引き籠もりVTuber 配信者編

龍之介21時

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伊賀の隠れ里

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【鳳凰の間】

「失礼します。カラカラカラ…」

3人の会話が終わったのとほぼ同時に茜が部屋に入ってきた
(もしかして待ち構えていた?)
偶然ではなく外で亜沙美たちの会話が一段落つくのを待っていたのかも知れない?と1人察するロミータ

「どうぞ遠慮なく食べてくださいね」

「ありがとう♪」
「茜ちゃんは食べないの?」

「両親のお手伝いをして参りますので…それに、私が居るとVTuberの配信…今回の場合ですと録音するのに邪魔になってしまいますので…収録が終わりましたら広間のテーブルの上の呼び鈴を鳴らしてくださいね」

そう言うと再び茜は部屋を出て行った

「凄くできた妹さんだよねぇ…」

「とてもじゃないけど中学生とは思えないわね」

「ロミーより2つ下なんでしょ?内面だけで言えば、スノウ先輩と同じくらいシッカリしてるわよね」

「うん。確かにスノウさんと話してるみたいだねぇ…」

会った時からシッカリしている女の子のイメージが強かった茜だが、この家?旅館?に着いてからは彼女の大人な行動はより強くなっていた



【収録開始】
「敬礼!!聞こえているか?俺様は貴様らの上官デザート・イーグル大佐だ!今回は特別にロミーとアミと俺様の3人で伊賀市の温泉旅館に来ている!そして喜べ!特別に許可を頂いたので、VTuber3人の温泉旅行を特別に聞かせてやる。光栄に思うんだな!」

ミネア・イーグルスは、さっきまでの大人しい話し方から一転して、亜沙美がデビュー配信で話した時のイーグル先輩の話し方に変わっていた

(ねぇねぇ…どっちが本物のイーグルさんなのぉ?)
(イーグルは二重人格と言って良いレベルで、配信時とプライベートのオンオフが激しいのよ)

マイクには乗らない程度の小声でヒソヒソ話す亜沙美とロミータだが…

「おい貴様ら!何をヒソヒソ話しているのか!配信は始まっているのだぞ!まずは自己紹介だろうがっ!」

完全にエルフ軍人配信者になり切っているイーグルから、亜沙美とロミータに喝が飛んだ

「皆さん、こんアミーゴ!AAダブルエーVTuberの浅宮アミで~す♪私たちは3人で旅行に来ているんだよォ♪」

「やぁ、みんな待った?イングランド配信者のロミーよ。今回はこの3人で、三重県は伊賀市に有る温泉旅館からお送りするわね♪」

今回はパソコンや専用機材が無いので、スマホの音声のみでの収録になる。このデータを使い後に3人がそれぞれの配信枠で、自分のアバターと2人の立ち絵を貼って配信に使うようだ

「ようし!それで良いんだ!…良いか視聴者(ぶか)共、耳の穴をかっぽじってよく聞け!今夜は俺様が盟友のロミーと共に、我が部隊に配属された(コンプリに入った)ばかりの新人アミの事を根掘り葉掘り聞き出し、貴様らに伝えてやるから光栄に思えよ!」

イーグルはいつもの配信時のように、大きくて強いハリのある声で話していた

(さっきまでゼーハー言ってたのに、凄い変わり様…プロだねぇ)

(だから言ったでしょ?二重人格のようだって…)

「貴様らー!!配信(ほんばん)中だと言っとるだろうがっ!私語は慎むように!」

どうやらミネアは配信が始まると完全に演者としてのスイッチが入るようだ


「実はだな、ロミーがアミの配属祝いに温泉旅行をプレゼントするという話を聞きつけた俺様がだな、2人を保護観察してやろうと思い今回の旅行に馳せ参じた訳だ!」

「あ、有難うございます…」
(どうしても付いて行きたい、って言ってきたんだよねぇ?)

「はいはい、そういう事にしといてあげるわ。とにかくね、ロミーはアミの可愛いらしさを広く伝えられたら満足よ」

どうやら収録中は、完全にイーグルに引っ張られる形になるようだ


「ロミーはアミと同棲しているらしいな?」

「そうよ、アミの可愛いさはロミーにとって唯一無二の癒しなのよ。こればかりはロミフレでは足りないのよ。同じ配信者で、同じ女子高生のアミだからこそなのよ。ロミフレのみんなには悪いと思っているけどね」

「そうとう気に入っているようだな!当然ながら今回が2度目の俺様には、まだまだアミの良さはわからん!俺様と俺様の部下にも伝わる様にシッカリ説明して欲しいものだな!」

あまりにも力強くハキハキ話すイーグルの口調に、完全に置いてけぼりにされている亜沙美。ほぼ同期であり意志の強いロミータが亜沙美に代わり返事をするような形になっていた

……………………………………………

「なるほどな。盟友ロミーよ、貴様の説明でかなりアミの良さが伝わったぞ。それでは視聴者(ぶか)共よ、俺様たちはこれから食事に入るため一旦収録を停止するが…この旅館には露天風呂が有るのだ。しかも!特別許可をもらっているので…露天風呂配信をしてやるぞ!光栄に思え!このイーグル様の粋な計らいに感謝するのだ!あーハッハッハ♪」

高らかな笑いとともに、一旦録音を終わりにしたミネアは、広間のテーブルの真ん中に置かれている呼び鈴を押した

「チリン♪」
「お待たせしました。料理を中へ運ばせていただきます」

「ええっ!?早すぎない?押したばっかりだよぉ?」
「まさか、待ち構えてたの?」
「す、凄いですね…」

ミネアが呼び鈴を押した手を上げる前に襖(ふすま)が開き始め、茜とその両親の3人が豪華な食事を中へと運び込んだ



続く
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