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潜在意識解放眼鏡
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近未来。人間の潜在意識からその人の能力を引き出す眼鏡が開発される。AR(拡張現実)技術を用いたモニターから、自分の引き出したい能力を引き出すことができる。デメリットといえば、若干の眠気が訪れることくらい。
ある男、自分の無能さにあきれている。サラリーマンをやっているが、あまりに成績が悪い首候補にいつも入っている。だがその眼鏡をつけたとたん、急激に彼の才能は開花した。一気に成績トップに近づく、だが彼は疑り深かった。
(俺の人生がこれほどうまくいくはずがない)
彼は眼鏡をはずす事を決意。
一方巷では、その眼鏡をつけるものが続出、それぞれに力をつけていく。それは暫く続いたが2か月ほどたつと新しいデメリットが見つかる。
「潜在意識のストックがたりません」
どうやら、潜在意識化のアイデアや能力、知力をすべて使いきってしまい、その眼鏡が機能を停止したのだ。そして表示がでる。
―潜在意識のストックがたりません、まだ見ぬ情報を収集してください、退屈なものでも無駄なものでも、インプットを増やしてください―
「いったいどうして」
人々は眼鏡をつくった会社を問い詰める。だが社長はとんずら、すぐに会社は倒産した。やがて人々は眼鏡から興味をなくしていった。なにせ一般の人々は、わざわざ退屈や無駄な情報のインプットをしない。忙しいのだ。
相変わらずうだつのあがらない件の男。いまだに眼鏡を大事にもっており、大量に捨てられている廃棄物処理場を通りかかってぽつり
「流行にのるのも、捨てるのも、あっという間だなあ、まだこの眼鏡の有効活用法があると思うのだけど」
そうして哀れに想い、わきから眼鏡を取り出し装着する。するとその脇から、見たことのある顔。
「あ、あなたは!」
そう、この眼鏡を開発した会社の社長である。
「やはり、まだこの眼鏡の可能性を信じているものがいましたか」
それから社長はつらつら語り始めた。
「私はもともと大天才であり、この眼鏡のデメリットに気づいていました、私はそれでいくつかの未来を見た、この眼鏡をつけたアンドロイドの反逆、格差の拡大、犯罪の増加、ですがたった一つの可能性に気づいた」
がしっと男は型を掴まれた。
「平凡、退屈、凡人、君のような人の才能を開花させることです、日頃からそうしたものに、慣れ親しんでいる、そしてシュミレーションは成功した、なぜ君にそれほどデメリットがなかったか、君自身気づいているのではないですか?」
男は頭をぽりぽりかきむしった。
「有効活用できなかった無駄な知識や情報が、他の人より多いから?」
「そうです!!」
社長はよろこんだ。
「退屈でつまらない情報の蓄積、君のような才能のない凡人にこそこの眼鏡はふさわしい」
彼が背中を向けると、背後には自分のようなうだつの上がらない人間たちが群れをなしていた。彼らは仲間を見つけた喜びで飛び上がる。
この社長がニヤリと笑った。彼には目的があった。彼らを使役し、似たような事業でもうけて、人間を退屈になれさせ、やがて自分が世界を支配する目的が。そう、この社長、もともと賢いといったが、その真逆だった。実はある時突然この眼鏡の開発をひらめいて、実行し、それから能力が開化した人間にすぎない。そもそもこの社長こそ、この世界で最もうだつの上がらない人間だったのだ。少しずつ潜在意識のストック=無駄、退屈の重要さに人々が気づけば、自分のような不遇な存在が救われるだろうと思った。
件の平凡な男が振り返り、社長に尋ねる。
「社長は僕らの味方ですよね」
「ああ、君たちさえよければうちの会社で君たちを雇おう、君たちと立場と能力には差があるがね」
ある男、自分の無能さにあきれている。サラリーマンをやっているが、あまりに成績が悪い首候補にいつも入っている。だがその眼鏡をつけたとたん、急激に彼の才能は開花した。一気に成績トップに近づく、だが彼は疑り深かった。
(俺の人生がこれほどうまくいくはずがない)
彼は眼鏡をはずす事を決意。
一方巷では、その眼鏡をつけるものが続出、それぞれに力をつけていく。それは暫く続いたが2か月ほどたつと新しいデメリットが見つかる。
「潜在意識のストックがたりません」
どうやら、潜在意識化のアイデアや能力、知力をすべて使いきってしまい、その眼鏡が機能を停止したのだ。そして表示がでる。
―潜在意識のストックがたりません、まだ見ぬ情報を収集してください、退屈なものでも無駄なものでも、インプットを増やしてください―
「いったいどうして」
人々は眼鏡をつくった会社を問い詰める。だが社長はとんずら、すぐに会社は倒産した。やがて人々は眼鏡から興味をなくしていった。なにせ一般の人々は、わざわざ退屈や無駄な情報のインプットをしない。忙しいのだ。
相変わらずうだつのあがらない件の男。いまだに眼鏡を大事にもっており、大量に捨てられている廃棄物処理場を通りかかってぽつり
「流行にのるのも、捨てるのも、あっという間だなあ、まだこの眼鏡の有効活用法があると思うのだけど」
そうして哀れに想い、わきから眼鏡を取り出し装着する。するとその脇から、見たことのある顔。
「あ、あなたは!」
そう、この眼鏡を開発した会社の社長である。
「やはり、まだこの眼鏡の可能性を信じているものがいましたか」
それから社長はつらつら語り始めた。
「私はもともと大天才であり、この眼鏡のデメリットに気づいていました、私はそれでいくつかの未来を見た、この眼鏡をつけたアンドロイドの反逆、格差の拡大、犯罪の増加、ですがたった一つの可能性に気づいた」
がしっと男は型を掴まれた。
「平凡、退屈、凡人、君のような人の才能を開花させることです、日頃からそうしたものに、慣れ親しんでいる、そしてシュミレーションは成功した、なぜ君にそれほどデメリットがなかったか、君自身気づいているのではないですか?」
男は頭をぽりぽりかきむしった。
「有効活用できなかった無駄な知識や情報が、他の人より多いから?」
「そうです!!」
社長はよろこんだ。
「退屈でつまらない情報の蓄積、君のような才能のない凡人にこそこの眼鏡はふさわしい」
彼が背中を向けると、背後には自分のようなうだつの上がらない人間たちが群れをなしていた。彼らは仲間を見つけた喜びで飛び上がる。
この社長がニヤリと笑った。彼には目的があった。彼らを使役し、似たような事業でもうけて、人間を退屈になれさせ、やがて自分が世界を支配する目的が。そう、この社長、もともと賢いといったが、その真逆だった。実はある時突然この眼鏡の開発をひらめいて、実行し、それから能力が開化した人間にすぎない。そもそもこの社長こそ、この世界で最もうだつの上がらない人間だったのだ。少しずつ潜在意識のストック=無駄、退屈の重要さに人々が気づけば、自分のような不遇な存在が救われるだろうと思った。
件の平凡な男が振り返り、社長に尋ねる。
「社長は僕らの味方ですよね」
「ああ、君たちさえよければうちの会社で君たちを雇おう、君たちと立場と能力には差があるがね」
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