ある成功者

ショー・ケン

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ある成功者

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 あるテレビ番組収録スタジオ。
「でもすごいですよねえ」
とADのSさん。
「何が」
と先輩のDさんが答えた。

「だって、彼を看板にしたこの占い番組だって長寿ですし、彼のそだてた霊媒師が除霊をするコーナーも人気で、もともとアイドルプロデューサーっていうのが霊媒師で成功、かつそのつてをいかして元アイドルやアイドル候補生を霊媒師にするなんて、人を育てる天才ですね」
「まあ、確かに”外からみれば”あの人は完璧に見えるだろうなあ、二つの業種で大成功してんだから」
「外からって……」
「ああ、家ではだらだらして、奥さんと別居、子供にも嫌われているらしい」
 Sさんはクククと笑った。


先輩のDさんが言葉を返す。
「でもさあ、すごいってよくいうね、ついこの前じゃないか、あんな事件がおきたの」
「ああ、そうですね」
あんな事件というのはその名プロデューサーが、2年前にアイドルプロデュース業を引退せざるを得なくなった事件だ。
「遺族には恨まれているだろうなあ、復帰には驚いたよ、またニコニコしてテレビにでてきて”もともと霊感があったんです、私の先祖が私の行いを悔いて改めるようにといわれた”なんていって復帰を果たすんだからなあ」
「そこですよ、でも心配もいらないじゃないですか、もし呪われたとしても、あれほどの力があれば跳ね返せるじゃないですか」
 Dさんは目を丸めて、数秒沈黙すると、急に腹を抱えてわらった。
「ははは!!お前マジで信じているのか!」
「え?」
「あんなのインチキだよ、インチキ、大体あのプロデューサーが実際に除霊や占いをした人なんて見たやつはいない、そもそも口コミで広がったが、まずその口コミをひろげたのは、テレビや音楽業界の大御所、彼らに金を渡して、いわゆる嘘をながさせたのさ、そして、プロデュースしたそこそこ美人なアイドルやアイドル候補生をつかって、霊媒師にしたてあげる、霊媒をやっているのはテレビだけだ、彼女らを”弟子”としてふれこみ、占いがあたると宣伝する、噂なんて不確かなものだし、それに失敗したところで”弟子”の失敗、かつ"美人の失敗"、アイドルファンのように、彼のプロデュースした"占い師"が好きな奴は、何があっても笑って許すさ」

 Sさんはいった。
「よくご存じですねえ」
「そりゃそうだ、あの人俺の叔父だもん、まあ俺になんの愛想もないし、家とも疎遠だから、別になんの愛着もないけどねえ、じじいの葬儀にもこねえクズさ」
 それからしばらくしてSさんが仕事に来なくなった。そこそこ仲のいい間柄で気に入っていたが、この業界ではよくあることだろうと思ってDさんは放置していた。

その数か月後、件のプロデューサーは突然死をした。Dさんは、忙しい最中にニュースでそれをみて驚いた。だが驚きはそれだけにすまなかった。
 業界で"過労死した女性アイドルの親族が呪い殺した"と噂がたったのだ。
「その話詳しく聞かせてくれませんか」
 とDさんは、ちょうど話をしていた番組ディレクターに尋ねる。彼はDの立場を考え、渋っていたのだが、Dが叔父とは疎遠だし、死に関して何の感情もないとしつこく聞くので答えた。
「お前の後輩にSというのがいたじゃないか、彼がその亡くなったアイドルの妹だったようだよ、偽名をしてまで、下調べをしていたんだねえ、そして彼女の家系はどうやら、呪術に詳しい家系だったそうだ」
 
 Dさんは思った。
「そうか、Sは呪いが防がれるかどうか、下調べをしていたのか……どの業界でいっても成功するやつもいるが、金は稼げても専門家に勝てないモノもあるんだろうなあ」
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