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愛の孤島
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男は妻を愛していた。それは、夫婦となってからも同じだった。毎晩のように妻を求め、そして夫は、常に妻に優しく接していた。
だが、妻のほうは冷え切っていた。なぜなら、孤島に隔離されたからだ。いくら愛されているとしても、夫がかなりの資産家であったとしても、そこでの生活はひどく窮屈だ。夫以外の世界を見ることができず、また夫は自分にそぐう存在になれと強要をしてくる。
夫の愛する人間の人物像は、まるで正反対だった。おしとやかで知的で、やさしい。自由人である自分とは正反対に思えた。
けれど、それを演じると夫はひどく喜ぶ。隔離されているという事を覗けば望むものがすべて手に入る。これ以上を望んではいけないような気はしていた。
ただ、そんな中唯一の自由があった。夫の友人であるBが、時折遊びに来ては、夫と自分をダイビングに連れて行ってくれる。もちろん来る日はきまっていて、必ず月の中ごろに来る。もともとBの所有していたこの島だったが、Bが住む場所に悩んでいた夫に紹介し、それで自分たちが住み着くことになったのだ。
ダイビングは楽しかった。限られた自由、美しい自然。そこでは普段何も思わない夫すらいとおしく思えた。だが、徐々にそれは自然の魔法であることと、もう一つの不安要素をはらんでいることに気付いた。Bだ。彼は夫より自由人であり、不思議な魅力に満ちていた。ギャンブラーで女たらしという噂だったが、食うにこまっていないのを見ると、それなりのやりてなのだろう。
あるとき妻は、一人で海辺にいると、Bがボートで島にやってくるのをみた。
「どうしたの?まだ時期じゃないわ」
「い、いえ……旦那さんに少し様子をみてこいと頼まれまして」
一目でウソだとわかった。だが彼が釣り具や様々な遊び道具を持っているのを目にして、わくわくした気持ちが抑えきれなくなり、一緒に夕方まで遊んでいた。夫は仕事で本島とを行き来しており、日中は留守。夜7時に帰宅する。そのギリギリまで遊んでしまい、Bに告げる。
「早く帰りなさい」
「奥さん、どうして……」
「夫は用心深いから、あなたの言ったことがウソだというのはわかっているわ、危険だから早くかえりなさい、それに、また……」
含みがある言い方をすると、その男は納得したようにもどっていった。
夫がかえってきて、釣った魚のことをきかれたが、たまたま流れ着いたものだというと疑いもなく、それを口にして眠ってしまったようだった。
その翌週から、またBとの密会がはじまった。徐々に彼にひかれていき、そして彼のもたらす自由にひかれていった。そしてついに話してしまう。
「私、あなたと一緒になりたいわ」
「え?」
「だめ?」
「いや……それは……」
むつかしいことだとわかっていた。しかし、考えはめぐる。
「別れるにはどうしたらいいか」
「そんなことをしたら、あいつは怒り狂ってしまう、ストーカーになるかもしれない」
「たしかに……」
ふと、微妙な間をおいて、妻はいう。
「殺してみようかしら……」
「え?」
Bはしばらく無言になり、膝をまるめてかおをつっぷすと、ふるふるとふるえていた。
「Bさん?」
「ふっ……」
「大丈夫?」
「ふははははは!!」
Bが笑いはじめ、妻は目を丸くしたが、そのあまりにもばかばかしい発想にそうなってしまったのだとつられて妻もわらった。
「はははは!!」
やがて二人は、ダイビングへ向かう。その用具は、夫がいつも隠しているが、夫の友人であるBはすべてをしりつくしており、倉庫の鍵が隠されている場所をみつけると鍵を盗み出し、ボンベ類を運び出して、海へと潜った。
秘密のダイビングはこれが初めてではなかったが、夫とわかれるにせよ、夫をたくらみにはめるにせよ、本当に殺してしまうにせよ、もう引き返せないほど愛は大きくなったのだ。だから彼らは深く深くもぐっていった。しかし、妻はあることに気付いた。Bの酸素ボンベが、異常をきたしている。そういえばでていく泡が異常に多いとおもっていたが、もはや残りが少なかったのだ。
「ボボボボ!!!!」
彼は慌てている。もはや酸素が残っていないのだ。妻はあわてて自分のボンベを彼にちかづけた。そして彼は呼吸をすると、妻の背中に手を伸ばしてそれをぬきとった。
「え?」
「ボボボオ!!!ボボボ」
聞こえるはずはなかったが、妻にはその言葉がはっきりきこえた・
「あいつめ!!俺まで巻き込むなんて!!!」
妻は、自分の酸素ボンベをとられ、深い海の底へ沈んでいくのだった。
陸へあがっていったB。そして桟橋のそばで立ち上がると、そこには旦那がまっていた。開口一番こう話した。
「お前に依頼して正解だった」
「お前なあ!!なんで俺のボンベに細工をするんだよ」
「ははは!お前は追い詰めないと裏切る可能性があるだろう」
