飽き性な多様性

ショー・ケン

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飽き性な多様性

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ある小さな国で多様性が議論になった。近頃ではAIやアンドロイドなどが国を超えた協力で普及しているので、それを利用して、いままで光があたってこなかった人間に光を当てようという事になったのだ。

その国は飽き性で怠け者が多いので、すぐにアンドロイドたちが工夫した。なんと、アンドロイドを国中で共有してつかい、あきないようにルーティンで使いまわす。その時主流のは家政婦型アンドロイドだが、同じ家政婦であろうと、様々なタイプがいる。老人、若い人、真面目な人、料理のうまい人、掃除のうまい人。
 飽き性の人々は徐々に活気を取り戻し、発展途上にあった国の環境は徐々によくなっていった。人々は多様性を叫ぶ先進国の仲間入りをはたした、しかし、飽き性の人の中にさらに変わった人々がいた。

 もともと飽き性ではない人たちだ。その人にもいろいろなタイプがあり、忘れっぽい人もいれば、空気を読む人もいるし、飽きない工夫をする人々もいた。特に忘れっぽい人は、先進国から入ってくる情報をアンドロイドから入手し自分の内面、倫理観や多様性に関するをアップデートしにかかるが、しかし、次の段階では、一体自分の何がまずかったのかを忘れてしまう。そして改善、記憶すべきことを忘れたうちに、次の家政婦がやってきて、その個性を強要してくるのだった。

だが飽き性が大半の国、その国の、有識者を集めた重要な集まりでこういって、会議をとじた。
「まあ、当面の目標は解決したのだ、多少取り残される人がでても、別にかまわないだろう」
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