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暗躍する女助手たち
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【依頼】
「あの…保留にしていたあの件の返事が決まったの。それで是非お願いしたいのだけど…」
「物分りの悪いヤツよのぅ…当店はスナック【希望の華】だと前回言ったであろう?」
「そんな!?返事は今月中で良いと?」
オリビアは、前回訪れた大黒埠頭にあるスナックで、店主であるリオンという男に最終的な返事は保留にさせてもらっていたのだ
コンプリの社長こそがメルルを妊娠させ、契約解除にまで追い込んだ張本人だと分かった今ならば、彼らにちゃんと依頼出来るのだが…
「オリビアと言ったか?お前さん…陽のあたる場所で生き続けてきたようじゃのぅ。影の世界の話を電話で済まそうとは、軽率が過ぎるのではないか?」
「あ!分かったわ…今からお店に向かいます」
「うむ!待っておるぞ♬」
探偵としての仕事を彼らに頼むには直接、大黒埠頭にある店まで足を運ぶ必要がある事を理解したオリビアは、金髪幼女との通話を終わらせると別の相手に掛け直した
「…プルルルル…プルルルル…スノウ?ごめんなさい!メルルの件について、ちゃんと説明する為に、もう少し時間が必要なの。それまでメンバーの世話をお願いしても、構わないかしら?」
「…また1人で何もかも背負い込むつもりじゃないでしょーね?前に言ったわよね?今度大切なことを黙ってやったら許さないって!」
「……ごめんねスノウ。今回は少し正攻法じゃないやり方をしなくちゃならないの。最悪、手を後ろに回すことになるかも知れないわ。だから貴女には…」
「また私に貧乏クジを引かせる気だって事はよくわかったわ…仕方ないわね。後でちゃ~んと説明してもらえるのよね?…せめて1週間で済ませてよ?」
「ありがとう!上手く行ったら…高級焼き肉をご馳走させてもらうわね」
「……楽しみにしてるわ…ガチャ」
ちゃんと説明が出来るようになるまで、メンバーをなだめていて欲しいと同期のスノウにお願いしたオリビアは、愛車のアクアのエンジンをスタートさせ、力強くアクセルを踏み込んだ!
大黒埠頭のスナックを目指して走行するオリビアのアクアを、付かず離れずの位置で追走する黒塗りのセダン車に気が付いていなかった
【希望の華】
「ガラン…お邪魔させてもらうわ」
「仕事の返事がもらえるらしいな?取り敢えず奥の部屋に来てくれ。メイビーは?」
「ワラワか?…そうじゃのぅ…ハイエナが付いてきおったみたいなんで、追い払っておくとするかのう(笑)」
前回、オリビアが店に来た時には「当然ワラワはリオンと同席する!」と当たり前のように言っていたメイビーだが…今回は「ハイエナを追い払っておく」と言っている
「えっと…それって?」
「良い良い。暇つぶしのゲームみたいなものよ…運動にもならんかも知れんがのぅ(笑)」
そして、彼女は嬉しそうに1人で店の外へ出て行った
「杏樹さんは…どうします?」
「私はさっきまで居たお客さんが使った食器を洗っているから、仕事の話はソアラに任せるわね~♬」
「そうですか?じゃあ…僕がリオンと♪」
中学生くらいの黒人ハーフのソアラは、滑らかに喋るのは苦手なようだが…今回は自分がリオンに付き添えることの嬉しさが、彼女なりに顔に出ていた
【店外駐車場】
「おい!誰にも不審がられないように注意してろよ」
「その車、どうするんすか?」
「速度が80kmを超えたらブレーキが効かないように細工してるのさ。早めに気が付きゃ物損事故で済むが…飛ばし過ぎたら最悪、一生車椅子生活になるかも知れねーな」
「ひぃ~。兄貴、悪者っすね~♬」
東京からオリビアの乗るアクアを追っていたセダン車に乗っていた男2人が車を降りて、アクアのボンネットを開けて何やら細工しているようだ
「ふはHAHAHAHAHAHA♪」
「なっ!?誰だ?」
「幼女(ガキンチョ)?」
「その車の持ち主はワラワの店の客でのぅ。当店を利用した直後に大怪我をした!などとあっては欲しくないんじゃよ…分かるよなぁ?(笑)」
「んだテメェ!?」
「コイツは…」
「大方あの社長に金で雇われたのじゃろぅ?はした金でワラワやリオンに喧嘩を売るのは、賢い者のすることではない!と忠告しておくが…素直に聞く気はあるかのぅ?」
