顔色

ショー・ケン

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顔色を見る人

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 あるところに、人の顔色をうかがうのが何より得意な少女がいた。しかし、少女は、そのことを奇妙に思っていた。そしてどこかで、気味悪くおもっていたのだ。なぜなら少女は、顔色を窺い、かつ人の気持ちを知る能力が特段に、異常にすぐれていたため、100発百中の精度に、自分で引いていた。

 社会人になったある時に友人と、駅前にある占いに試しで入った時にこんなことをいわれた。
「あなたは、優れた精霊に守られているわ、神仏に何かいいことをしたのでは?」
 たしかにまだ少女だったころ、実家が神社だったので幼いころから掃除を毎日やってお供え物をしていたが、それだけでは信頼に足りぬと思って、彼女は質問を返した。
「もうひとつ、私の能力には特徴があります」
「ええ、本当に“色”が見えるという事ですね?」
「すごい!!」
 彼女も驚き、友人も一緒になって驚いた。だがそれだけの事だった。そのような占いには飽きていたし、占い師は自分でこういっていた。
「私には、払う力はありません」

 ある時、そこそこの年齢になってからその女性は男と別れた。男は年齢を理由にした、わけではなく、女性にこういったのだ。
「君はひとの顔色を窺ってばかりだ、自分を持たないので、俺は君にどうすればいいかわからなくなることがある」
 そのことがトラウマとなり、他の男と関わりを持つことさえこわくなった。そればかりではなく人の顔色をうかがう、気持ちを量ることが嫌になってきたのだ。待ちゆく人々が色とりどりな表情をしているのが嫌になる。どうせこの人たちも自分の気持ちを覗かれると不気味に思って私を嫌うのだ……。

 女はひどく落ち込んで、親にも相談していたので、親もあるとき、知人から教えてもらったという立派な霊媒師を紹介してくれた。それは彼女の地元の霊媒師だという。
 霊媒師の所へいく彼女、巨大なお屋敷の中に彼女がいた、その離れに案内される、その場所はまるで神社仏閣のように厳かな、しかし小さな離れだった。

「あなたには霊魂がついています、精霊に近いものだ、そしてどんな人にも小さな霊魂はとりつくもの、いわゆる守護霊のようなものです、あなたはあなたの中の霊にその霊の声を聴かせてもらっているのです」
「なるほど、そうだったのか」
 彼女はおもった、件の霊媒師は、だから払えないといっていたのか。
「だがあなたの中の霊は邪悪なものともいえる、なぜなら、あまりに力がつよすぎる
、心配しないで、必ず、私がそれを払ったあとに、新しい霊魂をいれるから」
「どうして?」
「……どうして?気づいているでしょう、あなたがそもそも、神仏にお願いしたためにその能力が授かったのですよ」

 彼女は少女時代の事を思い出していた。たしかに小学校低学年の頃友たちができず、友達の気持ちをわかることができず、いつも人形を抱えて人形にはなしかけていたこと、放課後は人形を神社にもちこんでいた、そしてあるとき、人形にこうお願いしたのだ。
「人の気持ちがわかる大人になれますように」
 それから徐々に、少女は人の気持ちが“色”で見えるようになったのだった。だが同時に思い出した。そのとき人形が何か喋ったような……。人形がしゃべる、それだけで何と恐ろしい絵ずらだろう。

 霊媒師は続ける。
「さて、どうしますか?あなたの中の霊を払いますか?あなたが邪悪だと思うのなら、確かに邪悪です」
「ええ、お願いします」
 除霊が始まると少女は、人形の事をおもいだした。しかし目を開けるなといわれているので、その映像は脳裏にひどくやきついた。人形の霊はしゃべっていた。
「私はいい霊……あなたを……守る」
 除霊は成功、いとも簡単に彼女は“能力”をうしなった。


 彼女が帰り際、彼女に見えないように霊媒師は笑った。
「よし、これであの小娘の命をつけねらえるわ、あのこにははいい精霊がついていてこまっておったのじゃ、あの神社は昔から私の仕事に邪魔ばかりしていたからな、それに、私の“親”はあの神社で除霊されて“消滅”した、そもそも立地が、悪さをするのにじゃまなのだ、彼女にとりついて、親に壊させよう」

 振り返ると、あのとき人形が彼女に言った言葉は、なんだったのか、彼女はずいぶんたって取り返しがつかなくなってから思い出した。あの時人形はこういったのだ。
「私は、神に使える好い精霊、あなたにとりついて、あなたを守るわ、人の中にある〝精霊〟を見えるようにするわ、だれにでも“精霊”はとりつくものだから……そうすればあなたは人の気持ちを見抜くことができるようになる、でも注意してね精霊ではなく悪い精霊や“悪霊”は見抜くことができないから」
彼女にはみえなかったのだ、霊媒師に上位の悪霊がついていたことが……。

 そして彼女は邪悪な霊魂をいれられ、数年後神社を取り壊した後、両親をなくしたという。
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