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死の真相
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Aさんの兄の話。Aさんは、学生時代に兄のBととっても仲良く遊んでいた。いまは遠くはなれて暮らすが、高校生時代の仲の良さはそれまでと比べてもすさまじいものだった。どこへ行くのも一緒で親友のような間柄だった。
そしてCという兄の別の親友もよく遊んでいた。Cさんは眼鏡をかけているしぴっちりとかきわけた髪型で見るからに真面目な風貌だが、遊びにも詳しかったし、かくれて不良じみた事もやっていた変わった人だった。弟のようにかわいがってくれたのをよく覚えている。
そんな二人の事をAさんは大好きだったという。
だがその二人にある時好きな人ができた。Dといい、なんとそれはAさんの同級生のとてつもなくかわいらしく可憐な人だった。Aさんは気のないふりをしていたが、Aさんも実は好きだった。
「ここが、奴が転落した場所か」
「そうだよ、兄さん……本当に何も覚えていないの?」
「ああ、あの時二人で心霊スポットにいって、奴は、とりつかれたように喚き始めて、それから……」
「崖から落ちた」
AさんとBは、山奥の廃墟のホテルの前、きりたった崖の前にいた。
「俺と喧嘩したのが原因だったのか」
「何で?」
「お前を泣かせるわけにはいかなかった、けれど……俺たちは……何かで喧嘩をして……ウッ」
頭を抱えて苦しみだす兄。
「どうしたの、兄さん」
「なんで、俺だけ助かったんだ」
「何を思い出したの?」
すっと崖の傍まできて、兄はいった。
「あいつは、彼女には好きな人がいるといった、俺はてっきりその対象まで知っているものだとおもって、奴が、そいつを殺してでも俺は彼女を手に入れるといったから、殴りかかったんだ、それから奴は狂ったよう担って、俺に襲い掛かってきて、崖まで二人で……」
「兄さん……兄さんが彼に何かをしたの?」
「いや、そうじゃない、この病院の霊は……奴にとりついた、もとから霊感が強い体質で、奴は取りつかれて……もうこの世に未練はないといって、飛び降りようとした、そこで俺は彼をささえて、一緒に飛び降りた」
「そうだよ、兄さん」
ふと、弟の後ろをみると、Dがそこにいる事にほっとした。
「そうか……やったか、弟よ、俺が彼女にいわないうちに、それより、害を与えられなくてよかった」
「兄さん……Cさんは、Dさんが僕が好きだとしらなかった、僕にやさしかったDさんがそんな事をすると思う?」
「そうだ、確かにそうだ、だから俺は、Cを襲おうとしたんじゃない、止めようと、だが奴は俺の手を離れ怯えたように逃げていった、あの時奴は、ここにいる無数の霊たちに憑依されていたのか、それでがけまでおって、奴が飛び降りそうになっているのをつかんで……俺たちの間にあるだろう勘違い、それを奴に伝えようとしたら俺はすでにがけ下にいて」
「兄さん……」
「どうして、俺だけ生き残ったんだ」
崖を見下ろすB、振り返り、すべてを悟ったように笑う。
「そうか」
そして自分の手を見つめる、手から、足から、半透明になっていっていた。
「そうだ……Bもお前も、霊能力が強いんだったな、Dも……おれだけ仲間外れだったのか」
そういいながらBは姿を消した。
そう、Aさんの兄Bも、友人のCも、ちょっとした勘違いから、不慮の事故でお互い命を失っていた。Aさんは、その時二人を弔いにきたのだ。警察は兄をCさんが道連れにしたのだといっていたが、そうではないと信じていた。そこでそれが明らかになったのだった。
そしてCという兄の別の親友もよく遊んでいた。Cさんは眼鏡をかけているしぴっちりとかきわけた髪型で見るからに真面目な風貌だが、遊びにも詳しかったし、かくれて不良じみた事もやっていた変わった人だった。弟のようにかわいがってくれたのをよく覚えている。
そんな二人の事をAさんは大好きだったという。
だがその二人にある時好きな人ができた。Dといい、なんとそれはAさんの同級生のとてつもなくかわいらしく可憐な人だった。Aさんは気のないふりをしていたが、Aさんも実は好きだった。
「ここが、奴が転落した場所か」
「そうだよ、兄さん……本当に何も覚えていないの?」
「ああ、あの時二人で心霊スポットにいって、奴は、とりつかれたように喚き始めて、それから……」
「崖から落ちた」
AさんとBは、山奥の廃墟のホテルの前、きりたった崖の前にいた。
「俺と喧嘩したのが原因だったのか」
「何で?」
「お前を泣かせるわけにはいかなかった、けれど……俺たちは……何かで喧嘩をして……ウッ」
頭を抱えて苦しみだす兄。
「どうしたの、兄さん」
「なんで、俺だけ助かったんだ」
「何を思い出したの?」
すっと崖の傍まできて、兄はいった。
「あいつは、彼女には好きな人がいるといった、俺はてっきりその対象まで知っているものだとおもって、奴が、そいつを殺してでも俺は彼女を手に入れるといったから、殴りかかったんだ、それから奴は狂ったよう担って、俺に襲い掛かってきて、崖まで二人で……」
「兄さん……兄さんが彼に何かをしたの?」
「いや、そうじゃない、この病院の霊は……奴にとりついた、もとから霊感が強い体質で、奴は取りつかれて……もうこの世に未練はないといって、飛び降りようとした、そこで俺は彼をささえて、一緒に飛び降りた」
「そうだよ、兄さん」
ふと、弟の後ろをみると、Dがそこにいる事にほっとした。
「そうか……やったか、弟よ、俺が彼女にいわないうちに、それより、害を与えられなくてよかった」
「兄さん……Cさんは、Dさんが僕が好きだとしらなかった、僕にやさしかったDさんがそんな事をすると思う?」
「そうだ、確かにそうだ、だから俺は、Cを襲おうとしたんじゃない、止めようと、だが奴は俺の手を離れ怯えたように逃げていった、あの時奴は、ここにいる無数の霊たちに憑依されていたのか、それでがけまでおって、奴が飛び降りそうになっているのをつかんで……俺たちの間にあるだろう勘違い、それを奴に伝えようとしたら俺はすでにがけ下にいて」
「兄さん……」
「どうして、俺だけ生き残ったんだ」
崖を見下ろすB、振り返り、すべてを悟ったように笑う。
「そうか」
そして自分の手を見つめる、手から、足から、半透明になっていっていた。
「そうだ……Bもお前も、霊能力が強いんだったな、Dも……おれだけ仲間外れだったのか」
そういいながらBは姿を消した。
そう、Aさんの兄Bも、友人のCも、ちょっとした勘違いから、不慮の事故でお互い命を失っていた。Aさんは、その時二人を弔いにきたのだ。警察は兄をCさんが道連れにしたのだといっていたが、そうではないと信じていた。そこでそれが明らかになったのだった。
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