40代半ばの「先輩」と呼ばれている方の男は、メイビーに見た目からは想像できない何かを感じて用心していたが…
20代後半のガタイの良いチンピラ崩れのような男は、10歳手前にしか見えないメイビーから、舐められた態度を取られているのが気に食わないようで、考える間もなく彼女に殴りかかっていた
「なるほど。よく鍛えてあるようじゃな。力任せに突っ込んで来るのも分からなくはないな…じゃがっ!!」
自分の倍くらいの背丈の筋肉質の男が、本気で殴りかかって来ているのだが、メイビーは自信満々にその男を迎撃する
【希望の華】
の奥の部屋に、店主のリオンと黒人ハーフのソアラと一緒に入ったオリビア
「前に説明した思うが…この部屋はジャミング効果を施してあってな、外部からの盗聴や盗撮を一切心配しなくて良い造りな
んだ」
「えぇ!?…そんな話は初耳だけど…」
「言ってなかったんですね隊長(キャプテン)」
「あれ?言ってなかったか?」と軽く済ませようとするリオンに対し、「そんな大切な話はしないとダメでしょ?」と言わんばかりのオリビアとソアラだった
「めんどくさいのでイッキに説明させてもらうぞ…」
「またですか…」
本当に、このリオンという日系ハーフの男はめんどくさい事が嫌いなようだ
「まず、コンプリのメンバー【蒼空メルル】は控え目で真面目な性格の配信者として活動していたが…同期のロミータにチャンネル登録者数で大負けしていて気に病んでいた」
「えぇ、そんな時にロミーが「大切にしたい可愛い子」と言ってアミちゃんを連れて来たから、メルルはかなり焦っていたらしいわ」
「そんな彼女(メルル)は、よりにもよって社長にそうだんを持ち掛けてしまった。はっちゃけた言動や危険なセンシティブワードを使うのが、人気になる簡単で手っ取り早い方法らしいな…」
「しかし、メルルはそういったトークをするのは苦手な性格だった。だから社長は…」
「直接、自分の手でメルルを抱き、肉体関係を持つことでセンシティブワードへの抵抗感を無くさせた訳だな」
「けど!度重なる行為は、彼女のお腹に新しい生命を与えてしまった。ソレを知った社長は、メルルの傷を軽くする為だと言い…」
「メルルを契約解除してしまった。ソレを貴女(オリビア)は許せないし、メルルを配信界に残してあげたいのだな?」
「もちろんよ。お願い出来るかしら?」
「……………………………………………」
「えっ?何!?」
ここまでの話し合いで、オリビアの希望とリオンの解釈が一致したと感じていたのだが、彼がイキナリ黙り込んだのでビックリした
「いや、俺が泥を被るのなら構わないんだが…社長に報復し、メルルを生き残らせようとするとどうしても、俺の代わりに助手の誰かに汚れ役を頼まないとイケナイ」
「なるほどね…どうすれば良いの?」
「彼女(メルル)と話がしたい」
【中央海浜公園】
川を挟んで西向かいに【大井競馬場】が見える大きな公園に、蒼空メルルは来ていた
「初めて来たけど…犬の散歩か、ジョギングしてる人が多いなぁ…あ!?雨だ…」
この公園は、メルルの住んでいるマンションからかなりの距離があるので、オリビアのマイカーに乗せてきてもらったのだが…急かされて来たので傘を持っていない
「………濡れちゃった…」
「ある男が貴女に会いに来るから、指定されたベンチで待ってなさい」とオリビアに言われたメルルは、小雨程度だったとはいえ濡れながらイスに座っていた
「お嬢さん。そのままだと風邪をひくぜ?」
「……貴方がリオンさん?」
声に振り返ると、上下ジーンズに身を包んだ日系ハーフの背の高いアメリカ人の男が立っていて、椅子に座るメルルを見下ろしていた
「そうだ。仕事の都合でキミを知る必要が出てしまってね。こうして逢いに来たのだが…」
小雨は数分降り続くと次第に快晴に向かった。メルルは少し濡れた程度だったが…薄めの生地の服を好んで着る彼女なので、上着のシャツがうっすら透けている
「大丈夫です。少しすれば乾くから…僕は大丈夫です…」
頬を赤く染め、恥ずかしさでうつむき加減なメルルだったが…口では大丈夫と言っている
「そうか…なら、回りくどいのは苦手なんで、ストレートに聞かせてもらうぜ。キミは今後も配信者を続けたいのか?」
「えっ!?そこまで知っているんですね…」
ブイチューバーは身バレを防ぎながらする仕事だ。初対面の相手にイキナリ、バレていては驚きは隠せなかった
「お腹の子も産んで育てたいのか?
