上 下
353 / 464
最終章 妖精少女の夢は月光に…… 新世界を優しく煌めき照らす編 

激突する神と神!? 勇者から堕ちた邪神に挑むは…… 混沌神な妖精とヒーロー

しおりを挟む
挑戦者の魔王機神に攻撃に、腹部に穴が開いた魔神ロザウィンだが……

『お、おのれ…… よくもやってくれたな…… だが、この程度のダメージでは、魔神は死なぬ!』

『チッ!』

『さらに穢れが集まるのか!?』

同じ頃、王の魔王機神を前に追い詰められた魔神バショウハンも……

『どうした魔神よ…… 魔王ごときに反撃すら出来ないのか?』

『たかが魔王が…… 私を…… 私を追い詰めたつもりか!』

『ぬ!? 穢れが…… 魔神の邪神機に集まっていく!?』

『たかが魔王に使うとは…… 魔神の神髄を見て恐怖に沈むがよい!』

魔神バショウハンの乗る邪神機に穢れが集まるが……

『『!?』』

ロザウィンとバショウハンの二柱の魔神は〝異変〟に気付く……

『穢れが……』

『何故です…… 絶対神よ……』

魔神達が集めた穢れが目に見えて消えていく……

『くっ! おのれ…… 私すら捨て駒にする気ですか!?』

魔神達の集めた穢れを、多くの魔物や邪神機に護られて移動していた邪神が吸収し始めたのだ。

『手間取る貴様等の代わりに、我が邪魔で愚かな者達を一掃する…… その糧になるが良い』

魔神達から穢れを吸収した邪神が、襲撃邪神機に触れると…… 穢れが渦を巻いて襲撃邪神機を邪神ごと飲み込んだ!?

『さあ…… 愚息なる我が子よ。貴様の母と共に、我が身を覆う鎧となるが良い』

穢れの渦が消えて、襲撃邪神機だった物が現れる……

多くの穢れを吸収して30メートル級の姿になった襲撃邪神機の胸部の中央に女性の顔が現れて、頭部には禍々しい宝玉があり邪神のシルエットが浮かぶ。

どす黒い血の様な色をした機体からは…… 常に穢れが噴き出しては吸収されるを繰り返し、機体全体に走る血管の様な紅い模様の中を…… 脈を打つ様に妖しい光が移動していた。

『ギィギャアァァァァア!?』

『泣くな…… 醜い。やはり、我が子とて…… 雑種ではこの様か』

激しい痛みや苦痛に耐える様に吠える邪神機の頭部に比べて、胸部の女性の様な顔は恍惚の表情をしていた。

『ああ…… 今、私はあの方を包んでいる…… あの方が与えて下さる全ては…… 私の幸福…… この痛みや苦痛も……』

胸部の女性の顔…… それはかつて…… 魔神バショウハンが乗っ取った古代の大国の第3王女【クラリセナ】だった。

大国の末姫で可愛がられて育った彼女は…… やがて邪神になる勇者に恋焦がれた……

バショウハンは、その思いを利用して人形士の青年と同じ様に、クラリセナも麻薬漬けにして自分の手駒に加え……

神になった勇者が邪神に堕ちた時に、勇者と共にある為に魔神化すると……

神々の争いで、機神の登場に劣勢になった邪神は…… 自分が敗けた時を考え、彼女に自分の血を引く者を産ませる事にしたのだった……

邪神が討たれて争いは終わるが……

生き延びた魔神達の中にクラリセナの姿があった……

やがて、クラリセナが1つの魔神を産むが…… その姿は〝肉の塊〟の様な姿で産まれた……

手足や目も口も持たぬ存在として産まれた魔神に…… バショウハンやロザウィンなどの魔神は、邪神の存在を感じた。

その事により、敗北した時の切り札にロデスと玄黯が進めていた機神邪神機化計画のコアとして…… 強奪した機神に組み込まれたが……

長い年月をかけて邪神機化した機体の中で……〝肉の塊〟だった者は…… 人の姿に育ていた。

『ち、チチウエェ!?』

『フン…… 長い年月で、余計な自我に目覚めたか? だが、貴様に自我は不要…… 我が手足となりて、我に逆らう愚かな者達を屠るのだ!』

『ボウヤ…… 今こそ…… ハハと一緒ニ、アノ方の手足しニ……』

『ハハウエ!? イヤダ…… 痛イ…… ボクが…… 消エル…… ギィギャアァァァアァァァア!?』

『フン…… 邪魔な自我は消えて獣になったか? 少々五月蝿いが…… 手足には申し分は無い様だな…… さて、我に歯向かいし者達よ…… 絶対なる力の前に絶望して新たな穢れとなりて、我が血肉になるが良い』

邪神機の自我が消えたせいか…… 竜の様な尾が生え悪魔の様な姿に形状になった邪神機が嗤う……

『!? 始祖の機神から飛び出した邪神機から、高エネルギー反応!?』
『!? バリアフィールドフルパワー!』
『ダ、ダメです!? バリアの出力が上がりません!』
『殺られる!?』

嗤う邪神機の両肩に、穢れが集束した高エネルギーの球体が現れると…… 邪神機がゆっくりと指を射す方へ…… 高エネルギー球体が放たれ様とした瞬間!?

二本の閃光が高エネルギー球体を貫き、邪神の乗る邪神機を中心に周囲の魔物や他の邪神機を巻き込む大爆発が起きる!

『や、やったのか?……』

『カメラやセンサーの機能回復…… 映像出ます!』

『ま、まさか……』

『味方の残骸を…… 食べてる!?』

大爆発の爆塵から、爆発で傷付いた魔物や邪神機を触手で喰らう邪神が乗る邪神機が現れる。

『不粋な…… 痛み無く一瞬で我が糧にしてやるつもりだったが…… また、我の邪魔をするか? 神の力を持つ機神よ』

味方の残骸を喰らいながら、襲撃邪神機だった物が鋭い眼光で睨む先には……

機神サイズになった【はうりんぐ】とガンモードの【カオスガンブレード】を両手に構え、神力にマフラーを靡かせる……

カオス・F・ブレイブがいた。

しおりを挟む

処理中です...