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第9章 新世界狂想編 

神国に出発! その時、いろいろ起きていた…

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マリー様を連れてモフモフ村に行ったり、ゼロード様のダンジョンコアに触れて【魔導ダンジョンの知識】をいただいた後……

魔法国の王様に呼ばれたので、私達は謁見の間に居ます。

「この度は、この国を救って貰い…… あらためて礼を言おう」

「報酬もいただいたし、ムカつく相手をボコッただけです」

「うむ、実はな…… そなた達が神国を目指していると聞いたが…… まことか?」

「はい、私達の目的地は神国です」

「左様か…… 実は、この度の騒動の主犯…… 元第5王子シュナイザーが神国に出入りしていた事が判明した」

「では?」

「シュナイザーのおこない…… 人の魔物化と禁忌とされる薬物などが…… 神国から持ち込まれた可能性が有る。我国は、神国の国境を一時閉鎖する事にした」

「この国から神国に入れないと?」

「コレを国境警備の兵に見せなさい」

「コレは?」

「通行許可の印だ。世話になったそなた達の邪魔をする気は無い。それが有れば、我国に入れる様に手配しておこう」

「「「「「ありがとうございます」」」」」

「では、私が国境まで転移魔法で送ろう」

「カナエ様、ありがとうございました」

「マリー様、あのこ達と仲良くね」

「はい、大事に育てます」

「私も協力して立派な使い魔にするぞ。では、送るぞ」

「「「「「はい」」」」」

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 ~ とある神国の村 ~

「この辺りか?」

「ああ…… 情報通りなら、この辺りに【毒薬士】が潜伏してる」

神国に拠点を持つクランの中でも、トップの実力派クラン【救世主メシア】のメンバーは……

神国の首都に近い、とある村の中を捜索していた。

「あの異常者め! こんな目と鼻の先に居やがるとわな」

「まったくだぜ! あんな薬をばら蒔くなんて…… 狂ってるとしか言い様が無い」

神国では……【薬】により、崩壊の危機が迫っていた。

1人の蒼人プレイヤーがばら蒔いた…… 数々の【薬】が神国を徐々に蝕んでいったのだ。

蒼人プレイヤーは、【毒薬士】と言われるPK…… ばら蒔かれた【薬】は……

神々の戦いの時に、【魔神】が使ったとされる……【魔薬】だった。

魔神が使った魔薬は……

人々の気力を奪い生きた人形に変える【人形薬】。
人々の身体を魔物に作り変える【魔物薬】。
生きた種族を材料にし、その特性を使った者に与える【命薬】……

そして、それらの魔薬に耐えられずに、死んだ者達をアンデッドに変える……【不死薬】。

反乱の眷属神に付いて魔神化した者達の中でも、もっとも怖れ嫌われた……

二柱の魔神【狂喜のイデア】と【好奇のアピレス】。

かの者達は…… 神々の戦いの時に、その性格の残虐非道ぶりに神々と英雄達が討ち取ったが……

魔神になる程の二つの狂った魂が呼び込んだのか…… 魔薬が神国を呑み込もうとしていた。

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 ~ とあるモニタールーム ~

「やられたわ…… まさか、アイツと繋がってるとは!」

「お義兄さんの差し金かな?」

『あり得るわね…… とりあえず都市部は浄化するわ。開拓地迄は手が回らないけど』

「お願いね。開拓地には、緊急クエストとして緑人の都市部に避難クエストを出して対応するわ」

「神国は隔離するね…… これで蒼人以外の通り抜けは、出来ないよ」

「アイツを手引きしたのは…… 間違えなく、あの男でしょうね」

「だろうね…… テストプレイヤーのデータを探っていた痕跡がある」

『狙いは?』

「帝国の権限を上げる為と帝国勇者の地位向上…… そして、私達の無能を暴く!…… かしらね?」

「現在進行形で、営業妨害中だけどね」

「アイツをコントロール出来ると思う?」

『あの子には…… と言うより、誰でも無理ね』

「彼は…… 自分の興味ある事しかしないよ。ある意味、1番の危険人物だ。テストプレイの時も…… 興味本意で【白虎の里】を滅ぼし、スレイブの建国に携わった…… 今回の魔薬もそう」

「効果に興味が在ったのね?」

「そう…… だから、新世界に彼を招く積りは無かった」

『テストの時に、月を落とそうとしたしね』

「いずれにしても、私達が発見出来ないと言う事は」

「違法なアクセスで新世界にいるね…… 直ぐにウイルスチェックとメインサーバーを調べるよ!」

「お願い! 私の方でも、うてる手は全部うつわ…… 今回は許さない!」

『ええ…… たった1人の興味の為に、この世界を滅ぼされては堪らないもの』

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 ~ とある神国首都圏近くの開拓地 ~

「くっ! コイツ……【牧場】の合成獣キメラか!?」

「王国を攻めた帝国軍に居た奴か?」

「何故、此処に?」

「【牧場主】が、帝国が買ったと言っていたからな…… 誰かに売り付けたのかもな!」

デンライが、向かって来た合成獣キメラをぶっ飛ばす!!

「デンライ、イヅナちゃん、先に行け!」

「「ジノさん!?」」

「此処は、任せろ! 緑人達を頼む」

「ジノさん…… イヅナちゃん、行くぞ!」

「でも……」

「俺達は死に戻るが、緑人達は感染したらアウトだ!」

「くっ! ジノさん、御武運を」

「直ぐに追い付くさ……」

デンライとイヅナを追う合成獣キメラを蹴り飛ばし、ジノが【ベル】に話し掛ける。

「悪いな…… ベル」

『マスター…… だいじょぶだよ。ちょっぴり眠るだけだから…… マスター、私が眠る間…… 気を付けてね』

「ああ…… やるぞ!」

『了解!』

ジノは…… 群がる合成獣キメラに、変身ベルト【ベルチェ】に蓄えた力を全開放した!!!

辺りは…… 眩い光に包まれたのであった。

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