配信者としても頑張り続けたいのか?
キミはブイチューバーが好きなのか?」
「ガシッ!」
「はい、大好きです!子供も配信者もコンプリのみんなも大好きです!」
今後を左右する大切な質問をされたにも関わらず、メルルは全く悩むこともなく、リオンの手を両手で掴んで、彼の顔を見上げながら力強く返事した
「…ふ。気持ち良いほど清々しい目だ…良し!引き受けよう」
「本当ですか?」
「モニュン❤︎」
「ふえっ!?」
「とは言え、お嬢さんはスキが大き過ぎるな。プライベートでも支えてくれるパートナーが必要だな。オリビアに伝えておこう」
そう言うとリオンはメルルに背を向け、駐車場に止めてあるセダン車に乗り込んだ。すると車は小刻みに揺れた。どうやら待っていた彼の助手(パートナー)に叱られているようだ
「良かったわ。引き受けてもらえたようね」
「オリビア先輩?」
遠くから2人の様子を見守っていたオリビアが、話が終わったのを見計らって声を掛けてきた
「彼が物語を仕込んでくれるらしいわ。貴女は【またしても何も知らないメルルちゃん】を演じて自宅待機してなさい。分かった?」
「はい。あの、僕…配信者のままで…【蒼空メルル】のままで活動続けられるんですか?」
女性ライバーがイキナリ妊娠していた事を世間に発表したら…十中九十(じゅっちゅうきゅうじゅう)は終わるだろう
「あの男は信用出来ると思うわ。めんどくさそうな演技をしてるけど、意外と紳士的な行動をしてるもの」
「だけど僕、たった今、胸揉まれましたよ?」
「Σ(゚д゚;)えっ!?…そうなの?」
どうやら100%信用しきるのは難しいかも知れない。しかし、彼女たちはリオンたちの行動に期待するしか無いのだ
続く
次次回 最終回です
「あの…保留にしていたあの件の返事が決まったの。それで是非お願いしたいのだけど…」
「物分りの悪いヤツよのぅ…当店はスナック【希望の華】だと前回言ったであろう?」
「そんな!?返事は今月中で良いと?」
オリビアは、前回訪れた大黒埠頭にあるスナックで、店主であるリオンという男に最終的な返事は保留にさせてもらっていたのだ
コンプリの社長こそがメルルを妊娠させ、契約解除にまで追い込んだ張本人だと分かった今ならば、彼らにちゃんと依頼出来るのだが…
「オリビアと言ったか?お前さん…陽のあたる場所で生き続けてきたようじゃのぅ。影の世界の話を電話で済まそうとは、軽率が過ぎるのではないか?」
「あ!分かったわ…今からお店に向かいます」
「うむ!待っておるぞ♬」
探偵としての仕事を彼らに頼むには直接、大黒埠頭にある店まで足を運ぶ必要がある事を理解したオリビアは、金髪幼女との通話を終わらせると別の相手に掛け直した
「…プルルルル…プルルルル…スノウ?ごめんなさい!メルルの件について、ちゃんと説明する為に、もう少し時間が必要なの。それまでメンバーの世話をお願いしても、構わないかしら?」
「…また1人で何もかも背負い込むつもりじゃないでしょーね?前に言ったわよね?今度大切なことを黙ってやったら許さないって!」
「……ごめんねスノウ。今回は少し正攻法じゃないやり方をしなくちゃならないの。最悪、手を後ろに回すことになるかも知れないわ。だから貴女には…」
「また私に貧乏クジを引かせる気だって事はよくわかったわ…仕方ないわね。後でちゃ~んと説明してもらえるのよね?…せめて1週間で済ませてよ?」
「ありがとう!上手く行ったら…高級焼き肉をご馳走させてもらうわね」
「……楽しみにしてるわ…ガチャ」
ちゃんと説明が出来るようになるまで、メンバーをなだめていて欲しいと同期のスノウにお願いしたオリビアは、愛車のアクアのエンジンをスタートさせ、力強くアクセルを踏み込んだ!
