心霊万屋

ショー・ケン

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ハミラ

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「君は、幽霊が見える事を隠していたんだろ?」
「ええ、でもどうしてあなたはわかるの?」
 ヒトシとセツナは、微妙な関係だった。はたから見ればどう考えてもデートにしかならないのだが、関係をはっきりさせたことはない。しかし二人は両想いだったのだ。
「いじらしいですねえ……」
 その二人を、傍らから見ている男。面長の紫の髪色をして、緑の口紅をぬった奇妙な男だ。前髪に赤のメッシュがあり、モデルや、女優顔負けの美しい顔をした180センチほどの背の高い男だ。
「ほらほら、もうすぐ“きます”よ、この“ハミラ”二人の恋路を応援しております故」
 男は紺色のスーツのポケットから瓶を取り出すと、粉末を手に取りだし、ふっとふいて、その場から距離をおいた。

 真夜中の公園である。二人の男女はその間に一人分の距離を保ったまま、お互いを見つめることもできず、前をみていた。
「ヒトシ……」
 美しい、小動物のような整った輪郭の、あどけない少女。
「セツナ……」
 反対にごつごつとした顔に細い目の、お世辞にもかっこいいとはいえない男子。二人はみつめあったが、しかし、ヒトシのほうが少しめをそらした。それに怒ったセツナは両肩をがっしりつかんだ。
「もういい加減にして、私は!!」
 あまりに奥手で、じらすのでついにセツナのほうがおこり気味に彼にせまろうとした。が、その瞬間だった。すさまじい寒気が二人を襲うと、傍から、どろどろとした異様な空気感があらわれ、その男が現れた。この近辺でバイク事故で無くなった男性だ。無言でたっている。体はすけていて、頭にはところどころ傷やくぼみがあった。
「……」

「ククッ」
 ハミラはその男の事を知っていた。だからこそこの展開がどう転ぶか楽しみにしていたのだった。
「ギャッ!!」
「きゃあっ」
 一瞬、セツナは驚いた。そしてヒトシにだきついた。そこでヒトシは内心その場所から逃げたかったのだが、彼女をだきしめた。そしていった。
「大丈夫、俺が何があろうと守るよ」
「本当?ありがとう」
「俺たち……」
「知っていたんだね……何もかも」
「え?」
 セツナは突然ヒトシの手を振り払い、男の傍にいった。そして言い放った。
「この人、私のお兄ちゃんなの、バイク事故で去年なくなって……ヒトシ君、君にも見えるんだね……ずっとこの公園に居座っていて、私の事を心配していたの」
「え?そんなはず……」
 その瞬間、ハミラは現れた。拍手をしながら。
「すばらしいですねえ、お二人の“友情”“兄妹愛”うん、素晴らしい」
「だれ?」
 真夜中の公園である、格好から言っても不審者にしかみえない。ヒトシが、なれなれしくハミラに問う。
「なんで、この場所が?」
「だって、あなたが私に依頼したんじゃないですか」
「ちょっと……」
 そのとき、二人会話に嫉妬したように、セツナが入り込んできた。
「どういう事です?二人の関係は?」
「ははは、誤解をしないでください、私は、この男に頼まれたのですよ、“幽霊を出してくれ”って、私は幽霊万屋、多種多様なニーズに対応できる万屋です、こんな事は朝飯前でした」
「ちょっと、全部いわなくても……」
「そうでした、ちょっと遠目だとわからなくて、私は退散しますね……」
 ハミラが去った後、しばらくして微笑みながら兄は姿をけし、二人はみつめあってキスをした。
「ねえ、ヒトシ」
「なんだい?セツナ」
「私ね……」
「ああ、そうそう」
 突然、コンクリートで舗装された通りの影から、再びハミルが現れた。
「私、とても計画的な人間なので、追加料金をいただきます」
「追加料金?」
「あなたは、幽霊を登場させて、その隙に男を見せる約束でした、ですが女性の方は驚かれずむしろ感動していなさった、あなたは現れた幽霊が彼女の兄であることをしらなかった、ですから……あっ」
 ハミルは空気を読んでその場をたちさった。

 セツナは怒っていた。
《バチンッ》
 ビンタを一撃お見舞いするとその場所から立ち去ってしまった。ハミルは、その様子をしまったといった様子で口にてをあててみつめていた。去り際、ハミルにだけ聞こえる声で、少女はつぶやいた。
「そんなやり方しなくても、うまくいったのに……最低!」
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