カリスマだったBに憧れをいだいていた万年補欠だったので、その彼を哀れに思い付き合いはじめるとどんどん素行が悪くなっていった。

二人とも成績が悪いわけではなかったが、ただ裏での評判がひどく悪かった。特にBは、たかり、ゆすり、万引き、なんでもやったが、親が地元の議員という事もあり、やりたい放題やっていた。

あるときAはBに心霊スポットに誘われた。本当は嫌だし怖かったが、言う事を聞かないと何があるかわからない。すでに、その頃になるとBはいう事を聞かない人間に暴行を加えたり、さらに悪いとナイフをちらつかせて脅すこともあった。

その夜、AとBはある廃墟にきた。ラブホテルあとで、少なくともここで3名がなくなっている。そのうちの一人に、Aは心当たりがあった。

「どうしたんだよ、A」
 入口で、先導し、Aが震えていることにきづいて茶化すB
「おしっこもらしたのか」
「ばかをいうな!!」
 Aは彼の肩をおすととずかずかと中にはいっていった。

 室内はぼろぼろだ。放火事件もありくちていて、何もない。だがある2階のある一室で、突然Bが奇声をあげた。
「うおおおおう、いいねえ」
 ふと、Aはそちらに合流する。
「あ……あ」
 Aは、体の震えがとまらなくなった。
「これは、何につかわれたんだろうなあ?」 
 茶化すB

 そこにあったのはロープ、首をくくるように輪っかができている。
「おえええ!!」
 突然吐しゃ物を吐き出すA
「お、おい、お前どうしたんだ?」
 Aは実は、ここでなくなった青年に心あたりがあった。ここでなくなった青年をいじめていたのだ。ぷるぷると震えているのがわかる。自分はいじめとは思っていなかったが後から考えれば、あれはいじめと思われても仕方がない。下手にばかにしたり、見下したり、からかったり、絡みやすくてつい絡みすぎてしまったから。
「そうだったのか」
 そのことを話すと、Bは少し穏やかになった。そして、ちょっとそこでやすんでろ。といわれたのでその部屋の入り口で後ろをむいてやすんでいた。

《ゴトン》
 背後からすごい音がして、ふりかえる。そこでは椅子の上にのって縄にてをかけて遊んでいるBがいた。
「何やってるんだよ」
「何って、わるふざけしているだけだろ」
「お前、ここで人がなくなってるんだぞ、そのまねなんて」
「ああ?お前、俺に口答えするのか?」
 折り畳みナイフをとりだすB。Aはたじろいだ。
「い、いや……」
「な、なんだよ、いってみろよ」
「だから……その、まずいだろって」
「はあ?」
「いじめを苦にして自殺した奴なんだよ、俺も関係していた」
「ふん、そんな事か」
「そんな事って」
「俺だって、ここで死んだ奴の死に関係していたぜ、一人じゃねえ、二人だ、一人はお前もしらねえ他校の生徒だが、一人、お前のいってるやつだったら俺が十分いびってやった、両方とも俺が金をたかったり、殴っていたぶってあそんでやったのに、今じゃ遊びがいがねえ、だからこうしてわざわざ心霊スポットにでむいてやったんだ」
「ひでえ」
「あ?」
「俺は、後悔しているのに、お前みたいなやつがいるんじゃうかばれねえ」
「く……」
 Bは、ナイフをふりまわした。
「うるせえええええ!!!」
 どさっと転ぶA。
「あわれな事なんてものは、この世にたくさんある!!あれ以来教師も、親も、俺を雑に扱うようになりやがった!!あんなに、あんなにもてはやされていたのに!!」
 AはBのその首根っこをつかんで、例の椅子のところにむかっていった。そしてAをそこに立たせると命令した。
「縄を掴め」
「は?」
「つかめって、俺の背後にやくざがいるのをしっているだろう、言う通りにしねえともっと悲惨な死に方するぞ」
 Bの顔を見やる、頭に血がのぼってまるで別人のようになっている。こうなったBは、もうだれにもとめられない。教師や警察でもいない限り、残虐の限りをつくすのだ。
「……」
 Aはあきらめた、ここで死ぬのも運命かとおもった。それよりも、後悔の方が強い。自分のせいで死に追いやって、かつここまで侮辱する人間と絡んでいたこと、不良になったこと、もともといじめていた彼とは、小学生の頃からの縁で昔は仲の良かったことを思い出すと自分が大きく道を誤った事を後悔した。
 ふと、目の前に眼鏡をかけた、真面目そうなさっぱりした髪型のその青年があらわれた気がした。
「すまねえ、これで詫びる……」
「ギャハハハ!!!」
 笑うB。だがふいにその足首が何者かにつかまれた気がした。
「うわっ……」
 だが何もなかったことにきづき、前を向き直る。と、手元にあったナイフがどこかにいったようで、みあたらない。
「お前、俺のナイフどこやったんだよ」
「しらねえ、俺はずっとこうしてた」
「ち……しかたねえ、お前、いつまでそうしてるつもりだ、俺がおしてやろうか、いやまて、ナイフがなきゃお前が首をつる“遊びをしたとき”」
「いや、いい、俺はしぬ」
「くく、そりゃいい」
 背後から笑い声をききながら、輪っかにてをのばす、それを首にかけようとしたとき。
“ドン!!”
 後ろから何かにおされた。
“ドサッ”
 静寂が訪れた。目の前が真っ暗だ。これが死ぬという事か、そう考えていると、悲しくなってきた。
(すまない、お前もこんな孤独で辛かったんだな、俺がいじめたから、すまない、反省してしぬよ)
 ふと、目の前をじっくりとみる、何かが異様だ、四肢に感覚があるし目の前にあるものが何より異様だ。
「学生服?」
 見上げると、そこには、腐敗した姿のあの青年がいた。自分は廃墟の地面におり青年は自分の後ろをゆびさしている。
「ヒ、ヒイィ!!」
 うしろをふりかえる。振り返ると、そこには、後ろをみておびえているような格好で首をくくっている状態の、Bがいた。その足には、奇妙にもナイフがつきささっていた。

「まあ、自殺という事だろう」
 刑事がある一室で取り調べをして、その後にAに告げた。
「あいつにはさんざん困らされた、やくざをちらつかせてやりたい放題していたところだが、やくざの仲間なんていねえ、まあ、どうせ碌な人生をあゆまんかったやろう、だがお前さんは……どうなんだ」
「今度の事で心をいれかえました……いえ……変わりたいとおもっています」
「そうだろうなあ……お前は犯罪者の目はしていない、ひどく後悔があるようだ……」
「あそこで亡くなった青年……Cはきっと俺のせいで……死んだんです、あいつの遺書には俺への恨みがあったとか」
「??お前さん、親御さんから詳しくきいてないのか」
「怖くて葬式にもいけず」
「確かに彼は恨みを書いていたが、それは、お前がAなんて奴と関わってしまったことと昔はまじめだったのに、不良になって自分が助けられなかったってことだけだったさ、お前さんのいじりだかなんだかを奴はいじめだとは思っていなかったようだよ、まあそれは、人によるだろうが……そんだけお前さん、人の気持ちに敏感なら、心をいれかえりゃうまくいくだろうよ、Cくんのためにもこれからは、うまくいきろ」

それからAは心を入れ替えて、今は普通の社会人、サラリーマンとして、バリバリ働いているそうだ。この道に戻してきたCに感謝をし、墓参りもかかさないようだ。
 
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