大黒埠頭のスナックを目指して走行するオリビアのアクアを、付かず離れずの位置で追走する黒塗りのセダン車に気が付いていなかった
【希望の華】
「ガラン…お邪魔させてもらうわ」
「仕事の返事がもらえるらしいな?取り敢えず奥の部屋に来てくれ。メイビーは?」
「ワラワか?…そうじゃのぅ…ハイエナが付いてきおったみたいなんで、追い払っておくとするかのう(笑)」
前回、オリビアが店に来た時には「当然ワラワはリオンと同席する!」と当たり前のように言っていたメイビーだが…今回は「ハイエナを追い払っておく」と言っている
「えっと…それって?」
「良い良い。暇つぶしのゲームみたいなものよ…運動にもならんかも知れんがのぅ(笑)」
そして、彼女は嬉しそうに1人で店の外へ出て行った
「杏樹さんは…どうします?」
「私はさっきまで居たお客さんが使った食器を洗っているから、仕事の話はソアラに任せるわね~♬」
「そうですか?じゃあ…僕がリオンと♪」
中学生くらいの黒人ハーフのソアラは、滑らかに喋るのは苦手なようだが…今回は自分がリオンに付き添えることの嬉しさが、彼女なりに顔に出ていた
【店外駐車場】
「おい!誰にも不審がられないように注意してろよ」
「その車、どうするんすか?」
「速度が80kmを超えたらブレーキが効かないように細工してるのさ。早めに気が付きゃ物損事故で済むが…飛ばし過ぎたら最悪、一生車椅子生活になるかも知れねーな」
「ひぃ~。兄貴、悪者っすね~♬」
東京からオリビアの乗るアクアを追っていたセダン車に乗っていた男2人が車を降りて、アクアのボンネットを開けて何やら細工しているようだ
「ふはHAHAHAHAHAHA♪」
「なっ!?誰だ?」
「幼女(ガキンチョ)?」
「その車の持ち主はワラワの店の客でのぅ。当店を利用した直後に大怪我をした!などとあっては欲しくないんじゃよ…分かるよなぁ?(笑)」
「んだテメェ!?」
「コイツは…」
「大方あの社長に金で雇われたのじゃろぅ?はした金でワラワやリオンに喧嘩を売るのは、賢い者のすることではない!と忠告しておくが…素直に聞く気はあるかのぅ?」
40代半ばの「先輩」と呼ばれている方の男は、メイビーに見た目からは想像できない何かを感じて用心していたが…
20代後半のガタイの良いチンピラ崩れのような男は、10歳手前にしか見えないメイビーから、舐められた態度を取られているのが気に食わないようで、考える間もなく彼女に殴りかかっていた
「なるほど。よく鍛えてあるようじゃな。力任せに突っ込んで来るのも分からなくはないな…じゃがっ!!」
自分の倍くらいの背丈の筋肉質の男が、本気で殴りかかって来ているのだが、メイビーは自信満々にその男を迎撃する
【希望の華】
の奥の部屋に、店主のリオンと黒人ハーフのソアラと一緒に入ったオリビア
「前に説明した思うが…この部屋はジャミング効果を施してあってな、外部からの盗聴や盗撮を一切心配しなくて良い造りな
んだ」
「えぇ!?…そんな話は初耳だけど…」
「言ってなかったんですね隊長(キャプテン)」
「あれ?言ってなかったか?」と軽く済ませようとするリオンに対し、「そんな大切な話はしないとダメでしょ?」と言わんばかりのオリビアとソアラだった
「めんどくさいのでイッキに説明させてもらうぞ…」
「またですか…」
本当に、このリオンという日系ハーフの男はめんどくさい事が嫌いなようだ
「まず、コンプリのメンバー【蒼空メルル】は控え目で真面目な性格の配信者として活動していたが…同期のロミータにチャンネル登録者数で大負けしていて気に病んでいた」
「えぇ、そんな時にロミーが「大切にしたい可愛い子」と言ってアミちゃんを連れて来たから、メルルはかなり焦っていたらしいわ」
「そんな彼女(メルル)は、よりにもよって社長にそうだんを持ち掛けてしまった。はっちゃけた言動や危険なセンシティブワードを使うのが、人気になる簡単で手っ取り早い方法らしいな…」
「しかし、メルルはそういったトークをするのは苦手な性格だった。だから社長は…」
「直接、自分の手でメルルを抱き、肉体関係を持つことでセンシティブワードへの抵抗感を無くさせた訳だな」