Bは、お前なあ!!といいながら、夫の奥へと目線を送った。夫の背後には、夫の望むおしとやかな黒髪ロング、ワンピースの不倫相手がにこやかに笑みを浮かべ、笑顔をこちらにむけていた。
だが、妻のほうは冷え切っていた。なぜなら、孤島に隔離されたからだ。いくら愛されているとしても、夫がかなりの資産家であったとしても、そこでの生活はひどく窮屈だ。夫以外の世界を見ることができず、また夫は自分にそぐう存在になれと強要をしてくる。
夫の愛する人間の人物像は、まるで正反対だった。おしとやかで知的で、やさしい。自由人である自分とは正反対に思えた。
けれど、それを演じると夫はひどく喜ぶ。隔離されているという事を覗けば望むものがすべて手に入る。これ以上を望んではいけないような気はしていた。
ただ、そんな中唯一の自由があった。夫の友人であるBが、時折遊びに来ては、夫と自分をダイビングに連れて行ってくれる。もちろん来る日はきまっていて、必ず月の中ごろに来る。もともとBの所有していたこの島だったが、Bが住む場所に悩んでいた夫に紹介し、それで自分たちが住み着くことになったのだ。
ダイビングは楽しかった。限られた自由、美しい自然。そこでは普段何も思わない夫すらいとおしく思えた。だが、徐々にそれは自然の魔法であることと、もう一つの不安要素をはらんでいることに気付いた。Bだ。彼は夫より自由人であり、不思議な魅力に満ちていた。ギャンブラーで女たらしという噂だったが、食うにこまっていないのを見ると、それなりのやりてなのだろう。
あるとき妻は、一人で海辺にいると、Bがボートで島にやってくるのをみた。
「どうしたの?まだ時期じゃないわ」
「い、いえ……旦那さんに少し様子をみてこいと頼まれまして」
一目でウソだとわかった。だが彼が釣り具や様々な遊び道具を持っているのを目にして、わくわくした気持ちが抑えきれなくなり、一緒に夕方まで遊んでいた。夫は仕事で本島とを行き来しており、日中は留守。夜7時に帰宅する。そのギリギリまで遊んでしまい、Bに告げる。
「早く帰りなさい」
「奥さん、どうして……」
「夫は用心深いから、あなたの言ったことがウソだというのはわかっているわ、危険だから早くかえりなさい、それに、また……」
含みがある言い方をすると、その男は納得したようにもどっていった。
夫がかえってきて、釣った魚のことをきかれたが、たまたま流れ着いたものだというと疑いもなく、それを口にして眠ってしまったようだった。
その翌週から、またBとの密会がはじまった。徐々に彼にひかれていき、そして彼のもたらす自由にひかれていった。そしてついに話してしまう。
「私、あなたと一緒になりたいわ」
「え?」
「だめ?」
「いや……それは……」
むつかしいことだとわかっていた。しかし、考えはめぐる。
「別れるにはどうしたらいいか」
「そんなことをしたら、あいつは怒り狂ってしまう、ストーカーになるかもしれない」
「たしかに……」
ふと、微妙な間をおいて、妻はいう。
「殺してみようかしら……」
「え?」
Bはしばらく無言になり、膝をまるめてかおをつっぷすと、ふるふるとふるえていた。
「Bさん?」
「ふっ……」
「大丈夫?」
「ふははははは!!」
Bが笑いはじめ、妻は目を丸くしたが、そのあまりにもばかばかしい発想にそうなってしまったのだとつられて妻もわらった。
「はははは!!」
やがて二人は、ダイビングへ向かう。その用具は、夫がいつも隠しているが、夫の友人であるBはすべてをしりつくしており、倉庫の鍵が隠されている場所をみつけると鍵を盗み出し、ボンベ類を運び出して、海へと潜った。
秘密のダイビングはこれが初めてではなかったが、夫とわかれるにせよ、夫をたくらみにはめるにせよ、本当に殺してしまうにせよ、もう引き返せないほど愛は大きくなったのだ。だから彼らは深く深くもぐっていった。しかし、妻はあることに気付いた。Bの酸素ボンベが、異常をきたしている。そういえばでていく泡が異常に多いとおもっていたが、もはや残りが少なかったのだ。
「ボボボボ!!!!」
彼は慌てている。もはや酸素が残っていないのだ。妻はあわてて自分のボンベを彼にちかづけた。そして彼は呼吸をすると、妻の背中に手を伸ばしてそれをぬきとった。
「え?」
「ボボボオ!!!ボボボ」
聞こえるはずはなかったが、妻にはその言葉がはっきりきこえた・
「あいつめ!!俺まで巻き込むなんて!!!」
妻は、自分の酸素ボンベをとられ、深い海の底へ沈んでいくのだった。
陸へあがっていったB。そして桟橋のそばで立ち上がると、そこには旦那がまっていた。開口一番こう話した。
「お前に依頼して正解だった」
「お前なあ!!なんで俺のボンベに細工をするんだよ」
「ははは!お前は追い詰めないと裏切る可能性があるだろう」
Bは、お前なあ!!といいながら、夫の奥へと目線を送った。夫の背後には、夫の望むおしとやかな黒髪ロング、ワンピースの不倫相手がにこやかに笑みを浮かべ、笑顔をこちらにむけていた。
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