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第8章 現実と新世界と…編

ドワーフっ娘の… ひ・み・つ・?

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「で、【血統覚醒】って、何?」

対戦で自滅した全身筋肉痛のドワーフ娘を問い詰める。

「ゆ、言うもん!? つぁ…… や、やめ!?」

「お願い、教えて」

強情なドワーフ娘の脇腹を…… 突っつく!

「あぅん…… うぁん…… そこはダ、ダメ…… うあぁぁん!」

私の丁寧で入念な、〝お願い〟を続けると……

「ハァ…… ハァ…… ゆ、言う…… ハァ…… 言うから…… ハァ…… もう…… つ、つつかないで……」

私の誠意が通じた様だ……

「私は…… クォーターなの」

「クォーター?……って、何?」

「私は、【ドワーフハーフ】同士の子供なの。だから、2/4は多種族の血統なのよ」

彼女の話によると…… 彼女はドワーフでありながら、鬼人きじん族と竜人りゅうじん族の血統を持った存在……

「ドワーフの変異種?」

「【血統覚醒】に副作用があるなんて……」

「デメリットありのスキルは、けっこうあるからね」

「そうなんだ…… 覚えたばかりじゃあ、やっぱりダメか……」

「最近、覚えたの?」

「Lv20になったら覚えた…… 必殺スキルだと思ったのに……」

Lv20が解放条件のスキルなのかな?

「どうする? もう一度…… やる?」

「やめる…… 今の私じゃあ、勝ってないもの。やっぱり…… あの人は遠いなぁ……」

「あの人?」

「このゲームのCM見た? 凄い強い女性が出てるの! 私は、あの人の様になりたいの…… あの人みたいに強くなってみせる!」

CM…… CMの女性…… それって……

「どこにいるのかしら? あのシルエットの女性! 噂だと、王国の王都付近に居る獣人なんだよねぇ」

「そ、そうなんだ……」

どうしよう…… やっぱり…… 私の事だ。

「凄い攻撃するのよ! 格好も凄いけど…… 強さには憧れるけど、あの格好はちょっと…… 裸にエプロンはねぇ…… ないわ」

グッハァ! おのれ…… 変態黒スーツめ! 正体がバレるから、ゴスロリドレスが切り裂かれたシーンカットされて、流れたんだよね…… くう~! 裸じゃないのに! スク水着てるのに!

「もっと、Lvアップしないと……」

決意を新たにするドワーフ娘……

「そ言えば…… 何で、あんな事したの?」

「貴女が強いと思ったからよ。本当は、PKクラン相手に何処まで殺れるか…… 試すつもりだったんだけど」

「私達が邪魔しちゃったと?」

「まぁ…… 明らかに、小学生ぐらいの子がいたからしょうがないんだけどね」

「この後は、どうするの?」

「鍛え直しかな…… もっと強くなって、貴女に挑むよ」

「そう…… 一つ、良い事を教えるね。ここの洞窟には、秘密があるの……」

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「それじゃ、私は行くよ。情報ありがとう。私…… 強くなるよ!」

去って行く彼女を見送る。

隠しボスも、彼女なら大丈夫だろう。

石像ゴーレムは、打撃に弱いからな…… 素材が石だから割れるんだよね。

モーニングスターで、石像ゴーレム達を叩き割る彼女の姿が目に浮かぶ…… 楽しそうだな。

「で、何か用かな?」

「フッ…… 気付いていたか」

「貴方…… PKね。私…… それとも、彼女が狙いかな?」

「冷たいね。人の拠点潰して置いて」

「PKクランのクランリーダー? 復讐?」

「いや…… アレは彼奴が悪い」

「主犯はアカバンだったけ?」

「馬鹿がガキを巻き込みやがったからな。しかも、俺より先にヒーローと戦いやがって! 許せねぇ!」

このリーダーさん…… 戦闘狂だ。

「となると…… 狙いは、私かな?」

「ああ、苦労したぜ…… 柄にもなく掲示板に張り付いたりしてな。ヒーローと行動をともにした忍者の女の子…… それは、お前だな?」

「忍者ねぇ…… で、私に何の用?」

「関係者を狙えば、ヒーローが来るだろう?」

「発想が小悪党だけど、良いの?」

「俺は、強い奴と殺れれば、それで良い…… 悪いが餌になっれ!」

「ごめんだね!」

私は【闇移動】で、影に飛び込む!

「逃がすか!」ドン!

「チッ!? 閃光弾か!」

PKリーダーが投げた玉が閃光を放ち、影が消された!

「そこだ!」

「くっ!」

私の隙を突いて、PKが斬り込む!

「へぇ~…… お前、強いな」

危な! PKは変則的な二刀流…… 大剣と…… アレはメイスか? 斬撃武器と打撃武器だね。

大剣を避けたらメイスが来たので、障壁で受けながら後ろに飛んだ。

「いったいどんな腕力してんのよ…… 両方とも、両手武器でしょ?」

PKの武器は、両方ともに片手で振るには…… 明らかにデカイ! このPK…… ドワーフ娘の腕力を軽く超えてる!?

「それは種族特性とスキルってヤツさ…… こんな事も出来る!」

PKが距離を詰める!

来る! 障壁を!?

「グゥ! ぎゃあ~!」

私は、障壁を抜けた衝撃に吹き飛ばされた!

「どうだ? 【貫通攻撃】の威力は?」

【貫通攻撃】…… ヤバイな…… 名前からして、防御無効系か? HPが2/3持ってかれた! 連続で当たると死ぬな……

「もう一度、食らえ!」

「嫌です!」

私は【土魔法】で壁を作り、その影に【闇移動】を発動!

私は、遠くの影から様子を伺う……

「くっそがぁ! 楽しくなって来たのに! 逃げるな! 俺と戦え!」

よし、逃げよう!

【貫通攻撃】対策しないとダメだね。

「主さま! そのお姿は!?」

「えっ、あっ! 回復するの忘れてた」

PKの攻撃で受けたダメージを、そのままにした私の姿にロッテ達が…… PKに報復を始め様とするのを止めるのが大変でした。

その時のロッテ達とせっちゃんの様子に……

(次は、ちゃんと回復しよう……)と、心に誓うカナエでした。

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