裁かれ慣れ

ショー・ケン

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裁かれ慣れ

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「なぜだろう、皆私のことを、都合のいいはけ口にしていないだろうか、夢はある、希望も意思もある、なのに……私はそれらに騙されてばかりだ、いつも私にはメンターが現れる、私にとっては誰もが尊敬すべきものを持つから」

 私は誰だ。私は嘘をつかれ裏切られた。自分が男だったか、女だったかわからない。薬か、自傷行為か、それとも付き合った相手に依存しすぎたか。とにかく私は、裏切られ、嘘をつかれる。プライベートでも。理不尽は絶頂の時か、絶不調の時にやってくる。そして涼しい顔をしてこういうのだ。
「お前と約束などしていない」

 私は誰だ。メンターは、嘘をついていた。どうすればいい、ああすればいい、こういう考え方にしろ、とまではいうがそれがうまくいったためしなどない。彼らは他者で安全の実験をしているのだ。誰にも未来の事はわからない。ある時から、他人もそうだと思い始めた。自分に都合のいいしぐさをもとめ、そうでなければ批判をするだけ。だから私は、相手にあう人間になりきってきたのだが……。メンターはいうのだ。
「他者に見返りを求めてはいけない」
 殴られても、批判されても、侮辱されてもどうでもいい。私は彼にストレスの耐性の強さを見込まれたというのに。私も自信があった。だからこの仕事をしていた。仕事??

 鏡がわれる、私が棒状のものでそれを殴りつけたからだ。前髪が長髪気味の茶髪の眼鏡をかけた青年の姿が映る。椅子を振り回している。ああよかった思ったよりわ若い、それに男だ。力も強い自分を守れる。そのはずなのに。私は様々な依存先があった。家庭、仲間、友人、恋人。そのすべてから同時期に裏切りを受けた。私がストレスをためたことも一因だが、“優しくない私”が少しでたくらいで、周囲はすべて私を見放した。
人は私に過剰な負担をかけ、期待をかけるくせに、私がそれに応えなかったり、少しでもそれたことをすれば、逆に悲惨な仕打ちをする。

私は手紙の束をみた。その中のいくつかに、私への中傷がかかれている。私がメンターをもったように、彼らにとって私はメンター。人生の選択肢、悩みの相談、自己の追求。その中で、私を責めるものがいる。
「おまえの言う通りにやったのに」
「話が違うじゃないか」
私は納得させる仕事をしたまでだ。私はただのカウンセラーだ。

プライベートでも私は同じだ。誰かの仲や関係を取り持つことに利用され、かつ、そうでなければ私の存在は必要ないというほどの仕打ちを受ける。私が無味無臭だからだろうか。

だが私が納得できないのは他人の人生にアドバイスをしつつ救う事も出来ない自分自身だ。様々な手紙が来る。ほめる手紙も来る、だが時にそれは、成功例に対する報酬であり、私を必要とした結果ではない、この仕事には完璧がないことをしりながら、小さな失敗が気になる。けれど私にも言いたいことがある。
「お前たち皆、私を必要として置きながら、ゴミのように私を見下し、異常な期待をよせているじゃないか、仲良くない人間たちの仲を空気を壊さず無理やりつなげろと命令したり」
恐ろしいことだ、私は一刻も早くこの仕事をやめなければ、私は他人に依存している。
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