哀れな子

ショー・ケン

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哀れな子

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 小さなころは痩せていたが小学生の低学年ごろから太りはじめて学校で一番の肥満児となったAさん。その頃は特段きにもしていなかったが中学に入ると周囲からからわかれ、半分いじめのようなものを受けることもあった。それでもまだめげなかったが、ある時クラスの好きな女子が肥満が嫌いだという話をしていてショックをうけ、痩せる事を決意する。

 しかし、疑問があった。自分はほとんど食事をとらないし、食欲が多い方ではない、なのになぜか、毎夜こんな夢を見るのだ。
「食べなければ、母親が愛してくれない、もっと食べなければ……」
 そして、朝方気が付くと家のある棚の菓子おきを漁る。

 母親はおおらかな人で彼が求めるといくらでも彼の好きなものを買い与える。父親も食事に関しては文句をいわないが、そのほかの衣服、玩具であったり勉強道具などには厳しい。それでも母親は、こっそり彼にありとあらゆるものを買い与えていたのだが。

 父親は医者、内科医であったために裕福で、かつ妻もモデルをしておりそこそこ人気で自分の宝石ブランドを持っている。何不自由ないが、このままではだめだと一念発起したAさんは、痩せる事を決意した。ところが、夢遊病などの本を調べたり母に相談したりしたが一向に改善しない。

 そんなある時の事、父の友人Bが遊びに来た。同じ医者で大学の頃からの大親友だがいまでは良きライバルといった感じ。とても賢く、一時は心臓外科医であったが血や傷、人の痛み、苦しみを見るのが苦手で今は精神科医をしていた。ふと父が席をはずした間に、BさんがAさんに声をかける。そして一枚のメモを渡された。
「ひさしぶりだな、どうやらダイエットに興味があるようじゃないか、これ、おじさんの連作先だからとっておきな、色々おしえてやるからさ」
 なぜ、そのことを彼が知っているのか疑問ではあった。第一母親にしか相談していないし、母親があれこれと助けをしてお金をかけている以上、父にも話したくないはず……しかし、父親が帰ってきたのであわてて彼はそれを大事にしまい翌日早速連絡をとった。

 ふと、様々なやり取りを下手が精神に異常はないという。Bさんもずいぶんなやんでいたがあるとき、知り合いにこんな事を聞かされた。
「精神に異常がなく、精神に変化があれば催眠術しかないだろう」
 思い立ったBさんは、Aさんに就寝時の自分の部屋にカメラをしかけるようにいう。彼の言う通りにし、それを翌日チェックすると、深夜2時ごろ医者の父親が部屋に侵入して、眠っている彼を何事かささやくと、彼はおきだした、本を片手に、彼に命令をしているようだった。
「肥えろ、太れ、いつでもいい、だがお前の命は長くはない」
 どうやら催眠術をかけていたのだった。

 あるとき、Aさんの父親が不在の時に、母とBさんとAさんで集まり、相談をした。そこでAさんは催眠を解く方法を学んだ。同時に“催眠にかかっているてい”
で、お菓子などを処分することにきめた。Bさんがおかしの類を詳しく調べると父がこっそり買っていたお菓子などがあり、その傾向からいっていくつかの病気のリスクを高めようとしているように思えた。

 BさんはAさんの肩をがしっとつかみ。
「君は命を狙われているかもしれない、もし何かあれば、すぐに私をたよってくれ」
 といわれた。

 それからしばらくして、母のサポートもあり肥満は徐々に改善していく、ほどほどの体つきになると、今度は体のあちこちが痛むようになった。母とこっそり病院に行っても原因がわからないという。
「あいつ、まだ何かたくらんでいるのね……」
 その呼び方に違和感があったし、これまでの事にも疑問があったので、Aさんは思い切ってたずねた。
「お母さん、本当はBさんの事が好きだったの?」 
 そういうと、母は驚き、泣きだしてこたえた。
「そうよ、けれどBも私も彼に借りがあってね……親の借金をせおっていて彼が肩代わりしてくれたのよ、だから表向き愛し合う夫婦として結婚したわいいけれど……それに、あなた、お母さんの味方?何があっても私を愛してくれる?」
 そう聞かれて、Aさんはいつも不機嫌で自分に冷たい父よりも母親のほうに愛着があったので答えた。
「もちろん」
 その時母はいったのだ。
「あなたはBさんの子供なのよ」

 しばらくして、Aさんの父親はある霊能者の元を訪ねた。あまりいい噂を聞かない、呪い専門の占い師にこうお願いしたのだ。
「息子を、殺してくれ、生命保険に入っているし、私はどうもあいつが本当の息子のように思えない、算出して、まぐわいもしないときに子種が入るものか」
 霊能者は呪いの人形と釘を父親に渡した。そして、彼は呪いを実行したのだ。その瞬間を、Bさんの雇った探偵が見ていたが、呪いの人形をみて
「馬鹿馬鹿しい、こんなの、報告すべきじゃないよな??」

 その数週間後だった。Aさんが倒れたのは、体のあちこちの痛みを訴え、入院、しかし原因不明。時折脈や血圧が多少おかしくなる程度で病院は頭を抱えた。経過を見るということでAさんは退院したが、その三日後、彼は行方不明になった。

 夫婦中は最悪になり、Aさんの事を愛していただのいなかっただの、ヒステリックを起こした母親は、毎夜父を責めるようになった。父もほとほとあきれた。精神病院に通うようになった母親は、そこであるとき落ち着きを取り戻し、別れをきめた。

 二人が別れた1年後。いまだにAさんは消息不明という事になっていた。しかし、彼は無事に暮らしていた。Bさんの知人宅で、その養子として生活していたのだ。どう偽装したかはわからないが、彼は孤児であり、その邸宅にひきとられた全く別の人間として生活をしていた。 

 振り返ると、あの時、父親の丑の刻参りを目撃した探偵はその人形の写真と場所を記録し持ち帰った。Bさんは、つてが多く、呪いに関して詳しい霊能者をしっていたので、Aさんの母に相談するとともに、対処法を考えた。霊能者に判断をあおると、
「この呪いは強力なので打ち消すことはできないが、軽くしたり、ほかの人に分け与えることはできる、但し、その人の合意が必要だ」
 Aさん母は人形を霊能者にいわれた手段で持ち帰ると人形をある霊能者に渡しこういった。
「呪いを私と半分づつにしてください、いえ、そのほとんどを渡しがうけとります、あの子は私の宝ですから」

 そして呪いを和らげると、みるみるとAさんの調子はよくなったが、この先何があるかもわからない。本当に殺されるかもしれないとAさん、母親、Bさんの皆で話会った結果、失踪という形で父親から引きはがそうという事にしたのだった。

 呪いはやわらげられ、その効力は先延ばしにされた、だがそれは人の寿命を削る形になりのこった、おかげで母親は若くしてなくなったが、Aさんは今もやや肥満だが良い学校、良い会社にはいりコンピュータプログラマーとして強くいきている。
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