半端需要

ショー・ケン

文字の大きさ
1 / 1

半端需要

しおりを挟む
 何をやってもうまくいかない男、何をやっても中途半端な自分自身にうんざりしている。仕事も友人関係も彼女との関係も半端なところまでいくが、あと一歩のところで、すべておじゃんになってしまう。
「どうしたものか、それに近頃不況だし、科学技術が発展してAIが仕事を奪う危険まである」
 男の不安は的中し、ある時会社を首になった。男はあきらめて、人生に絶望し、自殺することをきめた。首をくくるために森にはいり、ロープを用意して今まさに手をかけようとした瞬間に電話がなった。
「なんですか?」
「転職情報サイトです、わが社に登録されている○○さんですか?」
「ええ、そうですが、僕に求人なんて来るはずが……」
「いえいえ、あなたはとても人気なんですよ、一度わが社にいらしてください、様々な企業からお声がけがありますので」
 そして男はその会社の本社に行くと確かにさまざまな企業からオファーがあるようだ。男は尋ねる。
「どうして私のような成績も才能も、運もないやつがこれほど人気になったんですか?何か裏があるのでは?」
「めっそうもございません」
 男が根掘り葉掘り聞きだすと、対に折れた社員が経緯を話してくれた。
「昨今AIなどの技術が発展して、なんとか法で縛りをもうけているのですがその都合によって、空白の求人が生まれたのです、人間にも、AIにも嫌われるようななんでもない仕事、それがもっとも不安定な領域だということで、あなたの言う方に求人が集まっているのですよ、給料が少なくても文句もいわないあなたのような人に」
 男は、悪口を言われている自覚はあったが、それでも、満足した。
「俺にも、生きる場所があるのだな」
 そうして男は生涯、不安定ながらもいくつかの会社の末端の従業員として労働を全うしたという。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...