はぐれもの

ショー・ケン

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はぐれもの

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ある心霊スポットをたまり場にしているヤンキー6人組、その中でAはとびぬけて人気だった。そのヤンキーの界隈でトップが変わる事はよくあるし、内紛のようなものもよくあったのだが、それでもAはカリスマ性を持っていた。

そしてAはその他に霊的能力もあった。そのたまり場には老婆の霊がいるといい、皆も彼の言葉を信じ、怖れていた。ところがあるときAの彼女が、Aにある警告をしてきた。
「あんまり調子にのらないほうがいいわよ」

その言葉の意味を分かっていながら、彼は無視した。というのもAの彼女のほうが霊感があり、A自体は霊感がなかったのだ。Aは自分があまりにほめたてられ、人気だったので、調子にのって霊的能力もある事にしようと適当にスキルをかさまししたのだった。
「大丈夫だ、あいつらバカだから、きっと俺のウソも信じてしまうさ」

 そう彼女に言い残した日の夜に、彼はバイクで大事故にあった。彼女が見舞いに来たが、仲間は誰一人見舞いにこなかった。
「だからいったのに」
 Aの彼女は彼に似合わず真面目で、冷静な黒髪長髪切れ目の少女だった。口数が少ないのでいちいち細かく聞かなければ答えてはくれない。
「すまない、これで反省したよ、で、何か知っているのか?あの場所、何があったのよ」
「知っていることは二つあるわ、ひとつが最悪な事実で、もう一つがもっと最悪な事実」
「じゃあ、最悪な事実から」
 Aは笑いながらいう。彼女は無表情で答えた。
「あの場所……あなたのように調子にのって霊が見えるという嘘をついている人間を呪う悪霊がいる」
「へ、へえ、じゃあもっと最悪な事実は?」
「そのことを、わかっている人間がいる……おそらくあなたを事故で死なせようとしたのでしょうね、もうヤンキーなんてやめたら?」
 Aはぎくりとした。彼はもともとバンドマンだったがバンドがうまくいかず、ぐれていたところをある人間―ヤンキーのBに誘われたのだ。
 それからは、彼はうまくやっていたと思っていたがBも、それどころか周囲の人間も自分の調子の良さに嫌気がさしていたのだろう、そう、その時やっと気づいたのだった。
「いい加減、ナルシストの姿勢を少しは直した方がいいわね、バンドやってた頃は、あんたが調子づいてると周囲の人間があんたが嫌ってわかりやすかったけど、ヤンキーの世界はそうじゃない、あんたを調子にのせて、最高に調子づいてるときに、殺しにかかる、まあ……女子の日常も似たようなものだけど、バンドやってるときがまだ、単純な奴がおおかったんじゃない?」
 そういって、見舞いの品か、みかんを投げつけて彼女はさっていった。Aは思い出していた。彼女と初めてあったとき、彼女は神をそめ、ぐれたバンギャだったことを
「あいつが変われるなら、俺も変われるか」
 そういいながら、彼女の残したみかんにがっついた。
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