罪の果実

ショー・ケン

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罪の果実

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 ある大富豪A、人とうまく接したいが、生まれながらのコミュニケーション下手。生まれながらに善意を疑われる体質があった。いくつか慈善事業を試みるも、どれもうまくいかず。誰も彼を信用しない。特段問題を起こしたわけでもなく嫌われてしまうのだ。
「私は、前世に何か悪いことをした悪人なのだろうか、正しいことをしても、評判が悪い……もういっそのこと……」

 ある時彼の住む邸宅の近所で謎の果実が道端に落ちているのが発見される。見た目がごつごつとげとげしている。黒い果実で、どれも包装されてはいるが、誰も手に取ろうとしなかった。がある動画配信者の男がそれに勇気をもって近づくと、何とも甘いいい香り、いくつかの毒を見る手段で調べても問題がないようで、男はそれを口にした。
“ウ、ウマイ!!”
 むしゃむしゃと食う。しかし翌日から、彼の様子は少し異常だった。やけに活気にあふれ、勢いが強く、あげくの果てにその勢いで怪我をしてしまった。大した怪我ではないが、この果実は奇妙なドラッグであるという仮説がたてられた。

 別の都市伝説系の動画配信者の男。この毒のような果実に“罪の果実”と名前をつけた。これは、富裕層の陰謀だという。子どもをつくらせなくしたり、大病にかかるデメリットがあるのだという。例の大富豪Aはかつては拒絶されはしても善人だったが、変わってしまってその手先になったのだと言いふらす。

 しばらくして、Aがつかまる。奇妙な果実を世にまいていたのはやはりAだったのだ。だが警察は彼の罪状を悩んでいた。その時点で、多くの人間が果実を食しており、大した問題はおきなかったがのだ。それどころか、都市伝説や世間の噂をよそに、その“罪の果実”は人々にいい効果だけをもたらしていく。意欲の向上、生活習慣の改善、能力の開花。

 取調室、警察官が尋ねる。
「あんたはどうして、こんなもの世間にばらまいたんだ?富裕層が、人々にとってメリットのある事ばかりするわけないじゃないか」
 そういわれたAは尋ねる。

「それですよ、その誤解を晴らすというメリットがあるんです、そもそも慈善事業は疑われる、寄付を集めたりすれば、その団体が何割をかすめとったとか、寄贈をすれば、それにはデメリットがあるとか……それは私によくにている……だからもう私は呆れて、いっそのこと“悪意”に見える事から始めようと思いまして……慈善事業そのものが、私の体質と似ていることに哀れみを感じてきたのです、もはや私は最初から、人々に信じられるような“体のいい善意”は持ち合わせていない、悪意と思いきや、善意の行動をしめせば、私の慈善事業が100%の厚意であることが伝わるだろうし、ほかの富裕層や大金持ちも、きっと寄付や寄贈がしやすくなるでしょう、私はこのようにつかまり、罰をうける可能性があるが……“罪の果実”あれはただの……富裕層だけが手に入れられるデメリットのない軽いドラッグです、もっとも、疑うものにはどんなドラッグでも、麻薬や覚せい剤にうつるのでしょうが」

 やがて人々が彼に対する偏見と誤解を取り除き、彼の待遇をよくすると、彼はやはり全くデメリットのない慈善事業を始め、人々もそれに従い、街や暮らしをよくすることに努めたという。
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