「けど!度重なる行為は、彼女のお腹に新しい生命を与えてしまった。ソレを知った社長は、メルルの傷を軽くする為だと言い…」
「メルルを契約解除してしまった。ソレを貴女(オリビア)は許せないし、メルルを配信界に残してあげたいのだな?」
「もちろんよ。お願い出来るかしら?」
「……………………………………………」
「えっ?何!?」
ここまでの話し合いで、オリビアの希望とリオンの解釈が一致したと感じていたのだが、彼がイキナリ黙り込んだのでビックリした
「いや、俺が泥を被るのなら構わないんだが…社長に報復し、メルルを生き残らせようとするとどうしても、俺の代わりに助手の誰かに汚れ役を頼まないとイケナイ」
「なるほどね…どうすれば良いの?」
「彼女(メルル)と話がしたい」
【中央海浜公園】
川を挟んで西向かいに【大井競馬場】が見える大きな公園に、蒼空メルルは来ていた
「初めて来たけど…犬の散歩か、ジョギングしてる人が多いなぁ…あ!?雨だ…」
この公園は、メルルの住んでいるマンションからかなりの距離があるので、オリビアのマイカーに乗せてきてもらったのだが…急かされて来たので傘を持っていない
「………濡れちゃった…」
「ある男が貴女に会いに来るから、指定されたベンチで待ってなさい」とオリビアに言われたメルルは、小雨程度だったとはいえ濡れながらイスに座っていた
「お嬢さん。そのままだと風邪をひくぜ?」
「……貴方がリオンさん?」
声に振り返ると、上下ジーンズに身を包んだ日系ハーフの背の高いアメリカ人の男が立っていて、椅子に座るメルルを見下ろしていた
「そうだ。仕事の都合でキミを知る必要が出てしまってね。こうして逢いに来たのだが…」
小雨は数分降り続くと次第に快晴に向かった。メルルは少し濡れた程度だったが…薄めの生地の服を好んで着る彼女なので、上着のシャツがうっすら透けている
「大丈夫です。少しすれば乾くから…僕は大丈夫です…」
頬を赤く染め、恥ずかしさでうつむき加減なメルルだったが…口では大丈夫と言っている
「そうか…なら、回りくどいのは苦手なんで、ストレートに聞かせてもらうぜ。キミは今後も配信者を続けたいのか?」
「えっ!?そこまで知っているんですね…」
ブイチューバーは身バレを防ぎながらする仕事だ。初対面の相手にイキナリ、バレていては驚きは隠せなかった
「お腹の子も産んで育てたいのか?
配信者としても頑張り続けたいのか?
キミはブイチューバーが好きなのか?」
「ガシッ!」
「はい、大好きです!子供も配信者もコンプリのみんなも大好きです!」
今後を左右する大切な質問をされたにも関わらず、メルルは全く悩むこともなく、リオンの手を両手で掴んで、彼の顔を見上げながら力強く返事した
「…ふ。気持ち良いほど清々しい目だ…良し!引き受けよう」
「本当ですか?」
「モニュン❤︎」
「ふえっ!?」
「とは言え、お嬢さんはスキが大き過ぎるな。プライベートでも支えてくれるパートナーが必要だな。オリビアに伝えておこう」
そう言うとリオンはメルルに背を向け、駐車場に止めてあるセダン車に乗り込んだ。すると車は小刻みに揺れた。どうやら待っていた彼の助手(パートナー)に叱られているようだ
「良かったわ。引き受けてもらえたようね」
「オリビア先輩?」
遠くから2人の様子を見守っていたオリビアが、話が終わったのを見計らって声を掛けてきた
「彼が物語を仕込んでくれるらしいわ。貴女は【またしても何も知らないメルルちゃん】を演じて自宅待機してなさい。分かった?」
「はい。あの、僕…配信者のままで…【蒼空メルル】のままで活動続けられるんですか?」
女性ライバーがイキナリ妊娠していた事を世間に発表したら…十中九十(じゅっちゅうきゅうじゅう)は終わるだろう
「あの男は信用出来ると思うわ。めんどくさそうな演技をしてるけど、意外と紳士的な行動をしてるもの」
「だけど僕、たった今、胸揉まれましたよ?」
「Σ(゚д゚;)えっ!?…そうなの?」
どうやら100%信用しきるのは難しいかも知れない。しかし、彼女たちはリオンたちの行動に期待するしか無いのだ
続く
次次回 最終回です
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