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第11章 神々の魔王と勇者育成計画編

現れたのは…… 勇者(ロール)プレイヤー? そして、始まるのは…… 勇魔対決イベント!?

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「来たか…… 勇者よ」

商業連合の外れに在る小国の王城……

その謁見の間で玉座に座る王に、一人の青年が膝間付く……

青年は、その小国に現れた蒼人プレイヤーの〝勇者〟である。

「王様、お呼びにより…… 勇者【コウイチ】参上しました」

「うむ…… 勇者よ、そなたを呼んだのは他でもない…… 我が国が所属する商業連合の地に、〝魔王〟の拠点が在るとの情報が入った…… 勇者よ、魔王の討伐を頼みたい」

「「「「「!?」」」」」

王から、魔王と言う言葉が出た事で…… 謁見の間がざわつき始める!

「王様…… この国の勇者として、魔王討伐に向かいます!」

「うむ…… 大臣よ、例の物を……」

「ハッ! 勇者よ、こちらをお持ち下さい」

「この〝剣〟は……!?」

「我が国に伝わる伝説の〝不壊の聖剣【アンチ・ブレイク】〟だ…… けっして〝折れぬ剣〟として伝わっている聖剣だ。魔王討伐に持って行け」

「後は、旅の資金1万Gと各アイテムを数種類です」

「さあ、勇者よ、旅立つがよい!」

「ハッ、必ずや! 魔王を討伐して参ります!」

聖剣持ち、小国から一人の勇者が魔王討伐に旅立った。

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 ~ 魔王クラン【魔王の夜会】~

魔王の夜会の居城【夜会城】に〝7人〟の魔王が集まっていた。

「信者からの情報…… 勇者達が此処を捜してるらしい」

「魔剣と教祖が接触した事から、解っていた事ですが…… このままでは、発見されるのは時間の問題ですね……」

「すまん」「申し訳ない……」

「どうせ、こうなる事でしょう。それよりも、対策は…… もう考えてるんでしょうね?」

「不本意ですが……〝コレ〟を使う事にします」

「コレって……〝ダンジョンコア〟じゃない!? いいの?」

「王と挑戦者の頑張りで、数を用意出来ました。このコアを使い、夜会城周辺の魔境をダンジョン化して防衛する事にします」

「こんな数を……」

「王様、大丈夫?」

「挑戦者が狩ってきた〝ユニーク〟の魔石に骨が折れたが…… 中々の上物になったから、無駄にするなよ」

「城の強化とダンジョンコアを〝生み出する事〟で、王に負担を掛けましたからね…… ダンジョン製作は、私が受け持ちます」

「中々の充実だったが…… 狩りは終わりだな」

「ええ、貴方は我等の最強戦力ですから…… この夜会城の警護を頼みます」

「了解だ」

「すまぬが…… ダンジョンコアを複数…… 融通して欲しい」

「教祖? どうするの?」

「もしもの時に…… 信者達が作ってるサブ拠点も強化しておきたい……」

「我等は、常に狙われる側だからな…… 備えは必要だな」

「意義なし~♪」

「俺もない」

「私もないわ」

「皆さん、賛成の様ですね…… では、念の為に複数のコアを渡します。それぞれの逃げ場を用意して下さい」

「ふん…… 王たる俺には、必要無いがな……」

「そんな事を言わないの……〝あの御方〟を見付ける迄は…… 失敗する訳にいかない……」

「…… 王たる者、避暑地ぐらい持つ物だな」

「素直じゃないんだから♪」

「まあまあ…… それでは時間が無いので、急いで各自の避難場所を確保して下さいね」

7人の魔王は、各自の避難場所になる拠点を確保に向かった……

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 ~ 新世界運営 ~

「主任、勇者と魔王が、それぞれに動き始めました!」

「ログを確認! どうだ?…… 接触しそうか?」

「緑人の王から、魔王討伐の依頼を受けた勇者が現れました」

「おいおい…… まさか、めておんじゃないよな?」

「商業連合の小国で活躍中のコウ…… ワン?……さんです」

「誰だ? データを上げろ!」

「このプレイヤーです。名は、コウイチで…… 小国で緑人の信頼が高い勇者プレイヤーの様ですね」

「まともな勇者様か…… 開発室に連絡しろ…… 魔王達と勇者達がやり合うってな!」

「ついに、隠しイベントが発動ですか?」

「ああ、勇魔大戦イベントの始まりだ! 忙しくなるぞ!」

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ピコーン♪
「なんだ?」

「運営からだ……!?」

「おい…… 勇者と魔王の大戦イベントだってよ!」

「どっちの軍勢か、選べるのか?」

「選べる!? 普通なら…… 勇者側だけどねぇ?」

「勇者って…… めておんの事でしょ? 隕石に巻き込まれそうだよね?」

「でも、魔王側に誰が参戦するか不明なのがねぇ……」

新世界の蒼人プレイヤー達に、運営からイベント通知には……

〔勇者による魔王討伐が開始されました。これにより、隠しイベント【勇魔大戦イベント】が発動されます。詳しい日時などは、イベントログをご確認下さい。〕

〔隠しイベント【勇魔大戦イベント】について…… このイベントは、○○/○○~○○/○○までの期間に開催される勇者と魔王の大戦イベントです。貴方は参加されるならば…… どの軍勢に所属するかを選び、この大戦を〝生き抜いて〟下さい。

英雄になって魔王達を討つか、魔王軍を率いて勇者達を向かい討つか、貴方の自由です。

さあ、参加するか、選択して下さい。はい/いいえ〕

と言うメッセージに、蒼人プレイヤー達が沸き立つ頃……

「これは…… どういう意味かな?」

参加を押したカナエの元に通知が届く…… その通知には、こう書かれていた。

〔ご参加ありがとうございます。あなたは……【混沌神の軍勢】を率いて参加する事が決定しました〕

勇者側か魔王側で、多くのプレイヤー達が盛り上がる中……

カナエを始めとした〝一部のプレイヤー達〟が、勇者でも魔王でも無い〝第三〟の勢力として、参加が決定した事を……

多くのプレイヤー達は、知らずにイベントに突入するのだった。

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