マッチングストーカー

ショー・ケン

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マッチングストーカー

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異常だ。おかしい。なぜいつも、危ない人間とだけマッチするのか。
マッチングアプリを利用しはじめてから、Aはあやうい女性とばっかりマッチした。
始めは気が合いそうだと思うが、仲良くなるにつれ、徐々にその本性をあらわしてくる、自傷癖、束縛願望、暴力、マゾヒスト。

どうしてなんだ、それもこれも“あの女”のせいかもしれない。
数年前、大学生だったAは、地味で暗い女性Bにストーカーされていた。初めは、直接何かをしてこなかったが、徐々にストーキングはエスカレートしていった。物を盗まれたり、部屋の玄関に落書きをされたり、寝ている写真をとったり、気味の悪い手紙を送ってきたり。

そのころ彼にはCという付き合っている彼女がいたが、彼女がいたおかげでそのひどいストーカーから、逃れる事ができたのだ。

そこでAは、拝み屋という人々にあたった、霊能力があり、自分の身の回りの不幸や、不運の原因を探り当てることもできるという。そうしたタイプの人間にあたってみたが、どれも、うまくいかなかった。

そしてある、顔を隠してその仕事を格安でやっているという人にたどりついた。思えば学生生活のあの頃から、女性関係の歯車が狂いだした。精神に異常をきたしそうだった彼は、そんな怪しい話にさえとびついた。

その部屋は、霊媒師の仕事場であるという、とある安アパートの一室だった。そこへ招かれ通されると家具がほとんどなく、霊媒師は、顔を布でおおって、占い師のような格好をして出迎えてくれた。
「いらっしゃい」

 怪しい話だとおもっていたがしかし、その霊媒師は、真剣に話をきいてくれ、彼の思う事や、彼の体験をずばずばとあてていった。しかし、その話の最後、彼女は妙な事をいいだした。
「……本当は最初から気付いていたのですが、私は、あなたには正体をあかさねばなりません」
「??」
そうして、霊媒師は、顔を覆っている布を外した。
「!!!」
「すみま……」
「ヒイィイ!!」
 Aはすぐさまその場所から逃れようとした。
「まって、どうか話をきいてください、私のしたことはすべて謝罪します、いくらでも……お金もいりませんから」
 そういわれ、Aは恐る恐るふりかえった。そこには、Bがいた。
「どどど、どうして」
「いいえ、これは私が望んだ事ではありません、めぐりあわせでしょう、ですがこの場では、正直に、私の霊能力だけを使ってお話をさせていただきたいのです」
Aは、玄関先で玄関が空くことを確認して、その場にたちつくし、話をきいた。
「それで、何なんです?何かわかったんですか?」
「確かに私は、一時期あなたをストーカーしていたけれど、これだけを伝えたいの“あなたの後ろについている生霊が一番あなたのストーカーです、彼女が貴方に合わない人間とあなたが出会うように、呪いによってお互いを引き寄せている”確かに私はあなたをストーキングしていた、でも、私はあなたに害を加えたことなどない、あなたのものを盗んでもいないし、あなたに手紙を送ってもいない、あなたの寝ている時の映像をとって、写真を部屋におくこともしていない、ただ、あとをつけていただけなのよ」
「それってどういう……」
「本当にずっと、いいえ、あの時いえばよかったのだけど、私は根暗でとてもいいだせなくて……あなたと大学時代につきあっていた彼女……いい別れ方をしてないんじゃない?」

そしてAは気づいた。大学生時代の彼女……彼女は、自分と別れるときに豹変して、脅したり、死ぬといったり、暴力をふるったりしてきたこと。
まさか、自分にかかわった人間があの時点からおかしい事を、悟りたくなかったという事を。もともと自分にはそぐわない美しい人で、頭もよかったのに、友人に紹介されて付き合う事になったのだが、何回も別れ話をしたのだった。そのたび彼女はなんていったか。
「あなたは私が守る」

そしてB、彼女は最後にいった。
「ごめん、あの頃本当に私自身、気が病んでいて、ストーカーしたかったんじゃないの、好意があったわけでもない、あなたに伝えるか伝えないでおくべきかまよっていた、悪い生霊がついていることを教えたかっただけなの、それに、伝聞で伝え聞いているかと思って、あなたたちが分かれたあと、“あなたのものを盗んだり、壊したり、嫌がらせをしていたのは彼女だって”あなたも、伝え聞いているとおもっていたのだけど……」

 その後、生霊は払われ、Aは元彼女の話を伝え聞くことになった。Aはしらなかったが、彼女は見た目こそいいが付き合うとひどく執着し、自分に依存させるために付き合った人間にストーカーに狙われていると錯覚させる常習犯だという事に。あのときたまたま、自分につきまとい、話しかけられなかったBがいたため、自分はそのことを怪しむ事がなかっただけだったのだ。
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