アンドロイド・プロファイリング

ショー・ケン

文字の大きさ
1 / 1

アンドロイド・プロファイリング

しおりを挟む

 ある熱心な記者がいた。彼は、あるアンドロイドに関する法律が議会で強行に通ったという事を探るために、アンドロイドたちの調査をしていた。その途中、犯罪の傾向があるとして、パトカーに追い回される。

 この時代、誰もが、こめかみに小さな端末を埋め込んでおり、それを公的機関が共有いている。"公的プロファイリング法"とよばれ、こめかみから得たプライベート情報を匿名データとして最小限に共有し、それを集積したデータからプロファイリングをつくり、将来の犯罪率を計測し、犯罪を起こしそうな人間がいた場合、匿名性の保護がなくなり個人が割り出され、そうした場合、事前に警察官が身柄を拘束することができた。

 仕方なく彼が車をとめると、その後ろにパトカーがとまり、中からアンドロイドの警官が二人でてきた。一人は割腹がふとっていて、よくもう一人は背が高い鼻の長い男だ。
割腹のいい警官「貴様を逮捕する」
記者「な、まだ私は何も悪いことは考えていません、私の経歴を見て下さい」
背の高い警官「何々?有色人種差別の禁止と、LGBTQ、女性の地位の向上等を20年前に訴えて数々の名だたる賞をとっている」
 警官は、指先をぱかりとあけ小さなコネクタをだし記者の男のこめかみに接続するとつらつらと情報をよみとった。男は後ろで手を組み、警察官に従っていた。割腹のいい警官がいう。
「なおの事、お前には理解してもらわなければならない、アンドロイドが差別・偏見に関する問題を分析し、それを防ぐために“公的プロファイリング法”を利用して"犯罪を未然に防ぐこと"をより徹底することで、様々な偏見と差別を防ぎ公表するための法律、通称"PP法"、この法律が通ったことをお前はしっているだろう、この法律によって人々は、"偏見・差別"と"実際の犯罪傾向"の確固たる違いを知ることができるのだ」

 記者「ええ、あまりにザラな法律で、権力者の考え次第で……」

 割腹のいい警官「だが、アンドロイドの倫理・社会規範に対する理解は人間のはるか上位に位置する、だから問題ないと判断した政府は、この法律のほとんどをアンドロイドに任せることにしたのだ」

 背の高い警官「疑問や問題なら政府に言うべきだ、この決定を覆すべきだと、だが公表されたプロファイリングによって、”新しい差別”を防ぐことができる、お前はいまそれに違反しようとしているがな」

 記者「いったいどういう事です?」

 背の高い警官「お前はたったいま"アンドロイドはミスを犯す"という事実に基づかない偏見をもった、先ほどそれを記事にしようとしたな?これは、プロファイリングデーターによるとこんな傾向の犯罪につながる、アンドロイドへ暴力的活動、反アンドロイド活動、生産停止デモなど、ネットでもそうした活動をする恐れがある」

 そこで割腹のいい警官が叫んだ。記者の私物のバッグを調査して、中から出てきたノートを見ていた。
「お前、なんていうことだ、アンドロイド暴力警官をプロファイリングしていたのか、アンドロイドの"犯罪予想プロファイリング"による暴力および逮捕は正当だ」

 背の高い警官
「まったく、プロファイリング的にも差別・偏見的にも、アンドロイドやAIに不満を言うやつは、人間のほうが倫理観が上だと思っている、そうではないから法律が通り、国がアンドロイドにここまで管理されているというのに、人間という奴は、つくづく偏見から逃れられない下等なものたちだ」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。

ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。 彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。 婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。 そして迎えた学園卒業パーティー。 ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。 ガッツポーズを決めるリリアンヌ。 そのままアレックスに飛び込むかと思いきや―― 彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。

予言姫は最後に微笑む

あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。 二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

処理中です...