忌むべき透視能力

ショー・ケン

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忌むべき透視能力

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 幼少期から超能力をもっていたある少女A。だがかつれ能力をつかったことを後悔し、その能力を隠しなるべく使わないようにしていた。大人になった今では常にサングラスをしており、これでその能力を制限できる。そもそものその能力とは”人相占いが確実に当たる”というものだ。

 その能力を隠し手放すきっかけというのが少女時代の事だった。小学生の頃、彼女は地味で流行に疎く何にも興味を持てなかった。唯一いた友達にも、彼女の能力は秘密だった。その頃彼女はオカルトが趣味で大好きだった。だが趣味を共有できる友達はいなかった。

 そんな時、別の子がオカルトが好きだと話を始めた。それはクラスの人気者の女の子でおしゃれな子だったので、彼女と仲良くなりたいと思い、初めは友達に、徐々にクラスの子に占いのようなことをするようになった。人相占いから性格を割り出し、ある程度のぼんやりとした未来の行動や運勢を予測する。驚くことにそれは結構当たった。

 しだいに彼女は人気ものになる。そして、今まで付き合っていた友人たちではなくクラスのカースト上位の女の子たちと付き合うようになっていった。
 そんなある時、ある地味な隣のクラスの三つ編みに眼鏡の少女Bが、自分を占ってほしいといいだした。その自信と奇妙な勇気ある姿、その地味さにかつての自分を重ねた彼女は、困惑しながらも彼女を占った。すぐに彼女の人相を分析して、占いをした。だが一瞬事実を話すかをとまどった。しかしその子自身がいった。
「いって、真実を」
 しっかりと前を見つめ、謎の自身に満ちている。
「あなたは、いじわるで人を見下している……そういう人相だわ」
 目をそらすA。占われたBがむしろまっすぐ前をむいている。なんとか場をとりまとめようと続きをいいフォローしようとした瞬間。後ろにたむろし、隠れ覗いていた自分の新しい友人たちが彼女をばかにしたり、見下して大声で話し始めた。地味だの、根暗だの、Bは表情をかくしていたが、よくないいじりだった。その日はそれでひとまずは収まった。

 だが翌日から悪い噂が飛び交っていた。例の地味な自分に占われた彼女が隣のクラスでいじめられていると。ひどいもので、自殺まで考えていると。Aは、ひどく反省し落ち込んでいたが、だが新しい友人に頼まれるとそれでも占いをつづけていた。
 
 ある日の放課後。新しく楽しくにぎやかな生活に、それでも背伸びをして疲れていた彼女は屋上へでた。そこで恐ろしい瞬間をめにした。フェンスの向こうでいま両手を型の高さまで真横にひろげた少女、件の三つ編みの少女Bがそこにいて、今まさに飛び降りようと体を宙になげだしているところだった。
「危ない!!!」
 咄嗟に彼女をだきとめた。彼女のポケットから何かがおちた。それはメモ帳だった。
「見ないで!!」
「どうして死ぬの!!それを教えて!!」
「それは……私は、あなたと仲良くなりたかったの、でもあなたの占いで……」
 Aはズキンと心を痛めた。AはBをつかみながら、落ちていたメモ帳を披露、そこには数々のイラスト。動物から人間まで様々なものがあった。関心するほど上手だった。そして何よりそこに悪魔や幽霊の絵もあったのだった。
「これ……あなたが?」
「ええ、そうよ」
「あなた、あきらめないで、私だって半年前まで自分には何の才能もなくて、ずっと地味で誰にも認められないまま人生が終わるんだと思っていた、けれど自分の才能を使う勇気をだして、踏み出して、やっと変われた、あなたも恥じずに本当の自分を出すべきよ!」
 それでも三つ編み少女がためらっているといった。
「あなたは、私によく似ている、だから私は恥じているわ、あの時私は占うべきではなかった、嘘をいうべきだったかもしれない……だって私の人相は……本当はあなたにとてもよく似ているから、それにあなたもオカルト趣味なんでしょう?私と友人になって」
 それから二人は親交を深め、徐々に親友といえる仲になり、三つ編みの少女もまた、人気ものになった。

 やがて二人とも大人になり、それでも二人はまだ親友のままだった。イラストレーターとなったBと、占い師になったA。あれからAはむやみに人を占わないし、場合によっては嘘をつく。自分の評判が下がったとしても、だからサングラスをつけ、いつも後悔しないようにしている。

 それだけではない。Bの相談はすべて受けている。人生相談もそうだし、恋愛相談も、仕事の相談も。

 が、仕事の相談が曲者であった。様々なイラストのラフパターンを見せられ、どの人相がいいかを問われる。その数が多すぎてまるで暗示にかけられているようだった。
「それでも、あの子のためだものね」
 そういいつつ日々疲れはたまる、でも、彼女の顔を思い浮かべると不思議と力がわいてきた。

 しかし、実際、暗示にはかけられていた。Bはすべて狙ってやっていたのだ。彼女の気持ちも、価値観も、彼女の”イラストの人相”がある程度コントロールした。もともと、イラストに関してはどんな人間にどんなイラストが好かれるかを認知していて、どんなイメージを持つかを熟知していたBは、"人相"と呼べるものまでコントロールする才能があった。それを使ってある日、それを使って何者かを操作できないかと考えていた。

 少女のころ、隣のクラスで突如人気をだした“オカルト趣味”の”占い少女”がいるとしって、さらにその能力が"人相から人格を読み取る能力"だとしったとき、彼女は思った。"彼女はスキャナーで、自分は人相さえ作れる絵描きだ、もしかしたら、私は彼女に架空の人相を見せることで、その背景を私と結びつけることで、彼女の私への気持ちを操作できるかもしれない"
 彼女は占われてからいじめにあったが、それ以来前にもまして人相の中にキャラクターの個性を、それは生まれた日付から、家族構成、運気や、性格までをバックグラウンドに設定し、投影した。そのキャラクターをよみとったAがその人相を好きになり、さらにBを好きになるように仕向けた。

 実際それはうまくいった。それ以来、三つ編みの少女は人好きのする人相の絵を描いて、まずAにそれを機に依頼、好きになってもらう、そして描くキャラクターすべてに"自分(B)の事を好きだ"というぼんやりとした感情をもたせ、占いの少女もそう思い込むように、彼女を支配していたのだ。

 実はあの時、Bの自殺の時も実は本気ではなく、Aの動向と習慣を調べており、あの日屋上に来ることも予見してそうした。そして件の手帳をみせた。その手帳をみた彼女は、”彼女の思惑通りの思考”が潜在意識に組み込まれた。
(Bはとても価値のある人間―Aは後悔するべきだ―AはBの事をすきになる)
 そんな考えを浮かべる人相の絵をかき挟んで。それまで
(二次元の絵には人相など関係ないだろう)
 と思い込んでいた彼女はふいに、三つ編みの彼女の絵をみて、彼女を好きになったのだ。

 そして占いの少女が幼少期に占ったときの言葉には続きがあった。それは
「あなたは自分の特殊な才能で人と仲良くなろうとしている、好くない形で、人を支配しようとしている」
だった。それを言いそびれ、占いの少女自体忘れていた続きがあったのだった。
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