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呪い返し
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ある人間Bを恨み、嫉妬している男A。それもそのはず。彼はゴーストライターであり、その男に自分の未来を潰されたも当然だからだ。本来自分の作品として発表するはずだったものが、騙され、なあなあにされ、彼の作品とされ、爆発的ヒットを記録した。しかし、印税はほとんど入ってこなかった。
彼のくだらない原案をほとんどすべて書き直し、手直ししたのは自分だったのに。彼には、様々な呪いをかけたし、邪悪な幽霊を彼のところにけしかけたりした。それでも彼はピンピンとしており、近頃では自分に呪いをかけているらしく、体調が悪い。しかし、あの男、どういうつもりだ。自分に作品を書かせておきながら、ありとあらゆる手で自分の創作物が世に出ることを邪魔してくる。
マルチタレントだか、兼業作家タレントだか自称しているが、ろくなものではない、今に痛い目に見せてやる、といって、彼はある呪術師の元を訪れた。そして“呪いかえし”の術を教わり、実行したのだ。動物の血で風呂敷大の紙に文様と文字をかき、その上で、己を呪うものに呪いを返す文言をとなえる。その祈りは一昼夜続いた。
ふと、胸元に熱さを感じる。これが呪いを返している合図だという。自分の中の悪いものを熱に変換して解き放つのだと、しばらくして熱さは静かになった、そしてつけっぱなしのテレビからニュースが流れる。
「マルチタレントBが突然倒れ……」
やった!!とガッツポーズをする。これで報われる。自分の作家人生。ふと、Bと初めてあったときの事を思い出した。デビューしたばかりだが、大作を一つ書き上げたばかりだった自分に、小説の事を一からおしえてくれというので優しくおしえた。そして自分の事も話したっけ。
「俺は、名誉や金が目的なんかじゃない、人の役に立てればいいんだ」
ふ、その思いは今も変わらない、だが、利用されるのはいいものじゃない。それに、人生のつらさも知らない小僧に。何がわかる。俺がどれほど苦労して、最難関の高校や大学を出て、小説をかきあげているのかを。
ふと、目が覚めた。いつのまにか酒をのんで泥酔していたようでねむっていた。そこでニュースが流れる。
「Bが奇跡的に回復しました」
そのニュースに、彼の信頼する、あの呪術師の映像がうつっていた。Bの隣で手を振って笑っている。
「どういうことだ!!そちら側についたのか!!いったいなぜ!!」
すぐに胸元を熱い痛みがつらぬいた、呼吸が苦しい、血が止まっているような感覚があり、寒気が全身を襲う。息ができない。
「くっ……」
その言葉が、Aの吐いた最後の言葉だった。
Bは、病院から自宅に戻る最中、件の呪術師に語りかける。
「いいのですか?本当に、彼はあなたに相当な金額をだしていたのでしょう」
「いえいえ、あなたほどではありません、もともと父親の借金をかかえていたあなたは、中学、高校と苦労して働かれ、整形したり、人気になる術を身に着けたり、そして人から好かれる才能をえた、何より、借金をしてまで、私に多額の報酬を払ってくれた」
「まさか……、先払いしていた“彼から守ってくれ”という契約がきいたとは、それにこんなに早く呪いを返せるのですね、呪い返し返しですか」
「ええ、まあ、そもそも、彼には呪い返しなどしていませんから、一度もね」
「え?そうなんですか」
「ええ、彼の不調はそもそも、彼に帰ってきた生霊のせいです」
「は!生霊返しですか」
「そう、生霊は返しましたよ、でも、それだけです、彼は生霊が帰ってきたのを呪いをかけられたと考えた、その時点で私や呪術師の匂いを感じてはいたのでしょうが、私を信じすぎましたね、誰も彼をのろっていないのですから、呪い返しをしたら、そう、彼に呪いが帰ってくるのです」
くくく、と笑う呪術師、ひきつるB、やがて窓の外から夜の景色をみて、
「でも、人が死んだのはつらいなあ」
と落ち込むBに、呪術師はいった。
「まあ、人生のつらさもしらない小僧には、お金の駆け引きの世界の残酷さがわからないという事です」
彼のくだらない原案をほとんどすべて書き直し、手直ししたのは自分だったのに。彼には、様々な呪いをかけたし、邪悪な幽霊を彼のところにけしかけたりした。それでも彼はピンピンとしており、近頃では自分に呪いをかけているらしく、体調が悪い。しかし、あの男、どういうつもりだ。自分に作品を書かせておきながら、ありとあらゆる手で自分の創作物が世に出ることを邪魔してくる。
マルチタレントだか、兼業作家タレントだか自称しているが、ろくなものではない、今に痛い目に見せてやる、といって、彼はある呪術師の元を訪れた。そして“呪いかえし”の術を教わり、実行したのだ。動物の血で風呂敷大の紙に文様と文字をかき、その上で、己を呪うものに呪いを返す文言をとなえる。その祈りは一昼夜続いた。
ふと、胸元に熱さを感じる。これが呪いを返している合図だという。自分の中の悪いものを熱に変換して解き放つのだと、しばらくして熱さは静かになった、そしてつけっぱなしのテレビからニュースが流れる。
「マルチタレントBが突然倒れ……」
やった!!とガッツポーズをする。これで報われる。自分の作家人生。ふと、Bと初めてあったときの事を思い出した。デビューしたばかりだが、大作を一つ書き上げたばかりだった自分に、小説の事を一からおしえてくれというので優しくおしえた。そして自分の事も話したっけ。
「俺は、名誉や金が目的なんかじゃない、人の役に立てればいいんだ」
ふ、その思いは今も変わらない、だが、利用されるのはいいものじゃない。それに、人生のつらさも知らない小僧に。何がわかる。俺がどれほど苦労して、最難関の高校や大学を出て、小説をかきあげているのかを。
ふと、目が覚めた。いつのまにか酒をのんで泥酔していたようでねむっていた。そこでニュースが流れる。
「Bが奇跡的に回復しました」
そのニュースに、彼の信頼する、あの呪術師の映像がうつっていた。Bの隣で手を振って笑っている。
「どういうことだ!!そちら側についたのか!!いったいなぜ!!」
すぐに胸元を熱い痛みがつらぬいた、呼吸が苦しい、血が止まっているような感覚があり、寒気が全身を襲う。息ができない。
「くっ……」
その言葉が、Aの吐いた最後の言葉だった。
Bは、病院から自宅に戻る最中、件の呪術師に語りかける。
「いいのですか?本当に、彼はあなたに相当な金額をだしていたのでしょう」
「いえいえ、あなたほどではありません、もともと父親の借金をかかえていたあなたは、中学、高校と苦労して働かれ、整形したり、人気になる術を身に着けたり、そして人から好かれる才能をえた、何より、借金をしてまで、私に多額の報酬を払ってくれた」
「まさか……、先払いしていた“彼から守ってくれ”という契約がきいたとは、それにこんなに早く呪いを返せるのですね、呪い返し返しですか」
「ええ、まあ、そもそも、彼には呪い返しなどしていませんから、一度もね」
「え?そうなんですか」
「ええ、彼の不調はそもそも、彼に帰ってきた生霊のせいです」
「は!生霊返しですか」
「そう、生霊は返しましたよ、でも、それだけです、彼は生霊が帰ってきたのを呪いをかけられたと考えた、その時点で私や呪術師の匂いを感じてはいたのでしょうが、私を信じすぎましたね、誰も彼をのろっていないのですから、呪い返しをしたら、そう、彼に呪いが帰ってくるのです」
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「でも、人が死んだのはつらいなあ」
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