アリステール

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???~少年期

解体と調査結果

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あれから職員の人が運ぼうとするが、5人合わせても持ち上がらなかった
体格が貧弱だったというわけではなかったが、いかほどの重量があるのだろうか
母さん一人で運ぼうともしてたのはやはり無謀だったか

改めて亜空間倉庫へ収納し、解体所で再度取り出すことになった
見ていた職員さんたちは信じられない、というような表情をしていたのが印象に残ったが、何も言われなかったので無視しておく
受付の人はうってかわって母さんに接するときのように丁寧な口調になっていた

解体を待つ間に依頼料についてを話された
解体部門、調査部門とギルド内部でも分かれており、その人たちの評価で依頼料も変わってくるらしい
魔物か魔獣かにしても評価が変わってくるようだ

気になったのでどう判別するかを聞くと、受付の人が教えてくれた

「魔物と魔獣は体内に魔石があるかどうかで判別していまして、魔物には魔石があり魔獣にはありません。
脅威としては魔獣のほうが上です。知性が高いものは害をなすことなく他の種族などと共存する例もありますが、
野生の獣のように見境なく人を襲うものもいます。さらに、ある程度の魔獣は魔法を扱う例もあります。
魔物の場合は魔法を使いませんが、非常に狂暴です。何かをもとにしたような外見をしていることが多いのも特徴です。
辺境に近いところなどではゴブリン、人を模したような魔物も確認されています。
総じて搦手や罠などが有効であるため、討伐や捕獲は比較的容易です」
「そうなんですね、勉強になります。
もう一つ質問なんですが、魔石ってなにか効果はあるんですか?」
「主な使用用途は魔石を核にした魔道具を動かすために使われます。
魔石自体は魔力がなにかしらの要因で塊となったといわれていますが、人工的に作り出せた例はありません」
「へぇ、そうなんですね。教えてくれてありがとうございます」

「アリー、家にも魔道具はあるわよ?」

「え?そうなの?」
「蛇口もそうだし、火を使わない灯りとか、掃除機とか。言ってなかったかしら?」
「うん、初めて聞いた。帰ったら見せてもらってもいい?」
「壊さなければいくらでも構わないよ。でも、この件が終わってからね」
「はーい」

ちぐはぐだと思っていたのはそういう存在か
電気の代わりに魔力で動くとは興味深い
新しい魔法のヒントもあるかもしれない

「シェリル、調査の結果が出た。確認してくれ」

解体所にいたお兄さんが、受付の人へ一枚の紙を渡す
村長の手紙はもっと荒い紙質だったが、街までこればあのレベルの紙が使えるんだろうか
シェリルというのは受付の人らしい。そういえば聞いてなかった

「・・・・・・信じられないけど、本当のことなのね?」
「調査のやつらも目をひん剥いてたぜ。俺らも久々の大物だってんで隈なく調べたから間違いない。
坊主、あれを売る気はあるかい?」
「ちょっと、そういう交渉はこっちの仕事よ。決まったら話すからおとなしくしてて」
「ちょっとぐらいいいじゃねぇかよ、ケチ」
「はいはい。わかったからあとでね」

ちょっとは価値のあるものだったんだろうか?
シェリルさんは文字をこちらに向けて何が書かれているかを説明してくれる

「まず上にある等級。冒険者ギルドではある程度の脅威度に応じて等級が分けられています。
第十級から始まり段階が上がるごとに数字を減らし、一番上は第一級となります。
次に生物の名前と分類。分類については、魔物か魔獣か、突然変異的な動物など。
その次が冒険者ギルドで買取させていただく場合の部位、金額、最後までいって合計金額となります。
さらに下に書いてあるのが調査部門からの調査結果になりますので、一度ご確認ください」

第三級で魔石があったから魔物、もろもろ買取してもらえば金貨1枚?
名前は飢えた黒獣・・・そのままって感じだ
等級が高いのには驚いたけど、思い返せばほとんどまともに対峙してないからよく分からない
貨幣の単位もよくわからないし、魔法に夢中になっていた弊害か、村で生活をしていたことに依るか・・・

調査結果のほうには過去討伐された同じ魔物についてが書かれていた

およそ30年前、今のオクス村の前身にもあたる村が一夜にしてこの魔物一体に滅ぼされた
非常に獰猛で、飢えているかのように村の作物や人を食い漁っていた
討伐にあたった冒険者にもかなりの被害が出たが、群れは確認されなかった
この近辺以外にも出現は確認されているがほぼ同様の被害があるものの、やはり群れは確認されず、常に1体が突然現れる

何度か読み返すが内容に変化はなかった

「・・・アリー」
「ま、まぁ群れはいないみたいだし!?大丈夫だったよって村長に報告すればいいよね!?」
「・・・そうだな。話は帰ってからでも出来る」

そんなー

そのあとの話し合いで魔物は売ることにした。今は持て余すだけだし、魔物にせよお金にせよ色んな人の足しになるのなら惜しくはない
お金に関しては両親に預けておく。子供のときから大金をもって歩いてたら金銭感覚が狂ってしまう
ただでさえこちらの世界に関して疎いところだらけなのだから、騙されでもしたら目も当てられない

あとは村へ帰って報告を済ませよう
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