ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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憎奪戦争編

予期せぬすれ違い

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【冒険者ギルド】
「……と、言う訳で西の古代遺跡ダンジョンは、超人類開発計画の研究為に使われていた場所で、今は守護者(ガーディアン)として配置された者たちが生息しているだけの場所になっています。外界への進行の恐れは無さそうなので、コチラから入らなければ危険は少ないと思いますわ」

西の古代遺跡ダンジョンからヘルメスの街に戻ってきた彼らは、まず最初に全員で冒険者ギルドに向かい内部の調査をした報告を、聖騎士ミャンジャムが代表して冒険者側のギルマスに説明してくれていた

「そうか分かった!上には俺から報告しておく…それと、コレが今回のクエスト報酬300万ゼニーだ。この書類に受け取りのサインをしてくれ」

「300万か…難易度と人数を考えると少し少ない気が致しますわね」

古代遺跡内の地下1階と2階では、地上では考えられない程の死闘をこれだけの猛者揃いで繰り広げてきた割には「少ないのではないか?」と聖騎士のミャンジャムが発言してくれた

「確かにな。報告による敵対した魔物の強さを考えたら、この10倍あったとしても適正価格と言えるか怪しいだろうな…しかし、内部に何が居るのか分からない時に算出した額なんだ。申し訳ないが了承して欲しい」

大陸最大のクラウン城で聖騎士に任命されたミャンジャムの意見となると、細かく正確に答えざるおえないギルマスだが…

「分かりましたわ。ですが、次回からあの古代遺跡に関するクエストは、もっと高額な報酬を用意することをお勧めしますわ」

普通に聞くと、ミャンジャムが報酬額に不満があるように聞こえかねないが…一般的に冒険者は報酬額からそのクエストの難易度を予想して引き受けるか?否か?を決定する。つまりは、安い金額だとレベル不足の冒険者が足を踏み込んでしまって、無用な被害者を出してしまう事を抑える為に言っていた

「お互いに納得できたとこで受け取ってくれ」

ギルドでは報酬の受け渡しがキチンとなされる為に、いかに少額であろうとも受理承認のサインをする決まりになっている。コチラはアドルが済ませてくれた

「あの~分配はどうされるんですか?」
「マリリン!!どうしてアンタはいつもそう卑しいピョン!!」

報酬の話になった途端、身を乗り出したマリリンに憤慨するペコラン

「参加したのは【聖騎士勇者隊】【アルバート家族(ファミリー)】【ホロワーズ】と、ちょうど3チームなんだから3等分で良いんじゃないかな?」

アドルは3つのパーティの参加によるクエストだったのだから、ちょうど3等分で良いだろう。という意見のようだ

「ちょ、ちょっと待ってください!控え目に見ても僕たちホロワーズが1番戦力が低いしアルバート家族(ファミリー)は人数も多いから3等分では公平性に欠けると思います!」
 

「なーに言ってんのよ、この子は!3等分で良い。って言ってくれてるんだから、素直に受け取ろうよ!」

ホロワーズのパーティだけが、Sランクの冒険者を1人も含んでいないし…Sランク魔法使いのカルーア、天使族のサーシャ、元魔王の息子(今回のメンバー以外には内緒)が居て人数も多いアルバート家族(ファミリー)が損をしている計算になるのは明らかなのだが…

「いや、それで良いよ。わたしには、わたしが強くなりたい!って個人的な理由が強かったからね…ソレにうちは、わたしのヒイロの稼ぎも大きいからね。ハハ(笑)」

「まーまー、カルーアお姉さまったら、お熱い事で(笑)サーシャも3等分が良いと思いますの」

「逆に言ゃあ、ホロワーズは実力に見合わない危険な場所に付き合うリスクを背負ってた訳だしな。その分って事で良いんじゃねーか」

カルーアもサーシャ、ヨシュアも3等分する事に対し何も不満は無いようだ。なので報酬は綺麗に各パーティが、100万ゼニーずつ受け取るという事で話はまとまった
早い話が聖騎士勇者隊も、アルバート家族隊も資金的にはかなり余裕があるので、金額は問題ではないようだ



【アルバート家】
「ただいまですの!」
「ただいまですノ!」

その日の昼を回った頃、三姉妹たちは自分たちの家であるアルバート家に帰ってきた

「皆さん!あの…大変なんです!」

彼らが帰るやいなや、ミルが駆け寄ってきた

「そんなに慌てて、どうしたよ?…そういや、ヒイロさんが見えねーな。工房で仕事中なのか?」

ミルだけが居てヒイロの姿が見えない事に気が付いたヨシュアの言葉に、ヒイロは常にこの家に居るのが当たり前だ。と思っていた三姉妹も、慌ててキョロキョロ見渡したが…ヒイロは居ない
みんなから「どうかしたの?」と聞かれて、ヒイロが居ないことを説明するミル

「じゃあ…お兄ちゃんはぁ、そのロベルト叔父さんについて行ってぇ、マリニウム城って所に向かったのぉ?」

「はい、そうなんです…成人される王子様の為に…ハイミスリルソードを…作られたのですが…その王子様に会って欲しいと…頼まれてしまって…その…皆さんもいつ戻るのか?分かりませんでしたからヒイロさんは…」
 

アリスの質問に答えたミルの話の内容を聞き、顔色が悪くなるカルーア

「なんだか…嫌な予感がする…ねぇ!早くわたし達もマリニウム城って所に向かおうよ!」

「まぁ待てよカルーア。誰か、その場所への道に詳しいヤツは居るのか?適当に出掛けても余分に時間を喰うだけだろ?」

予想外のヒイロの遠出に焦るカルーアを、ヨシュアが冷静に分析して話をしていた

「それは、そうなんだけど……嫌だ…わたしは姉さんが居なくなった時や、その後サーシャがイキナリ死んじゃった時の様な…イシスで母さんの遺体を見る様な想いは……もう、したくないんだよ…」
 

過去の家族を失った時の事を思い出しているカルーアの顔色は、どんどん悪くなっていった

「コンコン!お邪魔するよ」

その時、玄関のドアがknockされ聖騎士勇者隊の3人が室内に入ってきた

「聖騎士勇者隊みなさん~どうかされたのですか~?」

玄関に近い所に立って話を聞いていたエルデスが、聖騎士勇者隊を中へ誘った

「これはアリスちゃんのミスリルソードですよね?冒険者ギルドに忘れていましたよ?」

「あっ!本当だぁ。有難うございますぅ♬」

「剣士が武器を忘れるなんて…アリスお姉さま。しっかりしてくださいですの…」

ミャンジャムは、アリスがギルドに忘れて行ったミスリルソードを渡しに来てくれたようだ

「それは、さておきですね。私(ワタクシ)は王都に務めている時に、マリニウム地方に出掛けるロード王の護衛でマリニウム城に行ったことがありますので、少しは道案内が出来ると思いますわ」

「本当かい?それなら是非にお願いするよ!」

こうしてアルバート家族(ファミリー)は、聖騎士勇者隊を道案内として雇い、ヒイロが向かったマリニウム城に旅立つのだった



続く
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