ネットストーカー

ショー・ケン

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ネットストーカー

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 俺のSNSにいつも書き込みしてくるストーカーがいる、俺がどんなに無視しても、拒絶してもブロックしても意味がない、その都度アカウントを作って書き込みがある。
「もう一度あいたい」
 初めのうちはいたずらだとおもったさ。俺にそんな“もう一度会いた”がる人間なんていないし、とおもったが女性関係はたった一度だけあった。最初で最後の彼女ありさだ。

 確かにかわいい彼女だった。最後までお互い別れを惜しんでいたが、でも妙な話だな、彼女は別の人と結婚して、大病をわずらい、死んだはずだ。ではなぜ?だれが?

 しかし何度もしつこいので、仕方なくコンタクトをとる、俺はなつかしさに、会ってみることにした、実際彼女にあえば、別人だとわかるかもしれないし、ストーカーに直談判するのもわるくない、しかし“会ってみて”確信にかわった。一度まちあわせをしたんだ、大雨のふる深夜の公園で、彼女は一切ぬれていなかったけど……間違いなくありさだった。けれど近づくと消えてしまった。彼女は、確かに死んでいる、死後も俺の前に現れ、会いに来てくれた。ストーカーではない、未練の強い霊なんだ。そう思うと逆に心が軽くなった。

 俺の様子を心配して、友人が一度霊媒師にみてもらえっていうんだ。たしかにそうだ、変な話だし、俺は友人のいう通り、霊媒師に会った。
 
 でも友人は霊媒師に会う前に妙なこともいってたな。“お前のストーカー癖”は死んでも治らなかった。様々な治療をしたし、周囲が助けもしたが“お前のストーカー癖”は、そんなものじゃない、病でも実際お前が悪さをするのでもない、ただお前は、お前の“魂”が悪さをするんだって、霊媒師が俺に何をいったか、俺は覚えている、“生霊”がついているっていってたんだ、俺はわかっている、彼女は、死後も俺に送ってきているんだ。生霊を。

 友人は、生霊は生きているものが送るもので、お前はもともとありさに生霊をおくっていて、行き場のなくなった生霊が姿をかえ、ありさとしてお前の元に戻ってきたなんて言う。バカな話だ。彼女こそが俺を好きだったというのに。
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